Project/Area Number |
22K05381
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土屋 徹 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (20362569)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | シアノバクテリア / クロロフィルd / 光合成 / 遠赤色光 / ゲノム編集 / 光合成色素 / 分子遺伝学 |
Outline of Research at the Start |
ほとんどの光合成生物では、いわゆる可視光以外の光は光合成に用いることができないため、太陽からの光エネルギーを十分に利用しきれていない。研究代表者は、遠赤色光のみでも増殖が可能な特異なシアノバクテリア(藍藻)を対象として研究を進め、これまでに形質転換系を開発してきた。本研究では、CRISPR-Casシステムを利用したゲノム編集などを駆使した研究をおこない、この藍藻の遠赤色光への適応機構の解明を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに確立したAcaryochloris marinaでのゲノム編集技術を利用して、いくつかの標的遺伝子についてゲノム編集株の作製を進めた。標的は光合成に関連する遺伝子で、そのなかでも光合成色素代謝に関連するであろう遺伝子の破壊を試みた。ヌクレアーゼ遺伝子を含む保持型ベクターに、ガイドRNA発現カセットと相同組換えで利用する修復テンプレートを挿入し、接合法によりA. marinaに導入した。その結果、標的遺伝子のうちクロロフィルd生合成に関与する可能性が示唆されていた遺伝子の一つを破壊した株を得ることができた。得られた株の色素組成を解析したところ、クロロフィルdの含量に有意な変化はなかったことから、当該遺伝子はクロロフィルdに特異的な生合成の段階には関与していないことが判明した。この成果は、A. marinaで初めてクロロフィルd合成酵素候補遺伝子の機能をゲノム編集による遺伝子破壊によって逆遺伝学的に解析したことを示している。ゲノム編集がクロロフィルd合成酵素遺伝子の探索に有効な手法であることは示すことができたが、多くの標的遺伝子を破壊するためには、ゲノム編集株の作製にかける時間と労力を大幅に減じる必要があった。そこで、抗生物質耐性遺伝子をマーカー遺伝子として利用することで、遺伝子破壊株の選抜を容易にすることを企図する研究も開始した。これまでに使用していた保持型ベクターでは、ゲノム編集に成功した株と失敗した株ともに抗生物質耐性を示してしまい区別がつかない。そこで、接合伝達で大腸菌からA. marinaに移動するがその後で複製ができない自殺ベクターをベースにして開発を進めている。この実験系が確立すれば、本研究課題の根幹をなすゲノム編集株の作製について大幅な高効率化が見込まれる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Acaryochloris marinaのゲノム編集株の作製および解析を進めたという進展が見られた。クロロフィルd生合成に関与する可能性のある遺伝子の一つを破壊したゲノム編集株を解析した。その結果、クロロフィルdの含量に変化は見られなかったが、ゲノム編集による遺伝子破壊は、CRISPR干渉よりも確実に遺伝子の機能を確認できることを実証した。今後、同様の解析を他の候補遺伝子について進めることで、クロロフィルd合成酵素遺伝子や遠赤色光を利用する光合成系に関与する遺伝子を特定することが可能であると考えられる。 以上を鑑みて、現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、クロロフィルd合成酵素遺伝子の候補や光合成関連遺伝子について、ゲノム編集を駆使した研究に注力する。また、ゲノム編集技術のさらなる効率化を検討し、より迅速な解析を目指す。
|