遺伝子修復酵素OGG1機能不全によるパータナトス型神経細胞死の酵素学的病理解析
Project/Area Number |
22K05320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 37010:Bio-related chemistry
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
田中 好幸 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70333797)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 酵素反応機 / 構造化学 / NMR / X線結晶構造解析 / タンパク質核酸複合体 / 酵素反応機構解析 |
Outline of Research at the Start |
8-OxoGuanine Glycosylase 1 (OGG1) は、8oxoGの脱塩基反応 (グリコシラーゼ反応) と、それに続くDNA鎖切断反応 (βリアーゼ反応) の二つの反応を触媒する二機能性酵素である。ところでOGG1は、近年アルツハイマー病との関連が取り沙汰されており、OGG1のβリアーゼ活性と疾病の関係に強い興味が持たれている。本研究では、アルツハイマー病等の病理とOGG1の酵素活性との関係を明らかにするために必要な、OGG1の変異体の取得を目指している。これをもって、酵素学的側面から病理の理解に資することを目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
8-OxoGuanine Glycosylase 1 (OGG1) は、8oxoGの脱塩基反応 (グリコシラーゼ反応) と、それに続くDNA鎖切断反応 (βリアーゼ反応) の二つの反応を触媒する二機能性酵素である。ところでOGG1は、近年アルツハイマー病との関連が取り沙汰されており、OGG1のβリアーゼ活性と疾病の関係に強い興味が持たれている。そこで本研究では、βリアーゼ活性欠損型等の変異型OGG1の創製を試みる。その過程で得られた種々の変異体を利用して、OGG1の酵素活性の変調が疾病を誘起する機構を考察する。なおOGG1においてはβリアーゼ活性とグリコシラーゼ活性は共通の活性残基が使われおり、その機能分離には触媒機構の深い理解が必須である。よって本研究では、徹底した化学的触媒機構解析を実行し、βリアーゼ活性欠損型OGG1のRational Design (論理的改変) を実行する。もって多機能酵素の触媒能ごとの生体内機能解析に道を拓く。 ところでOGG1には、D268残基とK249残基という2つの活性残基が知られている。このうち、βリアーゼ活性に関与するのは、K249残基である。よって、上記の目的を達成するために2022年度、K249残基を変異させた各種変異体を作成した。4種類のアミノ酸に置換した変異体を作成して、活性を調べたところ、3種類は不活性な変異体となったが、1種類の変異体では酵素活性が検出された。なお、本変異体を用いた酵素反応実験で、反応後の基質DNAの化学構造を質量分析法(ESI-MS)で解析したところ、グリコシラーゼ反応のみが起きたことを示すAP-siteの生成が確認できた。この結果は、本活性型変異体がβリアーゼ活性を失っていることを支持する結果である。今後、結晶構造解析により反応メカニズムを調べて、酵素活性を確定していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、活性残基K249に変異を導入した上で、グリコシラーゼ活性を残した変異体をとることが目的である。ところで、活性残基に変異を入れると単なる不活性変異体となるのが一般的であるが、本研究においては、活性変異体が取れている。また前年度の目標としていた、質量分析による反応生成物の構造解析も達成された。その結果、さらなる検証は必要なものの、βリアーゼ活性を欠失した変異体が取得できた可能性が強く示唆された。 以上の成果より、本研究課題は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
○ 上述の通り、K249残基に変異を導入した活性変異体においては、昨年度の実験により、質量分析法(ESI-MS)によって、OGG1によってプロセスされた基質DNAはAP-site(リボースのアノマー位に水酸基が結合した構造)となっていることが示された。これは当該活性変異体がグリコシラーゼ反応のみを触媒し、βリアーゼ反応は起こさなかったことを支持している。今後、NaBH4存在下で酵素反応を行うことで、βリアーゼ反応の中間体である「シッフ塩基中間体」が形成されているかどうかについても検証を進めていく予定です。さらに、上記の活性変異体が、βリアーゼ活性を失ってグリコシラーゼ活性のみなっていなかった場合に備えて、その他の活性変異体の取得も同時並行で進めていきたい。次なる変異体作成では、Lys249 (K249) と Cys253 (C253) のアミノ酸を入れ換えたK249C/C253K二重変異体が活性変異体であることに基づいて、本K249C / C253K 二重変異体のK253残基にも変異を導入して、活性変異体の取得を目指したい。なお本研究課題で計画している以下の実験についても進める予定である。 ○ X線結晶構造解析:OGG1-DNA複合体中の酵素反応中間体直接観測: 活性残基であるAsp268(D268)の触媒機構上の化学的役割の同定には、基質DNAとの共有結合中間体の観測が鍵となる。そこで、我々が創生した活性型変異体と基質の複合体を結晶化したところ、反応前の複合体を作成することに成功した。現在、本結晶中で当該活性変異体の酵素学的特性を利用して、化学刺激によって酵素反応を駆動させ、酵素反応中間体の構造決定に挑んでいる。 ○ 量子化学計算によるOGG1触媒機構解析: 反応中間体の結晶構造が得られたら、その反応経路を量子化学計算で検証する。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)
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[Presentation] hOGG1 の塩基修復反応メカニズムにおける活性残基の役割2023
Author(s)
森川雅行, 服部良一, 福田万里子, 露口風花, 重松航太, 越智悠介, 富永隆都, 稲村 蓮, 中塚力輝, 岡田卓也, 市原尚弥, 眞野遥佳, 海野昌喜, 田中好幸
Organizer
日本環境変異原ゲノム学会第52回大会
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[Presentation] Roles of catalytic residues during excision of 8-oxoguanine by hOGG12022
Author(s)
○Masayuki Morikawa, Yoshikazu Hattori, Mariko Fukuta, Fuuka Tsuyuguchi, Kota Shigematsu, Yusuke Ochi, Ryuto Tominaga, Ren Inamura, Riki Nakatsuka, Takuya Okada, Naoya Ichihara, Haruka Mano, Masaki Unno, Yoshiyuki Tanaka
Organizer
International Symposium Nucleic Acids Chemistry 2022
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