Project/Area Number |
22K04940
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29030:Applied condensed matter physics-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
四方 潤一 日本大学, 工学部, 教授 (50302237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 正則 日本大学, 工学部, 教授 (10222902)
大野 誠吾 東北大学, 理学研究科, 助教 (70435634)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | テラヘルツ波 / 表面電磁波共鳴 / 負誘電率領域 / スペクトル・ドリル法 / イメージング |
Outline of Research at the Start |
本課題では、申請者らの見出した誘電体の負誘電率領域に現れる表面フォノンに着目し、高出力で周波数可変なテラヘルツ波発生とイメージング応用について研究する。テラヘルツ波発生においては、表面プラズモンとの共鳴による高出力化に加えて、申請者らが開発したスペクトル・ドリル法による連続的な周波数掃引動作について研究する。このテラヘルツ波光源をイメージングに応用し、テラヘルツ波の近接場と遠方場から得られる構造情報について研究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、表面フォノン放射型テラヘルツ波発生の対象周波数帯と光学実験系配置を決める上で不可欠な情報である表面回折格子上のフォトニックバンド構造と表面フォノン放射の放射パターンを明らかにするため、時間領域差分解析と有限要素解析を用いた計算手法の確立に取り組んだ。まず時間領域差分解析では文献データとの照合が可能なSiCを対象として回折格子上の表面フォノンについて分散特性を解析した結果、TOフォノン周波数から上限周波数に至る全負誘電率領域に存在する表面フォノンの全分枝を高精度に再現することに成功した。この知見に基づき、有限要素解析では励振構造を用いて表面フォノン放射の解析を進め、電磁場の極座標プロットよりメインローブとサイドローブを含む放射パターンの詳細を明らかにし、分散特性とのよい一致を見出した。この新たな解析手法は非線形光学結晶においても有効であることを見出しつつある。一方、THz領域で広帯域に発生する表面フォノン放射において周波数掃引を図るスペクトルドリル共振器において、実現の鍵となる位相板とミラーについてそれぞれ検討した。位相板については、光学フォノンモード周波数に対応可能な材料を調査し、通常知られている軸性結晶の多くが同帯域近傍にフォノンモードを持つことから効率的な透過が難しいことがわかった。そこで、等方的な性質を持つ材料に微細周期構造を形成する手法の調査より低周波領域の実例を見出し、フォノン周波数における有効性を検証する電磁場解析を進めている。ミラーについて従来、位相板と別の部品としてきたが、ミラーと位相板を一体化させる手法についても検討を進めている。さらに、THzイメージングの測定対象とする半導体デバイス試料の作製においては、SiO2及びAl幅1um~20umのライン&スペースパターンおよびゲート長~10umのnチャネルMOS-FETの作製を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の2年目である令和5年度は、(1)表面フォノン放射デバイス作製と光学実験系の構築に不可欠な電磁場解析手法の基盤を確立し、デバイス試作を開始すること (2)スペクトルドリル共振器を構成する位相板とミラーの実現方法を明らかにし、光学系構築の準備を進めること (3)測定試料である半導体デバイスの試作を進めることを主な予定とした。(1)における電磁場解析では、上記のように目的とする高精度な解析手法を得た。表面フォノン放射のデバイス作製についてはニオブ酸リチウムの試作デバイスは有するものの、光学実験に必要な結晶のカットや無反射コーティング等の準備は今後の課題である。(2)については、位相板作成のため、等方的な材料としてSiが適していること見出しており、形成する表面回折格子についても深さやデューティー比の設計法についても指針を得ている。表面フォノンデバイスと融合したスペクトルドリル共振器のミラー設計については、回折格子裏面に金属を蒸着する方法や回折格子材料に高濃度ドープのSiを用いれば、反射型の位相板兼ミラーを構築できる可能性があることを見出している。また、スペクトルドリルと表面コヒーレントフォノンが結合した場合のモデル実験として可視領域でのレーザー媒質を含むスペクトルドリル共振器の構築を進めており、周波数掃引型THz光源を用いて共振器内を透過するTHz波の自動計測系も構築を進めた。(3)の測定用半導体デバイスの製作については、ライン&スペースパターンについて電子ビーム露光条件を詰める必要があるものの、エッチング条件の決定など凡そ目的は達成している。またMOS-FETの作製では酸化、拡散、エッチング条件を確定し、現有EB露光装置の位置合わせ精度の課題対処を検討中である。以上からデバイス製作以外の項目についてはほぼ計画を遂行しており、評価はやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、(1)表面フォノン放射デバイスの電磁場解析手法の基盤確立(2)スペクトルドリル共振器を構成する位相板とミラーの実現法と光学系構築の準備(3)測定試料である半導体デバイスの試作については、ほぼ予定通り進展した。今後の研究内容として、表面フォノン放射デバイスと位相板の実現と動作実験、およびスペクトルドリルの検証実験を有効に進めていくことが重要課題であると考えている。表面フォノン放射デバイスと波長板にはその動作特性において未解明の点が含まれており、前者については溝深さの最適化や金属膜コーティングによる表面プラズモン共鳴増強など、学術的にも興味深い物理現象が含まれている。上記のように本年度は電磁場解析手法の基盤を得ているが、これに付随して大規模な計算環境も構築しており、高輝度な表面フォノン放射の実現に向けて現象解明のための電磁場解析を継続していく予定である。位相板に形成する表面回折格子については、動作波長を高周波領域にした場合の構造パラメータや共振器を構成するときのサイズを実際に作成可能なサイズと突き合せつつ、シミュレーションを通して最適構造を決定する。同時にグレーティング一体型ミラーによりスペクトルドリルを構築した場合のQ値や共鳴周波数の制御性能を明らかにしていく予定である。これらの光学デバイスは、いずれも表面回折格子の形成を含み、その試作においては既存サンプルを活用するとともに、所属機関の施設を有効に利用して微細加工を中心とする研究を進め、知見を共有して円滑な遂行を目指す予定である。ニオブ酸リチウム結晶や波長板の微細加工では、深い溝の作製が必要となるため、東北大学試作コインランドリを利用する予定である。測定試料である半導体デバイスについては、本年度のデータを基に、様々なゲート長・配線幅のMOS-FET作製を行い、THzイメージングによる測定を目指す。
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