Project/Area Number |
22K05244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35020:Polymer materials-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
水谷 義 同志社大学, 理工学部, 教授 (40229696)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 複合材料 / バイオマス / セルロース / ヒドロキシアパタイト / 骨 / カーボンニュートラル / 水 / 靭性 / アシル化 / 疎水基 / 極性基 / リン酸カルシウム |
Outline of Research at the Start |
骨や歯は、軽量かつ剛直、高靭性な優れた特性を持ち、また、環境に優しい。骨や歯は、無機結晶であるリン酸カルシウムとたんぱく質や多糖類の高分子が複合化した構造である。骨は、10%程度の水を含んでおり、これが、骨の力学的性質に大きな影響を与えている。本研究では、リン酸カルシウム-高分子複合体を合成し、水がこれらの複合体の力学特性にどのような影響を与えるかを明らかにする。特に、高分子やリン酸カルシウムの構造によって水の効果がどのように変化するかを明らかにし、次世代の構造材料の開発につなげる。
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Outline of Annual Research Achievements |
骨をモデルとした高分子ーリン酸カルシウム複合体の開発において、高分子としてできる限りバイオマスをそのまま用いるという検討は、構造材料がキログラムやトンのような大きなスケールで供給することが必要なことを考えると、できるだけ天然から採取した状態のまま原料として使うことが重要である。化学修飾などを行っていないセルロースとして、セルロースミクロフィブリルを用いて、ヒドロキシアパタイトとの複合化を検討した。セルロースミクロフィブリルは繊維構造を保持しているが、セルロースをアルカリで高温で処理すると、マーセル化によって繊維の解繊が期待される。ヒドロキシアパタイトとの複合化においては、塩基性条件下で加熱を行うので、マーセル化によるセルロース繊維の解繊とヒドロキシアパタイトとの複合化が同時に起こるのではないかと考えて。複合化の検討を行った。セルロースミクロフィブリルとヒドロキシアパタイトの重量比が70:30, 50:50, 30:70, 10:90 の仕込み比のものを合成し、熱重量分析、X線回折、電子顕微鏡観察などでキャラクタリゼーションを行った。複合体の有機:無機重量比は、仕込み比にほぼ一致し、複合化がうまく進行していることが分かった。得られた複合体は、一軸加圧成型によって成形体を作り、成形体の機械的性質を三点曲げ試験で評価した。機械的性質は、化学処理を行ったセルロース誘導体である、カルボキシメチルセルロースやTEMPO酸化セルロースナノファイバーとヒドロキシアパタイトとの複合体の機械的性質と大きくは異ならないものが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨の構造をモデルに、バイオマスに焦点を当てた有機ー無機複合体の開発を行い、化学修飾を行ったセルロース以外に、セルロースミクロフィブリルでも同様の複合化が進行することを明らかにした。また、カルボキシメチルセルロースやTEMPO酸化セルロースナノファイバーとヒドロキシアパタイトとの複合体については、カルボキシメチルセルロースやTEMPO酸化セルロースナノファイバーのもつカルボキシ基の対イオンを疎水性アンモニウムイオンに交換する反応を検討している。疎水性アンモニウムイオンでも長鎖の四級アンモニウム塩でイオン交換がうまく進行し、イオン交換したものは、耐水性が向上することを見出した。TEMPO酸化セルロースナノファイバーとヒドロキシアパタイト複合体の成型物は、室温で水に1日浸漬させると約30%の水を吸収し、成形体の形状を保っていることが分かった。水を含んだ成形体の三点曲げ試験によって、弾性率などを評価し、複合体の有機成分:無機成分:水の割り合いと弾性率がどのように相関するかを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で、バイオマスを原料としてヒドロキシアパタイトとの複合体を共沈法で合成する方法をいろいろと検討し、セルロース、デンプン、セルロース誘導体などとヒドロキシアパタイトの複合体をいろいろな有機:無機重量比、いろいろな水の含有量で合成することができている。有機:無機:水の組成比によって、複合体の機械的性質である曲げ強度、弾性率、破壊エネルギーなどが変化することを見出した。このような知見は、骨、歯のみならず、関節や靭帯、腱などの軟組織と骨などの結合部分を作ることができることを示唆している。弾性率がことなる材料の結合や成形体の表面の性質の制御などを目的として本研究を発展させて行きたい。
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