配位子間相互作用を活用する含金属錯体共役高分子の高次構造誘起と触媒・光電気特性
Project/Area Number |
22K05222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35010:Polymer chemistry-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
三田 文雄 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (70262318)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 含金属錯体 / 共役高分子 / 高次構造 / 触媒 / 配位子 / 白金 / 光電気特性 / 配位子間相互作用 / 金属錯体 / 立体配座 / 集積構造 / 白金錯体 / 触媒・光電気特性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,生体高分子に学び,それを凌駕する機能を発現する金属錯体高分子の創成,配位子の立体配座と相互作用の制御に基づく共役高分子の高次構造の誘起と機能開拓を目的とし,金属錯体部位を主鎖・側鎖に有する共役高分子の合成と高次構造制御および高度な触媒・光電気特性の発現を目指す。検討項目は,[1] 新規配位子の設計と立体配座の制御 [2] 遷移金属錯体部位を主鎖・側鎖に有する共役高分子の合成と架橋 [3] 触媒特性の評価 [4] 光電気特性の評価 である。本研究は,共役高分子の高次構造形成ならびに触媒・光電気特性の解明に関する研究の発展への多大な寄与が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,アミド,エステル基等のヘテロ原子含有置換基を配位子に導入した含金属共役高分子の合成,水素結合とπ共役の相乗効果による立体配座の安定化,金属錯体部位間相互作用の制御による高次構造の構築,触媒・光電気特性の発現を目的とする。構造の制御された含金属共役高分子は,高い立体選択性を発現する水素化・ヒドロシリル化触媒,発光波長と強度を配位子の高次構造と相互作用で制御可能なフォト・エレクトロルミネッセンス材料,あるいは芳香族系物質との分子間相互作用に基づく発光強度の変化を活用する爆発物検知材料など,産業上への応用展開が期待できる。 白金は窒素・硫黄酸化物の分解,オレフィンの水素化,ヒドロシリル化の高い触媒活性を示す産業上重要な金属である。報告者は主鎖に白金錯体部位を有するフェニレンエチニレン系高分子の会合体形成と蛍光発光,不斉折り畳み構造・会合体の構築,配位子による主鎖共役長制御,配位子交換による高次構造制御などについて報告してきた。これらの研究を通し,金属錯体部位の立体配座と相互作用の制御を念頭に置いたモノマーの分子設計により,二次構造・凝集構造の制御された含金属共役高分子の合成と,触媒機能・光電気機能の顕著な向上が可能になると考え,本研究を立案し,開始した。本研究は,これまで研究例の極めて少なかった,配位子の立体配座,配位子間相互作用の制御により機能性含金属高分子材料の創成を目指す点で,学術的のみならず,工学的に意義深いと考えられる。 2023年度は,2022年度に引き続き,新規配位子の設計と立体配座の制御,遷移金属錯体部位を主鎖・側鎖に有する共役高分子の合成と架橋,触媒特性の評価,光電気特性の評価を実施した。具体的な研究成果ならびに現在までの進捗状況に記載した通りである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ナフタルイミド部位を有する含白金高分子の合成と光電気特性:Pt-アセチリド錯体部位を置換するノルボルネン誘導体と2-ノルボルネンとの開環メタセシス重合および共重合体の光特性について検討した。ポリマーの紫外可視吸収スペクトルでは,π-π*遷移およびMLCT遷移に基づく強い吸収が観測された。一方,発光スペクトルでは,リン光由来の強いピークが観測された。クロロホルム中,当該ポリマーを増感剤,9,10-ジフェニルアントラセンを発光体としたフォトンアップコンバージョン(UC)スペクトルでは,430 nm近傍にUC由来の発光が確認された。 ・光学活性リン配位子を有する幾何構造の制御された含白金高分子の合成:光学活性二座リン配位子をもつ含白金光学活性高分子の合成と,その幾何構造の制御を検討した。cis-白金錯体モノマーから得られたポリマーの白金錯体部位のcis構造は重合反応後も維持されていることが確認された。一方,trans-白金錯体モノマーから得られたポリマーの場合には,白金錯体部位のtransからcisへの幾何構造の異性化が確認された。この原因として,cis構造におけるフェニルアミド基のベンゼン環同士の相互作用と,アミド基間水素結合による安定化が考えられる。 ・ビピリジンを有するπ共役高分子の合成と金属配位:光学活性アミド基を置換したジエチニルフェニレンモノマーとジブロビピリジンの薗頭-萩原カップリング重合により,ビピリジンを主鎖に有する光学活性共役高分子を合成した。得られたポリマーは主鎖の吸収領域に強いコットン効果を示したことから,キラルな二次構造を形成していることが分かった。ポリマーの発光は白金を配位することで速やかに消光し,本ポリマーは金属センサーへの応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
・新規配位子の設計と立体配座の制御:引き続き,水素結合・π相互作用・ファンデルワールス相互作用による立体配座の固定が可能なオリゴペプチド鎖を有する各種配位子を合成する。 ・遷移金属錯体部位を主鎖・側鎖に有する共役高分子の合成と架橋:上記で合成したオリゴペプチド鎖含有配位子を活用して,ジインと金属ジクロロ錯体との脱塩酸重合による,主鎖に白金錯体部位を有する高分子を合成する。さらに,オリゴペプチド鎖を有する配位子をもつ側鎖型共役高分子錯体を合成する。モデル化合物の単結晶X線構造解析,円偏光二色性スペクトル,原子間力顕微鏡・動的光散乱,DFT計算・MDシミュレーションにより高次構造・会合構造を検討し,分子設計にフィードバックする。 ・触媒特性の評価:得られる含金属高分子を触媒に用いて,オレフィンの水素化・ヒドロシリル化等の触媒としての特性を評価する。当該高分子は光学活性を有しているので,反応後不斉点を生じる基質を用い,不斉誘起能を評価する。不斉誘起反応は,活性錯合体における配位子と基質との相互配置の面選択性の制御が生成物の不斉収率向上のポイントである。高分子触媒においては,主鎖の立体配座の制御により,金属錯体部位の空間配置を制御可能である。 ・光電気特性の評価:配位子の立体配座と相互作用に基づく共役高分子の立体配座の制御を活用した光電気特性の制御を目指し,蛍光・りん光寿命測定,エレクトロルミネッセンス特性の評価を実施する。実験結果の理論的解釈を進めるため,DFT計算を行い,立体配座と分子軌道のエネルギー準位・遷移モーメントの方向と大きさおよび軌道の空間配置,分子軌道の重なりを明らかにし,紫外可視吸収,蛍光・りん光発光特性との相関を解明する。MDシミュレーションも実施し,分子軌道と構造の静的・動的な状態を正確に把握し,分子設計にフィードバックする。
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Report
(2 results)
Research Products
(30 results)