Project/Area Number |
22K05233
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35020:Polymer materials-related
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
河内 岳大 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (70447853)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 包接錯体 / らせん / 分子認識 / ゲル / ポリメタクリル酸メチル / 超分子 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、分子包接能を有する高分子ラセン(螺旋)の集合体(微結晶)が架橋点を形成している物理ゲルにおいて、トリガー分子(ゲスト)の包接により誘起されるラセン構造全体の協調的かつ非線形な構造変化について明らかにし、局所刺激がカスケード的にマクロな構造変化を引き起こす動的な生体軟組織模倣ゲルを構築する。また、包接錯体形成に起因する分子認識能、光学活性、ゲストの一次元配列などの分子機能の動的制御についても検討し、汎用高分子であるPMMA(アクリル樹脂)を原料としつつも、全く新規な機能性ソフトマテリアルを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
シンジオタクチック-ポリメタクリル酸メチル(st-PMMA)は、トルエン中でラセン構造を形成することで結晶化し、ゲル化する。このラセン構造がホストとして作用し、フラーレン類などのゲスト分子を包接して結晶性の錯体が得られる。昨年度はゲスト分子としてC60とC70が共存した場合の包接現象について検討した。本年度は、フラーレン類以外のゲスト分子としてコロネンを用い、フラーレン類とコロネンが共存した場合の包接錯体の形成挙動について調べ、包接錯体形成を鍵とするコロネンの蛍光特性制御について検討した。 ゲスト分子を溶解させたトルエン溶液にst-PMMA(Mn = 580k, rr = 95%)を加え、110 ℃で加熱し均一溶液とした後、室温まで徐冷してゲル化させた。遠心分離により包接錯体ゲルを沈降させ、上澄み液のHPLC測定により包接率を算出した。 まず、C60、C70、コロネンを単独で用いた包接実験を行った(st-PMMA 0.5 mg、トルエン 1 mL)。C60とC70の比較では、C70の方が包接されやすく、例えば、フラーレン濃度0.6 μmol/mLにおいてはC70が2倍程度包接され易い。一方、コロネンの包接挙動は大きく異なり、0.6 µmol/mL以上の濃度ではC70よりも高い包接量となるものの、低濃度(< 0.35 μmol/mL)ではC60よりも低い包接量となり、0.17 μmol/mL以下では全く包接されなかった。 ゲスト分子を2種組み合わせた包接実験として、C70とコロネンの混合物をゲストとして実施した。C70/コロネン混合ゲストの濃度を変化させると、C70は単独の場合と同様に包接された。対してコロネンは、低濃度では単独の場合と同様の挙動を示し、高濃度ではC70と共に包接された。C70とコロネンの組み合わせでは、包接錯体の形成量自体が増加することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は新規ゲスト分子としてコロネンを用いて研究を実施した。コロネンは蛍光を示す物質であることから、ナノ空間であるらせん構造内に包接されることでその発光挙動が大きく変化する。また、C70はコロネンの消光剤(クエンチャー)として作用することから、コロネンとC70を混合ゲストとしたst-PMMA包接錯体ゲルは発光特性をチューニング可能な新規ゲル材料として期待できる。最終年度は複数ゲスト分子の包接錯体形成を鍵とする新規スマートゲルの作製に着手する。
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