Project/Area Number |
22K04998
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 31020:Earth resource engineering, Energy sciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 健太郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (30523815)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 太陽電池 / III-V族化合物半導体 / 多接合太陽電池 / 光閉じ込め効果 / 光マネジメント / 自己組織化ナノ構造 / ブロック共重合体 / エネルギー変換 / 光閉じ込め / ナノ構造 / III-V多接合 |
Outline of Research at the Start |
III-V族化合物半導体からなる多接合太陽電池は、従来の結晶Siよりも高い変換効率を有するという利点があるが、コスト面の問題で応用は人工衛星などの宇宙応用に留まっている。本研究では、この多接合太陽電池の大規模な地上応用へ向けた低コスト化技術の開発を実施する。セルの厚さ自体を従来の1/5-1/10の超薄膜化構造とし、セル裏面に自己組織化を利用したナノスケールの光散乱構造を形成することで不足した光吸収を増強する光閉じ込め効果をもたらすことを目指す。この方法により、省原料化、製造速度の向上が進むことでコストの低減に寄与することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、提案した実施計画に基づき、ブロック共重合体を用いたランダムテクスチャ構造の試作を実施した。ポリスチレン(PS)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)の2種の有機分子鎖からなるブロック共重合体材料を有機媒質中に溶解したのち、平坦基板上に塗布、乾燥後に一定の加熱処理を施すことで2種の有機材料の自己組織化配列を生じることが知られている。この際に、単一の分子からなるホモポリマーと混合させることにより周期的配列からランダムな形状に変化し、目的とする太陽電池の光閉じ込め効果により効果的な構造となることが明らかとなった。また、ブロック共重合体を構成する有機材料の分子量を凡そ100から700の範囲で変化させたところ、より大きい分子量の場合においてテクスチャ形状が500 nmと光の波長と同程度のサイズまで巨大化することが示された。 また、銀(Ag)薄膜を加熱処理することでランダムなAgナノ粒子を自己組織化形成する手法についても開発を実施した。真空蒸着法によって約10-30 nmの厚さに堆積したAg膜を100-300℃の範囲で加熱処理することで100-200 nmサイズのAg粒子化することが示され、ブロック共重合体の場合と同様に光散乱構造として応用可能であることが期待される。 上記の方法にて形成した自己組織化テンプレートをGaAs基板上に形成した厚さ300 nmの超薄膜GaAs太陽電池上に適用し、太陽電池裏面におけるAlGaAs層をテクスチャ化した太陽電池セルの試作を実施し、評価した結果、テクスチャ未形成の場合と比較して約1.5 mA/cm^2の光電流増大が確認された。この結果により、自己組織化テンプレートを利用した散乱構造体によって光閉じ込め効果が生じることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の通り、ブロック共重合体を利用した自己組織化ナノ構造体の形成と、それをテンプレートとして半導体加工を実施することにより、太陽電池裏面に光の波長と同程度のサイズのテクスチャ構造を形成することに成功した。ナノ構造テンプレートの形成手法として、ブロック共重合分子による樹脂材料の自己組織化を用いるケースと銀の加熱処理による自己組織化金属ナノ粒子の2通りを試行し、いずれにおいても目的とする光閉じ込め効果に適した大きさの散乱構造を形成することが確認された。 また、この手法を用いて実際に半導体のテクスチャ構造を形成し、光学的に薄いGaAs太陽電池セルに適用した結果、光閉じ込め効果による実効光学厚さの増大と、それに伴う光電流の増大が実験的に確認されたため、研究計画に沿った進展が得られていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究結果を受けて、有機樹脂材料または金属材料によるナノスケールのテンプレート形成とそれを利用した表面テクスチャリング加工の工程が開発された。今後の研究推進方策として、1.光閉じ込め効果の最適化2.多接合太陽電池への適用の2通りについて進める予定である。 1.光閉じ込め効果の最適化について、現段階における表面テクスチャリングは対象とする太陽電池の対応する波長範囲において形状およびサイズの最適化が未だになされていない状況にある。この課題に対して、よりエネルギー損失を抑制する形状とセルへの適用方法の最適化を実験的手法とシミュレーションの両面から進める予定である。 2.多接合太陽電池への適用に関して、1.の結果を含めて得られた光閉じ込め構造を、より高効率が期待できる多接合太陽電池へ適用する予定である。この際、既にInGaP/GaAs 2接合セルの基本構造は既に試作を進めているため、光散乱構造の適用により世界初となる光閉じ込め効果の多接合セルへの適用を直ちに進められる予定である。
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