Project/Area Number |
22K05527
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡邉 義之 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 教授 (20368369)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
|
Keywords | テクスチャー / 固液分散系 / 粒子径 / 硬さ指標 / 付着性 / 破断特性 / 凝集性 / 固液共存系 / コロイド / 力学物性 / 包括的評価 / ゲル状粒子 / 食品テクスチャー / 固液コロイド |
Outline of Research at the Start |
食品のおいしさに寄与する要因のうち、硬さや粘りなどの物理的な性質を示すテクスチャーの評価は、味、香り、色などの食品成分の化学的特性に主に起因する他の要素に比べて立ち遅れている。特に、計測や評価が困難であるにもかかわらず、口腔内の状態も含め食品の形態として主を成す固液共存系コロイドの物性を評価することが求められる。そこで本研究では、固液共存系コロイドの広く簡便に活用できる包括的な評価手法の構築を着想し、力学物性についての検討を遂行する。得られた知見は、食品工学とガストロノミーとの融合領域Gastronomic Engineeringの発展,食産業と食文化の振興に貢献することが期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
食品コロイドの形態定義を広義に捉え、ミリオーダーの粒子により形成される固液分散系を対象に、そのテクスチャーに代表される力学物性を包括的に評価する手法の構築を目標として、分散質である固体粒子および分散媒である液体溶液の有するそれぞれの特性がテクスチャーに及ぼす影響について検討した。 固液共存系については、カンテンおよびコンニャクを用いた粒子径の異なるゲル状球体粒子を調製し、蒸留水とともに所定温度および固液量比にてテクスチャー試験(TPA)に供した。固液分散系において、球体よりも立方体の硬さが高く、いずれも粒子径が大きいほど増大した。形状を混合した場合、立方体粒子の割合が増えるほど、系の硬さは増した。脂肪状(バター、マーガリン、チーズおよび牛脂)、細胞状(ニンジン(生)、ダイコン(生および加熱済)およびジャガイモ(加熱済))および繊維状(ブタもも肉、ウシもも肉およびマグロ赤身(生および加熱済))といった試料について、それぞれ異なる粒子径の立方体粒子を調製し、固液分散系でのTPAを実施した。固体粒子の分類ごとに分散系の硬さは異なったが、概ね、細胞状 > 繊維状 > ゲル状 > 脂肪状 の傾向が示され、粒子径が大きいほど分散系の硬さが高くなる傾向が観察された。粒子試験力、粒子接触点数、粒子主慣性モーメントおよび粒子比表面積を考慮した硬さ指標を算出したところ、その対数はいずれの系においても高さと良好な関係を得ることができ、分散系硬さに起用する因子が明らかとなった。さらに、各粒子について破断試験を行い、観察された変形挙動から粒子を脆性と弾塑性に分類するとともに、破断歪みおよび破断応力を求めた。これらの結果に、硬さ、付着性および凝集性などのテクスチャー特性値とともに主成分分析を適用したところ、分散質粒子の破断特性が分散系の凝集性に影響を与えることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体粒状食品モデルとして採用した米粒子については、試料調製に係る吸水加工が検討され、吸水速度モデルの提案や、吸水速度定数の温度および粒子径依存性を明らかとして、学術雑誌(国際誌、審査有り)に原著論文を投稿し掲載された。人口唾液を使用した口腔内消化と粒子径との関係も明らかにされ、本内容についても論文作成が済み投稿段階にある。熱特性および流動特性に及ぼす粒子径の影響についても、固液量比による移動特性の相違が示され、テクスチャー特性についても2段階圧縮試験やクリープ試験により、各種特性値と粒子径との関係が明らかとなり、それぞれ新規な知見として検討が終了し、論文作成を進めている。 液状粘弾性食品モデルとしてカスタードを選定し、その流動特性と成分組成のとの関係が示され、国際学術雑誌に投稿中(審査中)である。その他、カスタード系の粘性に主体的な役割を果たす澱粉の水溶液中での流動特性が、異なる複数の起源から得られた澱粉について比較検討され、その濃度と温度の影響が糖鎖構造、状態転移、熱物性および膨潤力の観点から示された。少糖添加系についても、少糖の動的水和数や浸透圧によってその作用および影響が説明された。いずれも論文発表の準備中である。 各種固液分散系のテクスチャー評価については、ゲル粒子系テクスチャーに及ぼす粒子径の影響が体系的に示されたため、論文作成に進んでいる。複数の粒子分類にて構成される分散系の硬さに寄与する因子を定量的に示すことができ、かつ粒子の破断特性との関係も明らかとすることができた。分散媒の影響については、液架橋力など粒子の移動性に寄与する因子が分散系の付着性に関与することが考えられたが、今後詳細な検討が求められる。 多くの知見が得られ、様々な現象とその要因が解明されており、研究目的の達成に近づいているため、順調に研究計画が遂行されていると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点での大きな研究計画の変更予定は無く、ここまでの知見を基に、他の試料についての検討を継続して進めていく。ゲル状、脂肪状、細胞状および繊維状にそれぞれ分類される粒子種を増やし、硬さの粒子径依存性をより詳細に検討するとともに、硬さ指標による予測性能の正確さと精度の向上を図る。分散媒の影響については、分散系の付着性への関与が示されたが、ニュートン性流動を示す水や希薄溶液だけでなく、増粘性成分を含んだ非ニュートン性流体の影響について、より詳細な検討を進める。これまでの知見を整理し、試料の物理的および化学的特性と得られた固液分散系テクスチャーのデータを用いたデータマッピングおよびデータマニングを拡げ、固液分散系コロイドの物性データについて多変量解析を適用して、物性データのパターン抽出と特徴の認識を試みる。さらに、各種物性データおよび特性値に及ぼす諸因子の影響から、固液分散系の内部構造および物質状態を推測する。不足と思われるデータが認められれば、追加実験を行い、該当データを補足する。 最終年度は、既製食品の物性計測と官能特性との相関関係についての検討と、データプロフィルの総合解析および最終成果の整理・確認を行う。特徴的な物性を有している既製食品および食品素材を抽出し、それらの諸物性を計測し、各種特性値を取得する。また、官能試験を実施し、得られた物性に関わる官能特性スコアと、先の計測で得られた物性特性値との相関関係について、多変量解析を適用して検討する。以上の結果から固液共存系食品のおいしさと物性について考察するとともに、包括的な物性の計測および評価手法の構築を目指す。
|