Characterization of seed size regulation driven by various head groups of sphingolipids aimed for genetic breeding of seed crop plants
Project/Area Number |
22K05553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石川 寿樹 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20598247)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / 糖鎖型 / 種子サイズ / 糖転移酵素 / ゲノム編集 |
Outline of Research at the Start |
スフィンゴ脂質の糖鎖型は、動物では早くから医学・生理学的に重要な機能性が認知されてきたのに対し、植物ではようやく幾つかの生理機能への関与が示唆され始めた段階で、その因果関係を説明する分子機序はほとんど理解されていない。本研究では、植物の種子成長制御におけるスフィンゴ脂質糖鎖の機能を分子原理のレベルで究明し、植物固有の糖鎖型多様性が担う生物学的意義解明への突破口を切り拓く。さらに、得られた知見を実用作物種に応用し、重要な農産資源である植物種子の生産性を向上させる糖鎖ゲノム育種の技術基盤を確立することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
グリコシルイノシトールホスホセラミド (GIPC) は植物に最も豊富に含まれるスフィンゴ脂質クラスであり、固有な糖鎖構造が多様化している。本研究では、シロイヌナズナの種子特異的に存在するN型GIPCの機能解明を目指して研究を行った。 N型GIPC欠損変異体gint1における種子形成異常の表現型がGIPCの糖鎖型に固有かどうか検証するため、シロイヌナズナ種子中のH型GIPC含量を変化させ、gint1と表現型を比較することを目指した。H型糖鎖の合成を担うGMT1の機能欠損は不稔となるため、種子特異的に発現するダイズGlycininプロモーターを用いてGMT1を過剰発現または発現抑制させた系統を作出し、ホモ系統を4ラインずつ確立した。乾燥種子のスフィンゴ脂質組成を分析したところ、過剰発現系統ではH型GIPC含量はわずかにしか増加せず、N型GIPC含量が著しく減少していた。また、発現抑制系統では、H型GIPCはわずかな減少に留まった一方で、N型GIPC含量は有意に増加していた。このことから、シロイヌナズナ種子では、H型GIPC含量が一定の範囲に保たれるように基質レベルで調節する機構が存在することが推測され、種子におけるH型およびN型GIPCの合成は異なる代謝制御下にあると考えられた。 また、gint1変異体の種子表現型を詳細に解析したところ、種子の肥大、欠落および委縮といった表現型は花粉および胚の遺伝子型に起因せず、母性遺伝によって伝播することが明らかになった。GINT1の発現部位をデータベースで精査したところ、これまでにわかっていた発達後期の種子に加え、雌性生殖組織や発生初期の種皮でも発現していることがわかった。これらの結果から、gint1に特徴的な種子表現型は、これまで考えられていた種子の成熟期ではなく、受精前また受精直後の母性組織における機能の喪失に起因するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種子特異的なH型GIPCの過剰発現および発現抑制系統では、H型よりもむしろN型糖鎖の含量が大きく変化するという予想外の結果が得られた。これは、植物種子におけるGIPC糖鎖型の選択的代謝調節機構の存在を新たに示唆するものである。今後これらの系統を用いた研究計画を新たに計画している。 また、gint1変異体のレシプロカル実験により、表現型の原因が母性組織に由来することが明確となった。発現組織をより詳細に解析するためのレポーター系統の作出が予定より遅れているものの、次年度には詳細な解析を行う予定である。一方、母性組織におけるN型糖鎖の重要性を検証するため、細胞・組織特異的プロモーターによるGINT1相補系統の作出を新たな実験計画に追加した。こちらは植物系統の確立が順調に進んでおり、次年度に表現型の解析を行う計画となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
種子特異的なGIPC糖鎖型改変実験では予想外の結果が得られたものの、種子におけるGIPC合成制御機構について新たな知見を得ることができた。確立した系統の種子形成過程におけるGIPC合成関連遺伝子の発現レベルを詳細に解析し、遺伝子発現レベルでの調節機構を解明する。また、GINT1の種子における機能性について、これまでもっとも発現レベルの高い種子発達後期が重要であると考えられてきたが、受精前または受精直後の母性由来組織が重要であることが見出された。これらの組織におけるGINT1の発現パターンおよび機能性を検証するため、GINT1プロモーターにGUSもしくはGFPを連結したレポーター発現系統や、各組織・細胞に特異的に発現するプロモーターにGINT1のコード領域を連結した局所的相補系統を用いて、シロイヌナズナの種子形成過程におけるN型GIPC糖鎖の生物学的機能を明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)