作物の根細胞壁によるケイ酸塩鉱物風化現象の解明と新たな可給態カリウム評価法の作出
Project/Area Number |
22K05372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38010:Plant nutrition and soil science-related
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
森泉 美穂子 龍谷大学, 農学部, 教授 (10220039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草 佳那子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 主任研究員 (10414616)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | カリウム / ケイ酸 / カリ長石 / 粘土鉱物 / イネ / トウモロコシ / 土壌炭素蓄積 |
Outline of Research at the Start |
イネは,土壌から供給されるKイオンが不足してもK欠乏症状を示すことなく生育する.これは,イネが鉱物を風化させ,溶出したKとケイ酸を吸収利用できることを示している.また,同時に鉱物から溶出したAlは,土壌に残留し,有機物と結合する.本研究は,「イネ根の細胞壁により鉱物が破壊されるメカニズム」を解明する. 我々は,根細胞壁の官能基によって鉱物の4配位Alが錯化され,その近傍のKイオンやケイ酸が溶出することで鉱物が破壊されると仮説を立てた.本研究は,作物の元素吸収による鉱物の変化を解析するとともに,根のキレート部位を特定し,そのメカニズムを明らかにする.さらに,新たな可給態Kの測定法を提案する.
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Outline of Annual Research Achievements |
イネ根による鉱物崩壊作用を証明するための鉱物培地における生成粘土鉱物の同定 3品種のイネ(ヒノヒカリ,オオチカラ,Lsi-1;オオチカラのケイ酸トランスポーター欠損品種)およびトウモロコシをカリウム肥料およびケイ酸(シリカゲル)肥料の代わりにカリ長石を施用した培地を用いて約60間栽培した.さらに,栽培後に形成された非晶質物および粘土鉱物を5種類の抽出液(KCl,CuCl2,ピロリン酸,シュウ酸アンモニウム,NaOH)を使った逐次抽出およびX線回折装置を用いて同定した. カリ長石培地区のオオチカラはカリウム(K)およびケイ酸施肥区(完全区)と同等に生育した.ヒノヒカリ,Lsi-1,トウモロコシは完全区よりも劣ったものの,K施肥区とはほぼ同等に生育した.カリ長石から吸収したK量は,ヒノヒカリ,オオチカラ,Lsi-1,トウモロコシの順に多かった.また,ヒノヒカリとオオチカラの根圏には,ハロイサイト,バーミキュライトが形成されていた.Lsi-1の根圏にはわずかにハロイサイト,バーミキュライト,モルデナイトが形成されていた.また,トウモロコシ根圏ではモルデナイトとわずかなハロイサイトが形成されていた.栽培後培地の非晶質Al量はイネ3品種で多く,トウモロコシはイネの60%に留まった.さらに,シュウ酸アンモニウム抽出の非晶質物(アロフェン様物質)のAl/Siは,ヒノヒカリとオオチカラでは6.2,6.8と高く,Lsi-1では3.3であり,トウモロコシでは1.2と培地長石の1.0とほぼ同等であった.以上の結果より,イネ根はカリ長石を破壊し,Kおよびケイ酸を吸収しており,その残さが粘土鉱物およびアロフェン様物質を形成していると推測された. さらに,同様の栽培を白雲母培地および黒雲母培地で行ない,鉱物破壊作用を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,「1.鉱物破壊能がある作物の探索」「2.作物による鉱物破壊現象の解明」「3.新規可給態K測定法の確立」から成る.2022年度は,1および2の課題に関する検討を行ない,下記のような結論を得た. 「鉱物破壊能がある作物の探索」トマトは鉱物破壊能が存在せず,トウモロコシは能力があるものの低く,イネの鉱物破壊能は高かった.今後は,他の作物でも検証する予定である. 「作物による鉱物破壊現象の解明」カリ長石,黒雲母,白雲母を培地としてイネの鉱物破壊能を検討した.その結果,鉱物の結晶構造により,根の官能基がキレートする部位の元素やその割合が異なり,鉱物種によって,Kの供給し易さが異なることが推測された.特に,黒雲母からは,Kとケイ酸だけでなく,鉄(Fe)もイネが吸収していることが明らかになった.また,黒雲母は,根がキレートできるFe,Alが多いため,鉱物破壊が進みやすい.黒雲母の栽培後培地には,アロフェン様非晶質物が多く残されており,通常の風化作用とは異なる鉱物破壊が起きている可能性があり,解析を継続中である. イネによるカリ長石培地での栽培試験では,イネ品種のケイ酸の吸収量により異なる粘土鉱物が根圏に形成されていることが明らかになった.今後は,イネの元素吸収量を含めた議論を行なう予定である.なお,昨年度,流通遅延により,接触溶解反応の鉱物変化を観察するために計上した備品のが出来なかったため,本年度は購入し,さらに研究を進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の実験計画は下記の通りである. (1)鉱物破壊現象のメカニズムを接触溶解反応実験によって解明する. (2)圃場土壌を用い,イネおよび大豆による鉱物破壊現象を用いた土壌鉱物の改変伴う土壌改良試験を行なう予定である. (3)新規可給態K測定法の検討を開始する また,本年度の実績に記した内容を論文にて公表する.
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)