トリメチルシリルシアニドを用いた電子移動駆動型シアノ化反応の開発
Project/Area Number |
22K05115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菅 誠治 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (50291430)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | トリメチルシリルシアニド / 電解反応 / 酸化 / 還元 |
Outline of Research at the Start |
シアノ基は非常に有用な官能基であるが、より安全で使いやすいシアノ基の有機分子への導入法の創出は未だ大きな課題である。本研究は、有機溶媒に可溶であり、より使いやすいマイルドなシアノ化剤であるトリメチルシリルシアニド(TMSCN)に着目し、電子移動駆動型シアノ化反応の開発を目的とする。具体的には、電子豊富な基質とTMSCNを共存させて電解酸化を行う酸化的なアプローチおよびTMSCNを一電子還元することにより生じるアニオンラジカルと求電子剤の反応を使った還元的なアプローチを用い、電解酸化および還元を両輪とする多様な分子変換の創出を研究の目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
シアノ基を有機物に導入する反応は一炭素増炭反応として広く用いられ、導入したシアノ基が多様な官能基へと変換できることから非常に有用である。一般に、シアノ化剤としては非常に毒性の高いHCNやKCNなどが汎用され、より安全で使いやすいシアノ基の導入法の創出は未だ大きな課題である。本研究は、KCNなどに比べて毒性が低く、有機溶媒に可溶で使いやすい、マイルドなシアノ化剤であるトリメチルシリルシアニド(TMSCN)を用いた反応に着目し、電気化学的な「酸化」および「還元」を駆動力とする新規なシアノ化反応の開発を目的として研究を行った。具体的には、①ヘテロ原子を持つ電子豊富な基質とTMSCNを共存させて電解酸化を行う反応(酸化的アプローチ)、および、②TMSCNの電極還元により生じるアニオンラジカルと各種求電子剤の反応(還元的アプローチ)を基軸とするシアノ化をターゲットとして研究を行った。 酸化的アプローチとして、本年度は、電子豊富な化合物であるイソクロマン類とTMSCNを共存させて電解酸化を行うと、適切な条件を選択することにより、直接電解酸化によるイソクロマンC1位のシアノ化が効率よく進行することを見出した。 また、還元的アプローチとしては、求電子的な性質をもつイミンとTMSCNを共存させ、触媒量の電気量により、電極還元することで、対応するシアノ化物が高い収率で得られることを見出した。さらに、これらの反応がフロー系でも効率よく進行することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①酸化的アプローチでは、イソクロマン類とTMSCNをを用いて電解酸化を行うと、適切な条件を選択することにより、直接電解酸化によるイソクロマンC1位のシアノ化が効率よく進行することを見出した。また、②還元的アプローチとしては、イミンとTMSCNを共存させ、触媒量の電気量により、電極還元することで、対応するシアノ化物が高い収率で得られることを見出した。また、この反応がフロー電解系でも効率よく進行することがわかった。以上のように、研究は計画通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
イソクロマンとTMSCNを共存させて電解酸化を行うと、C1位にシアノ化がおこる反応を見出した。現在、この反応の基質適用範囲を探索しており、予備的知見ながら、広い範囲の基質においてシアノ化物が得られることがわかっている。同時に詳細な反応機構調査を行っており、まとまった段階で論文投稿を行う予定である。 また、TMSCNのイミンへの還元的付加反応においては、反応条件の調査と同時に、フロー反応系を積極的に利用した反応開発を推進したい。この反応は触媒量の電気で反応が進行することがわかっているので、フロー反応との相性が非常によい。フロー反応の条件探索に際しては、当研究室で取り組んでいる機械学習を使った条件最適化法も使う予定である。さらに、フロー反応を用いると、一つの反応パスで連続的な分子変換も可能であるので、シアノ基が多用な官能基へ変換できる特長を生かした、連続反応と反応集積化にも取り組みたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(37 results)