Project/Area Number |
22K05576
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39010:Science in plant genetics and breeding-related
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
大坪 憲弘 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30270474)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 植物組織培養 / 硫酸銅 / 栄養繁殖性 / トレニア / ユーストマ / ポインセチア / 高硫酸銅培地 / 栄養繁殖性強化 / 脱分化・再分化 / ゲノム編集 |
Outline of Research at the Start |
植物組織培養用培地への高濃度の銅の添加による生育促進や形質転換効率の向上を単に生育促進ではなく、多年生植物に普遍的に備わる栄養繁殖性の強化の観点から捉え、さまざまな植物種・組織からのカルス誘導と植物体再生を促す組織培養用培地の開発を目的として、花卉を中心とする6種類の園芸植物で形質転換過程の各種培地における高濃度硫酸銅の効果を調査し、効率的かつ短期間で脱分化・再分化への移行を促す条件を確立する。これにより、植物組織培養を利用するあらゆる研究・開発が高効率・低コスト化され、ゲノム編集等による新品種開発と実用化が加速されると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
培地への高濃度硫酸銅添加により各組織からの分化や増殖が効率化されるのかを多数種の植物を用いて検討した。木本1種を含む5種10系統の無菌培養植物(トレニア、ユーストマ、ポインセチア、キク、マンデビラ各2系統)について、CuSO4濃度を0.1-100 μMに変化させたMS培地に挿し芽を行い、培養過程での増殖能や形態などの変化と培養物長期維持の可能性について調査した。その結果、トレニアでは‘Crown Violet’および‘Summer Wave Blue’とも25-100 μMで通常のMS培地と比較して旺盛な増殖が見られ、9 cmシャーレ移植後2ヶ月で全容積まで増殖し、そのまま最長6ヶ月間維持可能であった。増殖個体は草丈数cm程度のスプラウト状で、葉形も丸みを帯びるなどの形態変化が見られたが、密植を解除すると通常の形態に復帰したことから、植物の短期間での増殖と維持管理の効率化・省力化に有効な培養手法となることがわかった。 一方、ユーストマ、ポインセチア、キクでは5-25 μMで地上部あるいは根の増殖が促進される傾向が見られたが、100 μMでは一部で生育が抑制され、組織や培地の褐変が早まるなどの影響が見られた。これらのうちユーストマとポインセチアについては、10 μM以下での添加の効果を詳細に解析し、形質転換の各ステップで用いる培地それぞれについてカルス誘導と増殖、不定芽誘導を効率化する至適濃度を決定した(2年目の予定項目を一部前倒しで完了)。 マンデビラでは硫酸銅添加による影響はほとんど観察されなかったが、木本であり増殖が非常に遅いこと、茎頂と腋芽以外では増殖しない(栄養繁殖性が低い)ことなどがその理由として考えられた。これについては、より低濃度での長期間の施用効果を見るなどのアプローチを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
複数の植物種を用いて、組織培養と形質転換系の効率化の観点からそれぞれに適した濃度と施用法を検討した結果、期待以上の成果が得られた。特にユーストマとポインセチアでは形質転換操作における前培養、共存培養、選抜培養のすべてにおいて固形培地への5-10 μMの硫酸銅添加がカルス化、形質転換カルスの増殖とその後の不定芽誘導の効率をいずれも高める結果となり、大幅な形質転換効率の向上に繋がった。これら2種の園芸植物については形質転換プロトコルの至適化をほぼ完了し、現在論文を執筆中であるほか、9月に開催される日本植物バイオテクノロジー学会での発表を予定している。 一方、トレニアにおける超高濃度処理(25-100 μM)でのスプラウト様植物の増殖能の高さと長期維持可能な性質は、材料増殖と維持管理の効率化に加え、新たな形質転換手法の開発に資する素材となるものと期待できるなど、花卉のモデル植物であるトレニアの有用性と利便性を大きく高めるものとなった。さらに、トレニアが高濃度硫酸銅環境に対する植物の応答を解析する上で特に好適な材料であることがわかった。今年度使用した5種10系統の植物における硫酸銅添加に対する応答の違いから、基礎的な栄養繁殖性の高い植物ほどより明確な効果が現れる傾向が読み取れた。これは研究開始当初に想定された硫酸銅による栄養繁殖性強化の可能性にアプローチする上で有用な情報を提供するものである一方、硫酸銅添加培地の早期普及に向けて優先すべき植物種の選定を行うための指標となりうる。 以上のように、今年度の研究は想定以上の興味深い、有益な結果をもたらした。当初2年目で予定していた硫酸銅濃度の至適化については、ユーストマとポインセチアにおいては前倒しで完了し、形質転換プロトコルの改良をほぼ完了するなど、予定を上回る進捗となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の計画どおり初年度で良好な結果が得られたトレニア、ユーストマ、ポインセチアのほか、超培養難植物の一つであるチャを用いて硫酸銅の施用方法と濃度を最適化(ユーストマ、ポインセチアは4年度の前倒しで完了済み)し、さらに培地組成のうち現在トレニアやユーストマで効果の確認されている、 1)炭素元として用いるスクロースとトレハロース混合比率の改良、および、 2)ゲル化剤として用いる寒天とゲランガムの混合比率の改良 の2つを組み合わせ、脱分化・再分化サイクルをより効率的に進めるための適切な培養条件を決定して、汎用性の高い改良培地として確立する。また、二酸化炭素の施用により脱分化、再分化の各ステップをより早く進行させることが可能であるかについても調査する。また、トレニアでは高濃度硫酸銅添加培地により増殖させたスプラウト様植物全体を使った簡便で効率的な形質転換手法の開発にチャレンジする。 硫酸銅添加培地の導入による組織培養・形質転換効率の改善についてはすでに一部関連研究者に情報共有を開始しており、次年度はより多くの植物種について情報が得られる予定である。これら情報の積極的な収集と解析にも着手する予定である。
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