Project/Area Number |
22K05070
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
真崎 康博 北里大学, 理学部, 教授 (60199677)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 真士 北里大学, 理学部, 講師 (20438120)
上田 将史 北里大学, 理学部, 助教 (60778611)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | チエノアセン / ポリチアアセン / ナノリング / ナノフープ / 多孔質材料 / 酸化還元特性 / 分子性集合体 / 大環状分子 / ナノベルト |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ジチエノチオフェンやチアントレン、5,7,12,14-テトラチアペンタセンなどの、チエノアセン類を基本単位骨格とした大環状分子を合成し、酸化還元活性な多孔質固体材料の構築を目指す。まず、合成した分子の構造とチャネル積層との相関について調査する。次に、コインセルに導入した簡易型電池を作製し、充放電特性の評価を行う。優れた特性を示したものについては、イオン伝導性について調査し、多孔質固体材料としての性能を評価することで、含硫黄π電子系分子集積構造の機能開拓を行っていく。
|
Outline of Annual Research Achievements |
固体の内部にナノサイズを空孔を有する多孔質材料は,分子認識に基づく小分子の貯蔵や輸送,分離精製などの機能を発現する固体材料として期待されている.また,これにイオンキャリア分子を構成成分として導入することで,高イオン伝導性の発現が注目されている.しかしながら,一般的に既知の金属有機構造体(MOF)や共有結合性有機構造体(COF)などの多孔質材料は,酸化還元に関与しないユニットによって骨格の大部分が構成されているため,単位重量あたりに換算した電子容量が活物質材料の期待値に満たないという問題を抱えている. 本課題では,酸化還元活性なチエノアセン類やポリチアアセン類を構成ユニットとした大環状分子の集積構造を緻密に制御することによって,ナノサイズの空孔チャンネル構造を構築し,固体多孔質材料を志向した電気伝導性や充放電特性などの酸化還元特性の発現をねらいとした機能開拓を行なっていく. 本年度は,チアントレンを硫黄で架橋したチアカリックス[n]アレーン(n = 3,4,6)およびオリゴチオフェンをビナフチルで架橋した大環状分子の合成に成功した.一部の分子についてはX線結晶構造解析によって分子構造を決定し,大環状骨格に基づいた集積構造を示した.チャンネル構造の形成や結晶溶媒の包摂も確認することができた.加えて,溶液状態において可逆的な酸化還元挙動を示す分子の開発にも成功しており,今後,酸化種の構造などを明らかにしていく予定である.一方,興味深いことに,蛍光やリン光発光を示す分子や,分子にねじれを導入したことで円偏光発光を示す誘導体の開発にも成功しており,さらなる機能開拓を行なっていく.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チアントレンを硫黄で架橋したチアカリックスアレーン型の分子やオリゴチオフェンをビナフチルで連結した大環状分子の合成に成功し,単結晶X線構造解析による分子構造の決定,溶液状態における酸化還元特性や発光特性について明らかにすることができた.当初の設計通り,多角形構造に基づいた分子タイリングによって,チャンネル構造を有する集積構造の構築にも成功した.今後,酸化種の構造や物性を詳細に明らかにした上で,固体状態(ゲルや薄膜,結晶,アモルファス)における物性について調査していく予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
大環状分子の合成経路見直しによる収率の改良を試みる.また,電子供与基や分子間の相互作用を調整できるような嵩だかい置換基を導入した誘導体の合成を行う.可逆的な電子移動を示したいくつかの分子については,電気化学的および化学的な酸化によって,それらの電子構造の詳細を明らかにするとともに,酸化種の単離を試みることで,分子構造と電子状態の相関について調査していく.さらにコインセル型の簡易電池を作製し,充放電特性に関する評価を行なっていく. 発光する誘導体についても同様に,固体状態(非晶質・結晶)における発光特性について,発光寿命や量子収率の評価を行い,大環状骨格と集積構造,励起状態の相関について深掘りを進める.また,ホストゲスト相互作用に基づく物性の変化についても調査する.
|