Creation of photochromic crystals by controlling molecular structure using the template crystal method
Project/Area Number |
22K05032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
植草 秀裕 東京工業大学, 理学院, 准教授 (60242260)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | フォトクロミズム / サリチリデンアニリン / 混晶 / 結晶構造解析 / 固溶体 / 単結晶構造解析 / 粉末結晶構造解析 |
Outline of Research at the Start |
解決法として本研究は鋳型結晶を用い、その一部を機能分子に置換した混晶(置換型固溶体結晶)を作成ことで、機能分子に特定の配座を与える制御を行い機能発現するという鋳型結晶法の確立を行う。 サリチリデンアニリン(SA)類は分子配座が柔軟であり、結晶中で平面型配座を取るとフォトクロミズムを示さない。しかし、このSA類をゲスト分子とし、非平面型配座を持つテンプレート分子による鋳型結晶との混晶を作成すれば、SA類分子を特定の非平面型配座に精密制御し、フォトクロミズムを示す混晶を作成する。 この鋳型結晶法による分子配座制御の学理の構築を目指し、鋳型分子系の探索、混晶の作成・結晶構造解明、物性測定を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
クロミズム反応の原理は光など外部刺激による分子内結合生成・開裂、あるいは分子の異性化による変化である。固相クロミズム反応は結晶中での分子配座(コンフォメーション)や分子配列に関係していることが結晶構造解析により観測され、特に反応の可否や生成分子の寿命は分子が結晶中で反応に適切な分子配座を取っていることが重要である。つまり、クロミズム結晶に代表される分子性機能性結晶では、構成分子が特定の配座(コンフォメーション)を取ることが機能発現の条件となる例がある。しかし、結晶中の分子配座を制御することは一般に困難であり、結晶の機能発現の大きな障害である。解決法として本研究は鋳型結晶、つまり「特定の配座を持つが機能を持たない分子による結晶」を用い、その一部を機能分子に置換することで、機能分子に特定の配座を与える制御を行い機能発現する、鋳型結晶法の確立を行う。 フォトクロミック化合物であるサリチリデンアニリン(SA)類は分子配座が柔軟であり、結晶中で平面型配座を取るとフォトクロミズムを示さない。しかし、このSA類をゲスト分子とし、非平面型配座を持つテンプレート分子による鋳型結晶との混晶(置換型固溶体結晶)を作成すれば、SA類分子を特定の非平面型配座に精密制御し、フォトクロミズムを示す混晶を作成することができる。この鋳型結晶法による分子配座制御の学理の構築を目指し、鋳型分子系の探索、混晶の作成・結晶構造解明、物性測定を行うことを目的としている。 本年は、サリチリデンアニリン(SA)類をゲスト分子として取れるホスト分子の選定と、予備的な混晶作成を行った。ホスト分子としてはベンジリデンアニリン(BA)類をターゲットとした。また、ホスト分子・ゲスト分子が混晶を作る条件を想定し、SA,BAがもつべき置換基を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究でターゲットとしている有機分子の混晶は、2種類(以上)の分子がランダムに同じ位置を占めるタイプのものである。このような乱れた分子の配置は本来安定性が減じており生成しにくいため、まず混晶を構成する条件を検討する必要がある。本研究では混晶形成の戦略として、安定な結晶格子を形成し、混晶の主要成分となるホスト分子を決め、その結晶格子により少ない成分であるゲスト分子を混在させる方法を定めた。ここでホスト分子はフォトクロミズムを示さないこと、しかもその分子構造はゲスト分子に適合し、そのコンフォメーションはねじれ型である必要がある。この結晶格子中のホスト分子をゲスト分子であるサリチリデンアニリン(SA)類で一部置換することが、目的として定めた、混晶形成の手法の確率に関連する成果である。 SA類と類似する分子骨格を多数スクリーニングし、SA類のOH基を他の基に置換したベンジリデンアニリン(BA)類をもっとも適合性が高いホスト分子として選定した。OH基を置換することでフォトクロミズムを示さなくなり、複数の置換基を選ぶことができる。また、ホスト分子であるBA類により、できるだけ安定な結晶格子を作ることが混晶形成の鍵になると考え、分子間相互作用に着目した。すなわち、BA類の末端にカルボキシ基を置くことで、結晶中でカルボキシ基二量体水素結合を作り、結晶構造を安定させることとした。ゲスト分子を混入させることによる結晶の安定性の低下を補う戦略である。これが目的として定めた、混晶ホスト分子の選定に関連する成果である。 以上の検討を踏まえ、実際にBA類のスクリーニングを行った結果、3位に塩素原子を持つBA-COH-3Clがホスト分子として優れていることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果により、混晶ホスト分子をBA-COOH特にBA-COOH-3Clとすることが決まったので、この混晶ホスト結晶に適合するSA類のゲスト分子をスクリーニングし、実際に混晶形成を行う計画である。 ホスト・ゲスト分子が混晶を形成する様に、SA誘導体分子と鋳型分子との構造、混合比率を検討し、機能性ゲスト分子であるSA誘導体分子の成分比を最大化し、しかも結晶構造が鋳型結晶と同じになる条件を探索する。生成した混晶は単結晶構造解析を行い、意図した結晶構造、分子構造になっていることを確認する。フォトクロミズム特性は固体の拡散反射UV/Visスペクトル測定で確認する。 ホスト・ゲスト適合性の検討のためには、できるだけ多くの種類の混晶作成が必要であり、このためにはさらにホスト・ゲスト分子のスクリーニングを進める必要があるため、新規な分子の採用を視野に研究をすすめる計画である。鋳型結晶法を用い、多くの混晶の構造と物性を測定した後、この手法を一般化して多種の分子に適用できるよう、手法の原理を解明する。興味がある点は、ゲストSA誘導体分子と鋳型分子との適合性(混晶生成の可能性)を決める条件である。分子の体積や形状の因子が考えられ、置換基を替えた様々な分子の組み合わせ例について結晶学的検討、分子構造の理論的検討を行う。混晶の機能を高めるために、ゲストSA誘導体分子の成分比を最大にする条件を主に検討する。これは鋳型分子より体積の小さいゲストSA誘導体分子が有利と考えており、鋳型分子が持つ置換基をより嵩高くする工夫が必要であろう。これらの検討が進んだ後に、混晶の安定性を評価する熱測定や理論計算を検討し、鋳型結晶法による混晶の構造、物性評価、混晶生成の学理を完成させる計画である。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)