植物の形態制御機構を撹乱する昆虫フタテンチビヨコバイ由来生理活性物質の同定
Project/Area Number |
22K05461
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38040:Bioorganic chemistry-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
宮崎 翔 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 助教 (30755955)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 天然物化学 / 昆虫 / 矮化 / 隆起 / 虫こぶ / イネ |
Outline of Research at the Start |
フタテンチビヨコバイはイネ科植物を餌として吸汁し,その際に注入する物質によって寄主植物草丈の伸長抑制,及び葉脈にこぶ状の形態変化を引き起こし作物の減収に繋がる一方で,この形態変化に伴う栄養価の向上により当該昆虫の発育速度や生存率が高まることが知られている。本研究では生物試験を軸とした生物有機化学的手法により,イネの矮化と隆起の形態変化を誘導するフタテンチビヨコバイ由来の生理活性物質を単離・構造決定することを第一の到達目標とし,その形成機構を物質の視点から解明したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はイネ科植物の草丈の伸長抑制,及び葉脈にこぶ状の隆起を引き起こす昆虫由来の生理活性物質の単離・構造決定と生合成経路の解明を目的としている。 昆虫フタテンチビヨコバイはイネ科植物を餌として吸汁し,その際に注入する物質によって寄主植物草丈の伸長抑制,及び葉脈にこぶ状の形態変化を引き起こし,この形態変化に伴う栄養価の向上により当該昆虫の発育速度や生存率が高まることが知られている。本研究では生物試験を軸とした生物有機化学的手法により,イネの矮化と隆起の形態変化を誘導するフタテンチビヨコバイ由来の生理活性物質を単離・構造決定することを第一の到達目標とし,その形成機構を物質の視点から解明を目指すものである。 まず生物試験法を用いた活性物質の検出が重要な課題である。フタテンチビヨコバイの凍結粉砕物を各種溶媒で抽出してイネ科植物への投与法を検討 したところ,水抽出物を培地に添加した試験区でイネの矮化が認められたため,本年度は当該試験系を利用して精製を進めた。材料である昆虫試料の安定的な確保のため,人工気象機を購入して研究を進めた。 矮化活性化合物が水溶性の低分子化合物であり,ペプチドや糖ではない情報を取得し,イオン交換,シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いた精製を進めたところ活性物質が含まれる画分を得ることができた。NMRからその構造も明らかにすることができたが,精製過程の溶媒による影響が大きいことが判明した。そこでそれら溶媒を含まない精製画分での活性を評価したところ,複数画分で矮化活性が認められた。これらの活性画分にはアミノ酸が含まれており,今後それらの組成を再現して活性を評価していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イネ科植物,特にワラビー萎縮症抵抗性品種や,発症しない植物を用いて生物試験法の検討を行ったところ,萎縮症感受性株に対して粗抽出物が矮化活性を示した。そこで,矮化誘発物質の分離の検討として、ゲルろ過、イオン交換、活性炭、芳香族系吸着担体HP20、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相のODSカラムクロマトグラフィー、ジオールおよびアルギニン修飾シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる分離を試みたものの、いずれの方法においても有効な分離には至らなかった。活性成分が担体に強く吸着し溶出が困難であったシリカゲルカラムクロマトグラフィーを再検討し、水系溶媒で溶出する方法を見出した。さらに精製を進めることで矮化活性画分を得ることができた。1HNMRスペクトル解析および化学誘導体にて同定を試みたところ、主成分を同定するに至った。しかし主成分の物質を用いた試験を行ったところ、この画分の活性は溶出溶媒に起因することが明らかとなった。そこで異なる画分の精製を試みたところ複数のアミノ酸成分が確認するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,矮化活性を示すアミノ酸を含む複数画分に関して,標品で再構成したサンプルにて活性試験を行い矮化活性が認められるか確認する。 次世代シークエンサを用いて矮化と隆起形成に関与する遺伝子情報の取得も進めていく。生理活性物質の解明で得られた構造情報をもとに生合成酵素遺伝子の探索と異種発現系による機能解析を進める。また,両現象に関連する植物応答遺伝子の探索と解析を進めたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)