Project/Area Number |
22K05430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38030:Applied biochemistry-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田村 茂彦 九州大学, 基幹教育院, 教授 (90236753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤木 幸夫 兵庫県立大学, 理学研究科, 特任教授 (70261237)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ペルオキシソーム / カタラーゼ / 膜透過輸送 / AAAタンパク質 / 酸化ストレス / リン酸化 |
Outline of Research at the Start |
本課題研究は細胞内小器官の一つであるペルオキシソームをモデルオルガネラとし、膜を隔てたタンパク質輸送とその機能制御システムの全容を分子レベルで明らかにすること、さらにはその機能制御不全により引き起こされる障害の分子メカニズム解明を目的としている。そこで具体的な研究内容として、A) 膜透過輸送装置によるタンパク質輸送の分子機序解明、B) 膜透過輸送装置のリン酸化に着目したペルオキシソーム代謝制御システムの全容解明、C) 酸化ストレスや加齢に伴う機能制御不全が引き起こす障害を細胞およびマウス個体レベルで解明、上記3方向からの研究課題を設定し、研究を展開する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究は細胞内小器官の一つであるペルオキシソームをモデルオルガネラとし、膜を隔てたタンパク質輸送とその機能制御システムの全容を分子レベルで明らかにすること、さらにはその機能制御不全により引き起こされるペルオキシソーム代謝障害の分子メカニズム解明を目的としている。 ペルオキシソーム膜透過輸送装置の主要な構成因子であるPex14が細胞内外の環境に応答してリン酸化され、主にカタラーゼ輸送能が低下することをこれまでに報告してきた。また、酸化ストレスに対応するための防御反応としてBAKの活性化とペルオキシソームへの移行によりカタラーゼを細胞質へ排出するメカニズムの存在を推測している。しかしながら、マトリックスタンパク質の輸送抑制と細胞質への排出を区別して解析する実験系はこれまで確立されていない。そこで、2023年度はペルオキシソームからのカタラーゼ排出を形態学的及び生化学的に検証するための実験系を構築した。その結果、VDAC2を欠損しBAKが活性化した変異CHO細胞であるZP114ではその細胞質画分にペルオキシソームからのカタラーゼ排出を誘導する因子が含まれ、BAK抗体を用いた解析からその実体はBAKであることを示した。また、過酸化水素処理した細胞の細胞質画分にもカタラーゼ排出を誘導する因子が存在することを示し、酸化ストレスに応答したBAKの活性化とペルオキシソームへの移行が示唆された。 次に、ペルオキシソーム膜透過輸送におけるPex14pN末端側領域の役割を明らかにすることを目的とし、その膜配向性変化に着目した解析を行なった。その結果、Pex6pがATP加水分解エネルギーを用いることで、ユビキチン化したPex5pをPex14pのN末端側領域から解離させることでN末端側の膜配向性を変化させ、Pex14pが次の輸送へ備えるために立体構造を変化させる役割を担うことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト骨肉腫由来のU2OS細胞が酸化ストレスに対するカタラーゼ再配置の応答性が高いことを前年度に明らかにしたが、その結果を踏まえて2023年度はU2OS細胞を主な研究対象として解析を進めた。これまではカタラーゼを含めたマトリックスタンパク質の輸送抑制に焦点を合わせていたが、ペルオキシソームからのカタラーゼ排出を形態学的および生化学的に解析するためのin vitro実験系を構築することに成功した。この実験系を用いてカタラーゼ再配置におけるBAKの関与を示唆する結果が得られたこと、さらには酸化ストレスに応答してカタラーゼ再配置を引き起こす因子が細胞質に誘導されてくることを示した。このように酸化ストレスに応答したカタラーゼ再配置とそれに伴うペルオキシソーム代謝抑制の分子メカニズム解明において、着実に研究を進展させることができている。一方、ペルオキシソーム膜透過輸送の分子メカニズム解明については、ペルオキシソーム移行シグナル受容体であるPex5pのドッキングサイトであるPex14pアミノ末端側領域の動的な膜配向性変化に着目して研究を進めた。これまで、膜透過輸送におけるPex6pの詳細な役割は不明であったが、ATP加水分解エネルギーを利用してPex14pN末端側領域の膜配向性を変化させていることを明らかにした。このように膜透過輸送の分子メカニズムを解明するうえで非常に重要な知見が得られ、計画通りに課題研究を進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はこれまでに得られた研究成果をさらに発展させるため、本来ミトコンドリアに局在しているBAKが酸化ストレスに応答してペルオキシソームへ移行するメカニズム解明を目指す。そのため方策として、Pex13を欠損しPex14がミトコンドリアに誤局在している患者由来の細胞を用い、Pex13の機能回復に伴うPex14のペルオキシソーム移行に着目しすることでミトコンドリアとペルオキシソーム間の物質輸送システム解明へ発展させることを計画している。この輸送システムに従い、BAKもミトコンドリアからペルオキシソームへ移行していると想定しているが、これまでに膜融合阻害剤であるNEMで細胞を処理することでミトコンドリアとペルオキシソーム間の物質輸送を仲介する膜小胞の存在を示唆することができている。この実験系をさらに発展させることでBAKをミトコンドリアからペルオキシソームへ移行させるための、新たなオルガネラ間ネットワークの同定につながると考えている。また、一方、ペルオキシソーム膜透過輸送の分子メカニズム解明については、引き続きPex14pN末端側領域の膜配向性変化に着目し、AAAタンパク質ファミリーに属するPex6pの機能を阻害する薬剤、さらにはPex5pのユビキチン化を阻害する薬剤を用いて、膜透過輸送におけるPex6pの役割を詳細に調べることで本課題研究を推進する。
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