配位ナノシートのヘテロ積層化による新二次元材料の開拓
Project/Area Number |
22K05055
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32020:Functional solid state chemistry-related
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高田 健司 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 助教 (90792276)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 配位ナノシート / 配位高分子 / ナノシート / ジチオレン錯体 / 半導体 |
Outline of Research at the Start |
研究代表者らが発展させてきた二相界面での錯形成反応を利用して、異なる二次元配位高分子(配位ナノシート)同士が積み重なったヘテロ積層体の効率的製法の実現とその機能物性化学の開拓に挑戦する。異なる電子構造の配位ナノシートがヘテロ積層構造をとることから生じるヘテロ積層体内における非対称的な電子・エネルギー移動挙動や光電変換能、異なる配位ナノシート間の相互作用から生じる触媒活性の変調など、単一の配位ナノシートでは発現しない物性の発現を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、ベンゼンヘキサチオール(BHT)とマンガン(II)イオンを配位子とした配位ナノシートMnBHTと種々の金属イオンの金属交換反応(トランスメタル化)の検討を行ったほか、マンガン以外の金属種からなる配位ナノシートMBHT (M = Ni, Cu)のトランスメタル化についても検討を行った。 一方、水-ジクロロメタン界面において金属イオンとBHT配位子を反応させることで厚さが100 nm程度であるMBHTを合成し、作製したMBHTを金属塩化物水溶液と反応させることでトランスメタル化反応を行った。 MnBHTと第4周期遷移金属イオンとのトランスメタル化反応の結果、MnBHT中のマンガン(II)イオンはコバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、亜鉛(II)イオンと交換可能であることがわかった。また、一定の反応時間におけるこれらの金属との交換率をSEM/EDSで測定した結果、銅(II)イオンが最も交換しやすく、次いでニッケル(II)、コバルト(II)イオンが交換しやすく、亜鉛イオン(II)が最も交換しにくいことが分かった。MBHTの電気伝導性は金属イオンの種類によって大きく変化し、MnBHTからCuBHTにトランスメタル化すると500倍に上昇し、ZnBHTにトランスメタル化すると20分の1に低下することが分かった。 一方、NiBHT中のニッケル(II)イオンは銅(II)イオンと交換可能であることが分かった。この反応プロセスを金属組成の反応時間依存性により解析すると、Ni:Cu = 1:2の点で反応速度がおよそ100分の1に低下することがわかった。この結果は、Ni:Cu を1:2の比率で含むMBHTが安定であることを示しており、過去の先行研究の結果に一致した。一方、CuBHTはニッケル(II)イオンとはほとんどトランスメタル化を起こさなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度においては、各MBHTのトランスメタル化反応について検討を行い、MnBHT、NiBHT、CuBHTの反応性を明らかにするとともに、各金属イオンとの交換しやすさに関してその序列を明らかにすることができた。また、金属交換により電気伝導性などの物性変化を達成できることを実証できた。以上の結果は令和6年度以降のジチオレン錯体ナノシートのヘテロ構造体を作製するうえで重要な知見である。従って、研究はおおむね順調に進行していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を踏まえ、令和6年度では、各トランスメタル化反応による物性変化を探索する。令和5年度に行った電気伝導性測定のほか、キャパシターなどの電気化学的エネルギー貯蔵性能や水素発生反応などの電気化学触媒活性の測定を行う予定である。また、令和5年度に明らかにしたトランスメタル化反応性の傾向に基づいて逐次的界面錯形成法によるヘテロ積層体の構築を目指す。加えて、令和5年度には反応時間の制御により部分的なトランスメタル化反応によるヘテロメタル配位ナノシートの作製が行えた。これに基づき、金属組成を制御したヘテロメタル配位ナノシートの作製と各種物性解明をを行い、配位ナノシートのヘテロメタル化・ヘテロ構造化による高機能化を目指す。
|
Report
(2 results)
Research Products
(29 results)