Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
過酸化水素(H2O2)はクリーンな酸化剤として知られているが, 現行の工業的製造法は, 多工程である上, エネルギーや化学物質の大量投入を要し, 廃棄物も大量に排出される等, 多くの欠点を抱えている. すなわち, H2O2のクリーンな製造法の確立が待望されている. また, H2O2の酸性溶液は化学合成用の酸化剤として高需要であるが, 同条件でのH2O2生成に関する検討も積極的に行われていない. 金(Au)助触媒を担持したフラーレン(C60, n型)と亜鉛フタロシアニン(ZnPc, p型)からなる光カソード(ZnPc/C60-Au)は酸性条件下で酸素から還元的にH2O2をもたらすことを前年度に明らかにした. また, 上記の光カソードを還元サイトとしたH2O2生成用途の人工光合成システムも例示した. しかし, 同システムにおいては, 酸素還元過程が律速段階であることを特定したため, 光カソードの動的特性の改善が新たな課題となった. 本年度は酸素の二電子還元用助触媒の探索と並行して, 特にZnPc/C60-Au系光カソードの高活性化についても検討を行った. これまで, ZnPc層とC60層の厚さはそれぞれ75 nm, 125 nmを採用してきた. しかし, ZnPc層を保持したまま, C60層の厚さを変更したところ, C60を極端に薄層化した条件(~5 nm)で最大の光カソード活性を示し, 従来比で3~4倍程度のH2O2生成量が見込める結果を得た. C60の薄層化により, 表面までの電子移動距離が短縮され, 電子がAuにトラップされやすくなり, そのため, Au上の定常的な電子濃度が向上したと考察している. また, 光電流の作用スペクトル測定の結果から, 薄層化した場合においても, ZnPcとC60の両者の可視光吸収がH2O2の生成に寄与していることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白金(Pt)助触媒を担持したZnPc/C60-Pt系光カソードは酸性条件下でプロトン還元に対して活性を示し, 効率的に水素をもたらすことをこれまでに報告している. しかし, その際の最適厚さが酸素の二電子還元過程に対しては適しておらず, 新たな調査により, H2O2生成反応に対してZnPc/C60系有機p-n接合体の厚さを独自に設定する必要があることがわかった. この結果により, 3~4倍程度のH2O2生成量の向上が見込める状況に至った.
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