Quantitative evaluation of spin-orbit interaction to develop higher-efficient organic room temperature phosphorescence materials
Project/Area Number |
22K05039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
松岡 秀人 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任准教授 (90414002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大須賀 秀次 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (50304184)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 有機EL / 励起三重項状態 / りん光 / ESR / 室温りん光 / スピン軌道相互作用 / 電子スピン共鳴 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、平面構造を有するパイ共役分子に対してスピン軌道相互作用の定量評価を可能とする研究手法を確立し、代表者らが開発してきた室温メタルフリーりん光性有機EL発光材料の発光効率を向上させる。具体的には、1)非金属ヘテロ原子を様々な結合様式で配置したパイ共役系分子群の合成、2)代表者がこれまで独自に開発してきた国内で唯一の高周波パルス電子スピン共鳴装置の改良により、スピン軌道相互作用と強く相関した物理量の高精度決定、3)それらを指標に、スピン軌道相互作用の定量解析を可能とする量子化学計算手法の最適化、そして4)その計算手法を用いた新たな高効率メタルフリーりん光性材料の分子設計を遂行する。
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Outline of Annual Research Achievements |
励起三重項状態からの発光(りん光)を利用した高効率材料が開発され、商用利用もされているが、レアメタルを用いるため材料としては高価で、材料設計にも制限が多く、低コストで高効率な次世代りん光性メタルフリー材料の開発が期待されている。重原子を含まない純有機物質は、基本的に室温でりん光を発しないという常識があった中で、研究代表者らはチオフェン環を縮合させたフェナジン系に対し、りん光が室温デバイス中で得られることを見出してきた。しかし、チオフェンやフェナジン単体では室温でりん光を示さず、π共役分子のスピン軌道相互作をどのように評価すべきか自明ではない。また、チオフェン環の向きで、りん光性が劇的に変化する理由も説明できず、スピン軌道相互作用にπ共役連結法がどのように作用するのか理論的説明が必要である。 本年はまず、平面性とスピン軌道相互作用の大きさとの相関を明らかにするため、平面構造を有する縮環フェナジン系(市販)のESRならびに発光測定と量子化学計算を行うとともに、ねじれ構造により平面性を下げた系の合成を行った。平面構造を有する縮環フェナジン系の実験等から、室温でりん光を獲得する上で、重原子効果が期待できる硫黄(チオフェン)の導入は必須でないことを明らかにした。一方で、フェナジンの窒素原子上に電子スピン密度が局在したとき、室温りん光が得られた。また、ねじれ構造により平面性を下げた系の合成も順調に進み、ESRならびに発光測定と量子化学計算を行った結果、フェナジン(窒素原子)を含まない系の測定ではりん光を得ることができず、りん光を得るために窒素原子が必須であることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ESRは電子スピンを検出するため、実験的に電子スピン密度分布を決定する唯一の実験手法である。しかし、どの原子核上に電子スピンが局在しているかを明らかにするには、NMR測定の併用が不可欠となり、通常はマイクロ波とラジオ波を用いた二重共鳴測定が行われる。本研究では短寿命励起種の電子スピン密度分布の実験的決定を可能とするため、二つのマイクロ波を用いたEDNMR(ESR-Detected NMR)装置の構築を行った。高分解測定を可能とするため、国内唯一の高周波(94 GHz)・高強度パルスESR装置を改良し、水和構造を有するMn錯体を標準試料としてEDNMR観測に成功した。また、硫黄あるいは窒素原子を有する系の合成も順調に進み、研究期間2年目に予定していたESRパラメータの決定も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
硫黄原子は電子スピン密度をどの原子核上に局在させるかを制御する上で有用であり、一方で室温りん光を得るには窒素原子が必要であることを明らかにした。硫黄原子の位置が電子スピン密度分布に影響を与える理論的説明を、量子化学計算により今後明らかにしていく。また、窒素原子を含む他の系についてもESRならびに発光測定と量子化学計算を行い、りん光効率と窒素原子核上のスピン密度との関係を定量的に解明していく。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)