「聖護院ダイコン」の根こぶ病抵抗性機構に関わる遺伝子の同定と分子育種への展開
Project/Area Number |
22K05582
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39010:Science in plant genetics and breeding-related
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
房 相佑 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50302443)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 根こぶ病抵抗性遺伝子 / アブラナ科作物 / 分子育種 / 種・属間交雑 |
Outline of Research at the Start |
根こぶ病は,抵抗性品種の作出や栽培方法の改善などの対応策にもかかわらず,世界中でアブラナ科作物に甚大な被害を及ぼしている.申請者は,これまでに遺伝子組換えに頼らない育種によって聖護院ダイコン染色体断片が挿入した顕著な根こぶ病抵抗性を備えたハクサイを作出した.本申請では,この材料を活用したトランスクリプトーム解析などから根こぶ病抵抗性原因遺伝子を同定するとともに,多数のダイコン品種を用いて原因遺伝子近傍領域のゲノム配列を比較することで,ダイコンが根こぶ病抵抗性を獲得した分子進化を明らかにする.本研究によって,さまざまなアブラナ科作物を対象とした根こぶ病抵抗性付与の分子育種を可能にする.
|
Outline of Annual Research Achievements |
ダイコンのもつ根こぶ病抵抗性を B. oleracea 「キャベツ類」に導入するため、ダイコンの根こぶ病抵抗性が導入済みのナタネとダイコン染色体添加型ナタネを抵抗性供試親として胚救済技術を用いたF1育成を行った。その結果、計10個体の雑種個体が得られた。また、ダイコンの根こぶ病抵抗性機構を解明するため、抵抗性品種‘聖護院ダイコン’と罹病性品種‘ビタミンダイコン’の根こぶ病感染時における菌の定量調査と根組織観察を経時的に行った。その結果、一次皮層剥脱前では品種間差は見られなかったが、一次皮層剥脱後において‘ビタミンダイコン’では木部・師部における急激な菌増殖や組織の異常化が観察されたが‘聖護院ダイコン’では抑制されていた。さらに、‘聖護院ダイコン’の根の師部において、β‐グルカンの染色色素である CFW の蛍光を放つ植物や菌の細胞壁とは異なる構造が多く観察された。この CFW 蛍光構造の抵抗性への関連性の調査を‘聖護院ダイコン’と‘ビタミンダイコン’の根こぶ病感染・非感染における師部での出現量比較で行った。その結果、CFW 蛍光構造は感染の有無にかかわらず試験期間を通して‘聖護院ダイコン’に多く存在し、感染初期における抵抗性に関係している可能性が示唆された。なお、この構造の垂直分布およびダイコン根こぶ病抵抗性遺伝子座 RsCR1 との相関性の調査を株本からの距離に基づく複数区画における縦断面切片観察、そして‘聖護院ダイコン’と‘ビタミンダイコン’の交雑後、‘ビタミンダイコン’で連続戻し交雑した NIL 系統の self 個体間での出現量比較で行った。 その結果、師部内において直線状に広く垂直分布し、細胞外に多く局在していた。CFW 蛍光構造の出現量と RsCR1 との間に明らかな相関は見られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
「聖護院ダイコン」の共存戦略の理解>と同様の調査を、根こぶ病抵抗性ハクサイに ついても実施し、根こぶ病抵抗性ハクサイが聖護院ダイコンと類似した抵抗性機構を獲得し ているかを確認する。根こぶ病抵抗性ハクサイのゲノム構造を理解するために、Genomic in situ hybridization (GISH) 法によって、根こぶ病抵抗性ハクサイのゲノム中の何箇所にダイコン染色体断片が挿入されているのか、挿入断片の長さはどの程度なのかを明らかにする。根こぶ病抵抗性ハクサイの作出過程においてハクサイゲノムの一部が欠損した可能性があるため、ゲノムリシーケンスによって、ハクサイゲノムの残存状況を把握する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)