Project/Area Number |
22K05260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35030:Organic functional materials-related
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 真一 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (50317294)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 色素 / クロロフィル / 人工光合成 / 太陽電池 / ペロブスカイト / 光触媒 / 水素発生 / 自己会合 / 有機色素 |
Outline of Research at the Start |
天然色素(バクテリオ)クロロフィル類を原料として、吸収波長の異なる複数の色素誘導体を連結させた全太陽光吸収型パンクロマティック色素を系統的に合成し、太陽電池へ応用した際の光電変換効率の向上を確認する。また、無機導電性材料とパンクロマティック有機色素を複合させたハイブリッド光触媒を創製し、太陽光照射による水分解(水素発生)や二酸化炭素の還元再資源化などに活用した際の有効性を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
水分解による水素発生を目的とした有機無機ハイブリッド型光触媒の開発において、以下(1)~(3)のような新規触媒を作製し機能評価を行った。(1)カルボン酸部位を有するクロリンに補助色素として一連のクロロフィル誘導体を連結させたパンクロマティック色素を合成し、これらのダイマー型増感色素でPt/TiO2表面を修飾した複合触媒を作製してアスコルビン酸水溶液中で可視光照射したところ、最高で5.4 mmol/ghの水素発生効率が達成できた。(2)自己会合型亜鉛クロリン(Chl)・グラフィクカーボンナイトライド(g-C3N4)・チタンカーバイド(Ti3C2Tx)MXeneを順次積層させた複合触媒Chl@g-C3N4/MXeneの性能が、既報のChl@g-C3N4ならびにChl@MXeneより優れていることを示した。(3)無機材料MXeneと組み合わせる有機色素にスクアリリウム色素(SQ)を初めて適用した。異なる数の水酸基を有するSQを合成しMXeneナノシートの層間へ挿入した複合触媒を作製して可視光照射下における水素発生効率を評価したところ、水酸基を4つ持つSQが最も高い効率を示し、SQ色素の有効性が実証された。 フラーレンを用いない既存の有機薄膜太陽電池(PM6:Y6)にジシアノメチレン基を有するクロロフィル誘導体のフリーベース体または亜鉛錯体を添加剤として組み合わせることで、光電変換効率を添加剤無しの15.97%からそれぞれ17.30%ならびに16.61%へと向上させることに成功した。 ビニル基を有するクロリン銅錯体をモノマーユニットとして電気化学的重合法によりクロリンポリマー膜を作製し、ペロブスカイト型太陽電池のホール輸送層として利用したところ、光電変換効率19.0%を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に引き続き、水分解による水素発生を目的とした有機無機ハイブリッド型光触媒の開発を中心に、種々のエネルギー関連デバイスに活用できる機能性色素の開発に取り組んだ。 まず水素発生用光触媒の創製においては、「Pt/TiO2ベースの無機触媒を表面修飾するためのパンクロマティック増感色素としてカルボン酸型クロリンに別のクロリン型補助ユニットを連結させたクロリン二量体増感色素を合成し触媒の機能向上を図る」・「これまでに開発したChl@g-C3N4とChl@MXeneを組み合わせた複合触媒Chl@g-C3N4/MXeneの性能が積層構造の構築により向上することを検証する」・「チタンカーバイド(Ti3C2Tx)MXeneとスクアリリウム色素(SQ)を組み合わせた新規触媒SQ@MXeneを作製しその水素発生能を評価することでSQ色素の有効性を実証する」という3つのアプローチを試みたところ、すべての課題について期待した成果が得られ、学術論文に報告することができた。 太陽電池関連のテーマに関しては、既報の有機薄膜太陽電池(PM6:Y6)にクロロフィル誘導体を添加剤として組み合わせることで光電変換効率の向上を図る、ならびに電気化学的重合法により作製したクロリンポリマー膜をペロブスカイト型太陽電池のホール輸送層として活用する、という2つの課題について期待以上の結果が得られ、学術論文に成果発表することができた。 以上の成果に加えて、これまでに開発した2種のクロロフィル誘導体を感光性材料として組み合わせた光検出器の作製にも成功した。また、ある種の亜鉛クロロフィル誘導体が亜鉛バッテリーの電解質添加剤として有効であることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果をもとに、ペロブスカイト型太陽電池の性能を向上させるためのクロロフィル誘導体の創製を行う。また、有機無機ハイブリッド型光触媒の実用化を指向した増感色素類の開発に取り組む。 ペロブスカイト太陽電池のホール輸送層として、電気化学的重合法で作製したクロロフィルポリマー膜が電池の効率を向上させるだけでなく、耐久性にも優れていることを見出した。そこで、親水性のペロブスカイト表面との相性が良いと予想される親水性クロリンポリマー膜を新たに創製するために、重合サイトであるビニル基・アセチレン基を有するクロリンの銅またはニッケル錯体に長鎖エチレングリコールなど親水性側鎖を導入したモノマーユニットを設計・合成し、電気化学的手法で重合させた親水性ポリマー膜を作製して電池に適用した際の特性評価を行う。また、ピリジニウム部位やアミノ酸塩など電荷を有する官能基を導入したクロリン誘導体を合成し、対イオンの効果とあわせて、電池特性に及ぼす効果を検討する。 光触媒については、Pt/TiO2修飾用に開発したカルボン酸型クロリンの色素二量体をベースとして、新たな補助色素との組み合わせや二つの色素間距離を短くした色素連結体の設計と合成を行う。作製した触媒の水素発生能を評価するとともに、増感色素の分子内エネルギー移動効率の算出や量子化学計算を用いた増感色素の特性解析も行う。また継続テーマとして、カルボン酸型クロリンを化学吸着させたChl@Pt/TiO2の外層にカロテノイド等の脂溶性色素を疎水性相互作用でコーティングさせる新しいタイプの無機触媒修飾法を確立する。MXeneとハイブリッドさせる増感色素の候補として、初年度とは別のタイプのスクアリリウム色素を系統的にスクリーニングする。さらに、ベータカロテン・アスタキサンチン・クロセチンなど互いに吸収波長領域の異なるカロテノイド類についても比較を行う。
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