アノード層内理想的活性サイト形成による超高効率SOFCの創製研究
Project/Area Number |
22K05274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 36010:Inorganic compounds and inorganic materials chemistry-related
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 滋啓 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20707806)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | SOFC / アノード / Ba2In2O5 / ブラウンミラライト型構造 / インフィルトレーション法 / 固体酸化物形燃料電池 / 活性サイト / 格子欠陥 |
Outline of Research at the Start |
今回提案するインフィルトレーション法によるアノード層内への酸化物助触媒の活性サイト形成は、これまでにSOFC普及の障害となっていた性能と安定性のトレードオフを解消した高性能・高安定性を有する革新的IT-SOFCの世の中への普及に貢献できると考えられる。それが実現できれば水素エネルギー利用の加速・促進、省エネルギー効果、環境負荷低減効果、エネルギーの供給多様化、石油代替効果、分散型電源としての利用、産業競争力強化と新規産業・雇用の創出などの付加価値が期待でき、我々生活を豊かにしてくれることに大いに期待ができる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究における計画内の2022年度の実施項目は固体酸化物形燃料電池(SOFC)のアノード層へ「①BIO助触媒添加による発電性能向上効果確認」を中心に行った。 発電性能評価に用いるSOFC単セルは通常のSOFCアノードであるNiと8YSZサーメット電極粉末に助触媒である酸化物を先行研究で明らかとなっている最適量を添加することで作成しそのアノードを用いてSOFC単セルを作成した。発電評価方法は電流遮断法によって得られた電極性能のみを取りだしたIR-freeのI-V曲線からその性能を評価した。 その結果BIO助触媒(Ba2In2O5酸化物)はSOFCアノード層へ添加することで当初の装うの通り発電性能向上効果が得られた。また助触媒添加量の最適化、再現性確認なども行うことができたため、実施計画を前倒しに行い次年度実行計画項目である「②BIO助触媒導入方法(インフィルトレーション法)の検討」を行った。本項目はBIO含侵用溶液を調整して、BIO成分をSOFCアノード層内への助触媒の広域かつ均一添加を試みる取り組みである。まず、BIO含侵溶液はBaNO3とInNO3を水溶液とした溶液で含侵を試みた。その溶液でBIO成分を含侵させたSOFC単セルを電流遮断法により、性能評価を行うと添加していない基準となる標準SOFC単セルより性能は低下した。この結果を明らかとするためにインフィルトレーション法を用いたSOFC単セルのSEM/EDX解析やXPS解析によってSOFC単セルにおけるアノード表面の評価を行ったところ、性能低下につながったであろう要因が明らかとなった。1つ目は助触媒のBIO成分であるBa成分気発(消失)による影響、2つ目はNiの触媒性能を低下させたであろう不純物生成の影響である。これらの影響を取り除くには含侵溶液の濃度やSOFC単セルの電極焼き付け温度などの条件を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2022年度実行予定の計画を順調に終えて2023年度実行予定の計画に取り組めていると申請者は考えている。 具体的にはBIO助触媒の添加効果とその最適化を早期に明らかとできた。これはSOFCアノードへ添加する助触媒の候補材料を自身の先行研究結果であるGULPを用いた欠陥構造シミュレーションによってSOFCアノード層のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)表面にその存在が好ましいであろうBIO助触媒が形成する活性サイトの存在可能性の示唆を踏まえて目星をつけていたため、発電性能向上に影響を与える助触媒の選定におけるトライ&エラーを行わなくてすんだことに起因している。また先行研究によるBIZZO助触媒の添加効果の結果を踏まえ、BIZZO助触媒と構成元素がほぼ同じであるBIO助触媒を選定してることでアノード層への添加量についても大まかな目星をつけることができたことは研究の成果進捗を早めている大きなポイントである。またこのように早期に計画が進んだことから、学会発表も本内容で行えたことも付け加える。 これらの事項がこの本年度の項目に時間をかけることがなかったことから、これまでに申請者が取り組んでいない次項目のインフィルトレーション法の最適条件の検討に時間をかけることができる大きなアドバンテージである。 本年度は性能向上効果が明らかとなったBIO助触媒成分をインフィルトレーション法によって添加し、通常添加時よりもSOFC発電性能向上効果を得ることを目標とする。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は申請書に記載した予定通りの「BIO助触媒導入方法(インフィルトレーション法)の検討」を行う予定である。既に前年度に前倒しで行っている実験結果を踏まえて「含侵溶液の濃度検討」、「Ba成分揮発抑制条件における電極焼き付け」などを中心に行う予定である。また、含侵溶液自体も現在はBaNO3とInNO3を水溶液であり、電極焼き付け時にBa2In2O5を形成するように試みているが、Ba2In2O5粉末をアルコールなどに分散させ懸濁液とし、その溶液でインフィルトレーション法を試みる方法も予定している。本方法を採用する場合はBa2In2O5粉末の粒子径サイズを結晶構造が崩れないレベルで最小化する必要があるためBa2In2O5微粒子粉末の合成も並行して行う予定である。 また、上記事項に付随して進捗が大幅に前倒しに進んでいることからSOFCの性能評価方法もプラスして行う予定である。現状では電流遮断法という手法で電極成分のみを取り出して自身が細工を施している電極性能評価を行っているが、それに加えて交流インピーダンス法を用いたナイキストプロットにより、更にその電極性能評価を行いたいと考える。 交流インピーダンス法によって得られたナイキストプロットによって電極性能評価を行うことは燃料電池における評価では古典的な手法であり、確立された方法であるため、電流遮断法と交流インピーダンス法の2つでクロスチェックをおこなって今回得られている実験結果を確かなものにしたいと計画している。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)