Project/Area Number |
22K05368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38010:Plant nutrition and soil science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻庭 康仁 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80792192)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 窒素欠乏応答 / miRNA / 葉の黄化 / 植物栄養 / 窒素 |
Outline of Research at the Start |
窒素欠乏環境において、植物は、窒素栄養の獲得に関わる輸送体遺伝子の発現を上昇させるなどの窒素欠乏応答と呼ばれる適応応答を示す。一方、小分子の非コードRNAのマイクロRNA (miRNA)は相補的な配列を持つmRNAの発現を抑制することが知られ、植物の様々な生物学的プロセスにおける発現制御機構において重要な役割を果たす。本研究課題では、まだほとんど明らかになっていないmiRNAを介した窒素欠乏応答の制御の全貌解明を目標として、窒素欠乏応答に関わる新規miRNAの同定と機能解析、窒素欠乏応答時に起こるダイナミックなmiRNAの蓄積変動の分子メカニズムの解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物の成長には、土壌中からのバランスのとれた無機栄養素の吸収が必要である。窒素は植物にとって最も多く必要な栄養素の1つであり、窒素栄養が不足した環境では、植物の成長は著しく妨げられる。窒素欠乏環境において、植物は、窒素栄養の獲得に関わる輸送体遺伝子の発現を上昇させるなどの窒素欠乏応答と呼ばれる適応応答を示す。一方、小分子の非コードRNAのマイクロRNA (miRNA)は相補的な配列を持つmRNAの発現を抑制することが知られ、植物の様々な生物学的プロセスにおける発現制御機構において重要な役割を果たす。申請者は、窒素欠乏応答の重要側面である葉の黄化に着目し、50種類のシロイヌナズナ野生系統において低窒素条件で葉の黄化の促進に関わる3つのNAC型転写因子遺伝子の発現量を調べ、それらを量的形質したExpression Genome-Wide Association Study (eGWAS)を行った。結果、3番染色体の短腕側に明瞭なピークが見いだされ、その近傍に、miRNAの生合成に関わるHASTYを見出した。また、低窒素条件において、HASTYの機能欠損は葉の黄化の進行を早めること、逆にHASTYの過剰発現は葉の黄化を遅らせることを明らかにしている。 そこで本研究では、まだほとんど明らかになっていないmiRNAを介した窒素欠乏応答の制御の全貌解明を目標として、窒素欠乏応答におけるHASTYの機能解析を通して、植物における窒素欠乏時のダイナミックなmiRNAの蓄積変動の分子メカニズムの解明、および窒素欠乏応答に関わる新規miRNAの同定と機能解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目は、hasty変異株を用いたmiRNA-seq解析を行い、窒素欠乏条件でおよそ検出されたmiRNAのうち半分以上のmiRNAの発現が顕著に減少し、その多くの発現がhasty変異株で下方制御されていることを明らかにし、窒素欠乏時にHASTYを介したmiRNAの大規模なmiRNAの発現変動が重要であることが示唆された。また、窒素欠乏応答におけるHASTYの機能に重要なアミノ酸残基の解析も計画通り進み、1006番目のスレオニン残基がHASTYと相互作用因子DCL1やmiRNAとの相互作用に重要であることを明らかにした。 2年目は、HASTY-MYC過剰発現株を用いたRIPアッセイ、および二分子蛍光相補(BiFC)アッセイにより窒素欠乏時には、HASTYと相互作用因子DCL1およびmiRNAとの相互作用が著しく低下することを明らかにした。また、これまでに得られている結果をまとめて論文執筆を行い、Nature Communicationsに投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
Nature Communicationsに投稿した論文は修正依頼をいただき、現在追加実験を行なっている。具体的には、miRNA-seq解析により同定したHASTYを介した窒素欠乏応答に関わるmiRNA781の標的mRNAの同定のために5'RACE実験の準備を進めている。 一方、HASTYの 1006番目のスレオニン残基がリン酸化修飾を受けるアミノ酸残基であるかを、phos-tag電気泳動法や nanoLC/ISI/MS/MSを用いた解析によって検証を進める。
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