Project/Area Number |
22K05402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 祥司 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (90324011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 公彦 福島工業高等専門学校, 化学・バイオ工学科, 准教授 (10369928)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | D-アミノ酸 / バクテリア / 高分泌生産 / 酵素スクリーニング法 / D-アミノ酸オキシダーゼ / 発酵生産 / 乳酸菌 / 酵素スクリーニング / 微生物 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,申請者が見出した高い活性と安定性を有しかつ多様なD-アミノ酸に作用するD-アミノ酸オキシダーゼを用いた簡便かつハイスループットな細胞外に高いD-アミノ酸を生産能する細菌株のスクリーニング法を開発することで,どのような細菌属や種が高い細胞外D-アミノ酸生産能を有するか明らかにする.さらに,開発した酵素スクリーニング法を用いて高いD-アミノ酸細胞外生産能を有する細菌株を単離・同定し,その高い細胞外D-アミノ酸生産機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年,D-アミノ酸のヒトに対する有益な生理効果が多数報告されたことから,D-アミノ酸の広範な応用的利用が期待されている。また,細菌が多様なD-アミノ酸を細胞外に分泌生産していることが近年明らかになってきた。申請者らは,高い安定性と活性を有し,多様なD-アミノ酸に作用する酵素でD-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)を見い出している。そこで本研究では,申請者が見出した高活性・高安定性・広基質特異性DAOを用いたハイスループットなD-アミノ酸分泌生産細菌のスクリーニング法を開発して利用することで,高いD-アミノ酸分泌生産能を有する細菌株を単離・同定する。さらに,その高分泌生産機構を明らかにすることで,多様なD-アミノ酸の発酵生産法の開発や広範な応用的利用の基盤を築くことを目的としている。令和5年度は以下の成果を得た。 令和4年度に単離した高いD-アミノ酸分泌生産能を示した複数の細菌株の菌属種を同定した。また,これら菌株を培養した時のD-アミノ酸分泌生産の経時変化を明らかにし,基準株との相違や類似性を明らかにした。さらに,高いD-アミノ酸分泌生産能を示した乳酸菌株が分泌生産する主要なD-アミノ酸を同定した。次年度は,単離した菌株によるD-アミノ酸分泌生産の至適培養条件を明らかにする予定である。また,単離菌株におけるD-アミノ酸生合成酵素活性やゲノム配列を解析し,その基準株と比較することで,D-アミノ酸高分泌生産能に寄与する可能性のある因子を推定し,その機能解析や発現レベルを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に,申請者が開発した酵素学的スクリーニング法を用いて単離した高いD-アミノ酸分泌生産能を示した細菌株6株の菌属種を同定し,うち3株はPseudomonas属細菌,Glutamicibacter属細菌とStaphylococcus epidermidisの近縁株であることを明らかにした。また,他の3株は全て乳酸菌Latilactobacillus curvatusの近縁株であることを明らかにした。乳酸菌以外の細菌株3株の異なる培地(SCD培地,LB培地,NB培地)での培養液のD-アミノ酸濃度の経時変化を解析し,D-アミノ酸濃度は菌株,生育相や培地の種類の違いで大きく異なり,主に対数増殖期で最大となり,定常期に大きく低下することを明らかにした。しかし,S. epidermidis近縁株をSCD培地で培養した場合は培養液にD-アミノ酸の蓄積が観察されたことから,S. epidermidis近縁株によるD-アミノ酸生産の有用性を明らかにした。このD-アミノ酸蓄積はS. epidermidis基準株でも観察されたことから,S. epidermidisに共通する特性であることを明らかにした。一方,L. curvatus近縁株3株の培養液のD-アミノ酸濃度はいずれも定常期で最も高くなり,これら乳酸菌株のD-アミノ酸分泌生産能はL. curvatus基準株の約2.5倍高いことを明らかにした。さらに,これら乳酸菌株が分泌生産する主なD-アミノ酸はD-アラニンとD-グルタミン酸であり,D-ロイシンやD-スレオニンも比較的高い濃度で分泌生産することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は,単離したD-アミノ酸高分泌生産菌株の同定とこれら菌株のD-アミノ酸分泌生産に関する基本的な特性を明らかにした。次年度は,これら単離菌株によるD-アミノ酸分泌生産量の増加とD-アミノ酸高分泌生産機構の解明を目指し以下の検討項目を実施する予定である。 (1)培養液D-アミノ酸の解析:現在のところ,単離した乳酸菌株の定常期におけるD-アミノ酸の種類と濃度は測定しているが,単離した細菌株の対数増殖期と定常期のD-アミノ酸について解析していないため,これら菌株の異なる生育相における培養液のD-アミノ酸の種類と濃度をHPLCにより同定する。 (2)D-アミノ酸分泌生産の至適培養条件の解析:培養液におけるD-アミノ酸の蓄積が観察されたS. epidermidis近縁株と基準株よりも高いD-アミノ酸分泌生産能がみられたL. curvatus近縁株における培地組成,培養温度や培養液pHなどを変更し,培養条件がD-アミノ酸分泌生産に及ぼす影響を調査する。 (4)D-アミノ酸生合成酵素の発現解析:単離株とその基準株の粗抽出液における各種アミノ酸ラセマーゼやD-アミノ酸アミノトランスフェラーゼなどの酵素活性を測定する。単離株と基準株で活性の相違が観察された場合は,遺伝子の転写レベルを解析する。 (5)D-アミノ酸生合成酵素の機能解析:単離株のゲノム配列を決定し,これら菌株のD-アミノ酸生合成酵素遺伝子の配列を基準株のものと比較する。粗中出液の酵素活性の違いが観察されかつ遺伝子配列に相違が見られたD-アミノ酸生合成酵素遺伝子を大腸菌で発現させて、その酵素学的な諸性質を解析する。
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