Project/Area Number |
22K05298
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊勢川 美穂 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 学術研究員 (30710488)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 光触媒 / MOF / DFT計算 / 触媒活性 / 水素 / 二酸化炭素 / 量子化学計算 / CO2還元 / 材料設計 / 酸化還元 |
Outline of Research at the Start |
分子性触媒によるCO2の電気化学的還元反応において、電子移動および化学反応速度が加速されることは触媒効率上昇のために必須である。均一系触媒ではMnビピリジン錯体がCO2還元触媒として活性を示すことが知られている。最近では、Mn触媒は有機金属構造体(MOF)などの多孔質電極材料へ導入された場合も触媒活性を示すことが報告されている。しかし、材料に導入された場合の効率を改善するための設計指針は確立されていない。本研究では量子化学計算により、Mn錯体の電子還元及びプロトン移動の効率に着目したリガンド設計をおこない、MOF(UiO-67)にMn錯体を導入し、CO2還元効率を向上させるための因子を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
金属有機構造体(MOF)触媒の設計においては、異なる金属やリガンドを使用することで、触媒の活性などを調整することが可能である。このような可変性の高さは、MOFの汎用性の高さに結びついている。本課題研究では特に水素発生もしくはCO2還元を行うMOFについて着目している。H2生成に関して、ヒドロゲナーゼ酵素は効率的で、貴金属を含まない水素発生触媒として注目されているが、近年この構造的・機能的な[NiFe]-ヒドロゲナーゼ・モデル錯体(NiFe)がZr系MOF PCN-777に組み込み込まれた新しいハイブリッド材料の開発されている。金属錯体は長年研究されてきたが、固体材料に導入する際には、単体の振る舞いを理解することが重要である。本研究ではNiFe錯体について、金属およびリガンドが水素発生の熱力学や速度論、また逆反応の水素活性化の生成物として生成されるヒドリド錯体のhydricityへ及ぼす影響について調査した。またCO2還元に関しては、MOFに導入するためのMn錯体について、bpy配位子上のHを様々な官能基で置換することで、Mn錯体の電子的性質を変化させ、還元電位及びCO2還元の各素反応の熱力学および速度論への影響を調査した。具体的に、bpy配位子のHを電子供与性基と電子吸引性基に置換し、メカニズムについての影響も考察した。CNについてはメカニズムが他の化学基を導入した場合と異なることが明らかになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水素の活性化・製造を含む様々な触媒反応において、貴金属は、高い活性を示すことが知られているが、貴金属を組み込むことなく、地球上に豊富に存在する3d遷移金属を用いて高効率な触媒を生成することは、持続可能性や産業応用の観点から極めて重要な課題である。MOFへ組み込まれる金属錯体の触媒活性の起源を理解するための一つのアプローチは、既存のモデル錯体において、貴金属を3d遷移金属に置き換えた場合、あるいはその逆の場合の動力学と熱力学の定量的変化を調べることである。我々はバイオインスパイアードNiFe錯体において、水素の活性化の速度論と熱力学、水素化物錯体の水和度、電子酸化感受性に及ぼす金属と配位子の影響を調べた。具体的には、金属置換に関しては、NiとFeをそれぞれ周期表の同族元素であるPdとRuに置換した。配位子に関しては、CO配位子をCNおよびNCS配位子に置換した。密度汎関数理論計算の結果、水素の活性化には以下の順序が熱力学的に有利であることがわかった:[NiFe(CO)]2+ > [NiRu(CO)]2+ > [NiFe(CNMe)]2+ ~ [PdRu(CO)]2+ ~ [PdFe(CO)]2+ >> [NiFe(NCS)]+ 。さらに、熱力学的なhydricityについては逆順が有利であった。これらモデル錯体をMOFに組み込み電子状態の変化を調査する予定であったが、現時点では行われていない。
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Strategy for Future Research Activity |
CO2還元について、Kubiakらにより、Mn錯体を組み込んだUiO-67(Zr)MOFがCO2変換の光触媒として機能することを示されている。Mn錯体が組み込まれたMOF、UiO-67-Mn(bpy)(CO)3BrはDMF/トリエタノールアミン中で、可視光照射下で高効率のCO2還元を行い、生成物としてギ酸が得られることわかっている。HCOO種の前駆体としてヒドリド錯体が生成されるが、このヒドリド錯体のhydricityはCO2還元において速度論的にも熱力学的にも重要であると考えられている。我々はこれまで、mesbpyリガンド(mesbpy = 6,6’-dimesityl-2,2 -bipyridine) を保持するMn錯体のCO2からCOへの還元反応における熱力学及び速度論について、mesbpyの、メチル基の化学基置換の影響について調査してきており、電子還元度やCO2結合能が化学基によって大きく変動することを示してきた。このようなリガンドによるダイナミックな変化がMOFに組み込まれた場合にも見られるのか、そしてMOFのバンド構造がどう変化していくのか研究を推進していく。今後は具体的に、[Mn(mesbpy)(CO)3]錯体をMOFへ導入したクラスターモデルを構築し、hydricityのリガンド依存について調査する。クラスターモデルは、周期的境界条件で構造最適化されたMn錯体が導入されたMOFから導出し、bpyリガンドを電子供与性基と電子吸引性基に置換し、置換基のhydricityへの影響を調査する。
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