Project/Area Number |
22K05617
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39030:Horticultural science-related
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
森 志郎 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (80441971)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八幡 昌紀 静岡大学, 農学部, 准教授 (60420353)
岡本 吉弘 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (60310116)
星野 洋一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (50301875)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | 交雑和合性 / 倍数性 / 自家不和合性 / 花型 / 種間雑種 / 花き / 生殖隔離 / 交雑親和性 / 異形花型自家不和合性 |
Outline of Research at the Start |
主要切り花であるスターチスはLimonium属植物(イソマツ科)であり、本属の多くは花粉と雌ずいが二型性である自家不和合性を示す。花きでは新たな形質の創造が期待され、交雑育種はそれを可能にする基礎的な技術であるが、生殖隔離の問題がある。一方、近年、育種親の倍数性を操作することにより生殖隔離を克服できる可能性が示されている。 本研究では、本来二倍体であるスターチス4種の四倍体を作出し、それらを利用して異形花型間、倍数体間、種間における正逆交雑を行い、それぞれの交雑における花粉管伸長や胚・胚乳の発達、雑種形成率を調査する。試験結果から、倍数性と自家不和合性、交雑親和性の関係性を考察する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
交雑育種では交雑不和合性の問題がある。スターチス類の多くは花粉と柱頭が二型性を示す。花型は自家不和合性と密接に関係し、同じ花型同士で交配すると種子は生じない。一方、倍数性は自家不和合性や交雑和合性に影響を及ぼす可能性がある。本研究ではシヌアータ、ペレジー、カスピア、ラティフォリウムを供試し、それぞれの倍数体を作出した上で、倍数性と自家不和合性、交雑和合性との関係性を明らかにする。 紡錘糸形成阻害剤処理後の種子を培養し、効率的な四倍体作出方法の確立を目指した。シヌアータの‘アーリーブルー’(EB)および‘アプリコットビューティー’(AB)とカスピア(Ca)種子をコルヒチンで処理して培養したところ、EBおよびABはすべて二倍体であった。Caについては三倍体を2個体、四倍体を3個体、混数体を2個体獲得した。AB種子をオリザリンで処理したところ、三倍体、四倍体、混数体をそれぞれ1個体獲得した。培養による四倍体作出効率の向上はみられなかった。 ペレジーにおける種内、シヌアータとの種間、シヌアータ四倍体との倍数体間で交配し、受粉2週間後に肥大した子房の割合を調査した。ペレジーの種内交配において、同じ花型間では子房が萎凋した一方、異なる花型間では子房が肥大し、花型は自家不和合性と関連することが確認された。ペレジーとシヌアータとの種間交雑においても同じ花型間では子房が萎凋し、異なる花型間では子房が肥大した。花型と自家不和合性の関係性が、種間における交雑和合性においても機能することが明らかとなった。四倍体を用いた試験の結果は二倍体の場合と同様であった。 ペレジー二倍体にシヌアータ四倍体を交配し、受粉2週間後に胚珠を培養して三倍性種間雑種の作出を試みた。受粉した花の約2割で子房が肥大し、それらを培養したところ、1 個体のみ発芽した。現在、雑種性と倍数性を調査している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験1「ペレジーおよびラティフォリウム四倍体の作出とその形態的特徴づけ」において、ペレジー等の染色体倍加に先立ち、シヌアータおよびカスピア種子を用いて、培養による効率的な倍数体獲得方法の確立を検討した。しかし、紡錘糸形成阻害剤処理後の種子を培養しても倍数体獲得率は向上しなかった。一方、シヌアータの染色体倍加にはオリザリンが、カスピアにはコルヒチンが有効であることが明らかとなった。ペレジーはシヌアータと同じPteroclados節、ラティフォリウムはカスピアと同じLimonium節である。現在、これらの知見をもとにペレジーおよびラティフォリウムの染色体倍加を進めている。 試験2「スターチスにおける倍数性が自家不和合性に及ぼす影響」については、これまでにシヌアータのEBとAB、カスピアの四倍体を獲得している。これら四倍体を用いて自家受粉を行い、子房肥大を観察することで自家不和合性に及ぼす影響を明らかにする。 試験3「スターチスにおける倍数性種間交雑が交雑和合性に及ぼす影響」では、ペレジー二倍体とシヌアータ二倍体および四倍体を用いて、種内、種間、倍数体間で交配し、受粉2週間後の肥大子房率を調査した結果、種内交配で確認された花型と自家不和合性の関係性が、種間における交雑和合性においても機能することが明らかとなった。倍数性が受精後の胚発達の停止に及ぼす影響を明らかにする必要があり、今後、ペレジー二倍体とシヌアータ二倍体または四倍体を正逆で交雑し、受粉後、経時的に胚珠培養を行って雑種獲得率を比較する。 これまでにペレジー二倍体にシヌアータ四倍体を掛け合わせて胚珠培養し、推定三倍性種間雑種1個体を得た。現在、雑種性の判定を行っている。この結果は、試験3を遂行する上で役立つ知見となる。 以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
試験1では、ペレジーおよびラティフォリウム四倍体の作出を目指す。シヌアータやカスピアで報告されている種子への紡錘糸形成阻害剤処理は四倍体獲得効率が低いため、種子または花穂培養由来の培養物から多芽体を誘導し、これらを処理に供試する。ペレジーにはオリザリンを、ラティフォリウムにはコルヒチンを用いて、順次、種々の濃度、処理時間で処理し、四倍体の獲得を目指す。 試験2では、スターチスにおける倍数性が自家不和合性に及ぼす影響を明らかにする。これまでに獲得したシヌアータのEBとAB、カスピアの四倍体における花型(花粉および柱頭の形態)は既に明らかにしている。2024年度は四倍体の自家受粉を行い、受粉2週後の肥大子房率を調査する。 試験3では、スターチスにおける倍数性種間交雑が交雑和合性に及ぼす影響を調査する。ペレジー二倍体とシヌアータ四倍体との間では、受粉2週後までにおいて、倍数性は交雑和合性に影響しないことが明らかにされている。2024年度はこれらの組み合わせにおいて、受粉2週目以降の胚発達について調査する。また、シヌアータ以外の四倍体を用いて、同様の調査を実施する。
|