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海洋生物に広く存在する天然紫外線防御物質の高速光熱変換に関する分子機構研究

Research Project

Project/Area Number 22K05040
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
Research InstitutionTokyo University of Science, Yamaguchi

Principal Investigator

畠山 允  山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 講師 (10641970)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Keywords光化学 / 健康科学 / 紫外線防御 / 分子科学 / 量子化学 / 計算化学 / 光熱変換 / 非断熱過程 / 溶液化学
Outline of Research at the Start

海洋生物由来の天然の紫外線防御物質であるマイコスポリン様アミノ酸について、吸収紫外線を超高速に散逸させて無害化する分子機構の解明を試みる。具体的には、マイコスポリン様アミノ酸の紫外線吸収直後の挙動を周囲溶媒も含めてコンピューターシミュレーションし、散逸過程におけるマイコスポリン様アミノ酸の分子構造や運動の様子、電子状態を明らかにする。得られた知見をもとに、マイコスポリン様アミノ酸を利用している海洋生物とその紫外線応答に関するさらなる理解、および新規サンスクリーン剤の開発促進を目指す。

Outline of Annual Research Achievements

海洋生物由来の天然の紫外線防御物質であるマイコスポリン様アミノ酸(MAAs)について、その防御機構が紫外線を吸収して熱に変換・無害化するものであること、生体の主要構成要素である水と協調して進行することを見出しつつある。本成果は、地球生命の源である水が海洋生物の紫外線防御と深く結びついていることを示すとともに、MAAsを下地とした紫外線防御剤の開発促進に繋がるものと期待される。国内研究会にて成果を発表し、また学術誌への論文投稿に取り掛かりつつある。
具体的な研究活動としては、MAAsが紫外線吸収後に電子励起状態から脱励起する様子を、MAAs周囲の溶媒水分子もあらわに考慮した非断熱分子動力学シミュレーションで追跡している。その結果、MAAsは紫外線吸収後に大きく構造変形(分子内π共役のねじれ)して電子励起状態を緩和し基底状態へと無輻射脱励起させること、一方でそうした構造変形はMAAsの分子配向を変化させず水溶媒との水素結合ネットワークを保つことが分かった。以上の仕組みはMAAsの名前にもある分子内のアミノ酸によるところが大きく、構造的に柔らかいアミノ酸が緩衝材としてπ共役の構造変化を吸収することでMAAs全体は配向変化せずに済んでいたのである。このような構造的柔軟性を活かした紫外線防御の戦略は、構造的に硬い芳香族化合物を主とした典型的な紫外線防御剤には類を見ない特徴であり、紫外線防御剤の開発に新たな指針を提供するものと期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計画していた非断熱分子動力学シミュレーションは完了しており、計算した軌跡の殆どでMAAs電子励起状態から基底状態への無輻射脱励起が確認されている。電子励起状態の寿命は平均で数百fs程度となり、実験事実と対応していた。
シミュレーションはMAAsが水に溶けた状況のものと真空中のMAA 1分子のものをそれぞれ実施し、水による無輻射脱励起の遅延の程度や脱励起メカニズムの差異を解析した。水の有無のシミュレーションはそれぞれ完了しており、水が有ることで無輻射脱励起が倍程度に遅くなることが分かった。ただし、水が有る場合でも励起状態の寿命は実験値とオーダー的には合致しており、また、研究実績の項でも述べたように水の水素結合ネットワークは保たれていた。よって水の存在は、MAAsの無輻射脱励起を遅らせはするものの、脱励起を進行不可にするような致命的な阻害要因とはなっていないと分かった。そこで、むしろMAAsがなぜ水に阻害されずに無輻射脱励起できているのかに注目し、研究実績でも述べたように分子内アミノ酸が構造的な緩衝材としてπ共役の動きを吸収することで分子全体の配向が変化せずに済んでいるメカニズムを見出した。また、その過程でπ共役を含む分子内環構造が無輻射脱励起の前後で時計周り/反時計回りに回転するように動いていたことから、”ブンブンごま”と呼ばれる玩具に着想を得て、MAAsの無輻射脱励起メカニズムをブンブンごま機構と命名し成果報告することとした。

Strategy for Future Research Activity

助成期間中の成果発表へと取り組んでいく。計画していたシミュレーションは既に完了しており、現在結果を学術誌へと投稿準備中である。国内学会や研究会での成果発表にも取り組み、成果の周知へと繋げていく。
成果発表に際しては、本研究で見出したMAAsの特色、すなわちその構造的柔軟性と水溶媒との親和性を活かした紫外線防御機構を売りとして打ち出していく。これらは既知の典型的な紫外線防御剤には見られないMAAsの特色であり、また、水溶媒も含めた非断熱分子動力学シミュレーションという本研究の取り組みが実を結んだ結果でもある。本研究の成果の核心であり、売りとして強く打ち出していく計画である。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Research-status Report
  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Intrinsic Nature of the Ultrafast Deexcitation Pathway of Mycosporine-like Amino Acid Porphyra-3342022

    • Author(s)
      Hatakeyama Makoto、Nakamura Shinichiro
    • Journal Title

      The Journal of Physical Chemistry A

      Volume: 126 Issue: 41 Pages: 7460-7467

    • DOI

      10.1021/acs.jpca.2c05034

    • Related Report
      2022 Research-status Report
  • [Presentation] MAAsによる紫外線防御の分子機構2023

    • Author(s)
      畠山允
    • Organizer
      MAAs研究会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 海藻由来の紫外線防御物質マイコスポリ ン様アミノ酸における脱励起過程の非断熱 分子シミュレーション2022

    • Author(s)
      畠山允
    • Organizer
      分子シミュレーション討論会
    • Related Report
      2022 Research-status Report

URL: 

Published: 2022-04-19   Modified: 2024-12-25  

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