Project/Area Number |
22K05682
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39050:Insect science-related
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高柳 咲乃 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10794266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉糠 洋陸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50342770)
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Project Period (FY) |
2023-02-10 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ヒトスジシマカ / 越冬 |
Outline of Research at the Start |
ヒトスジシマカは様々な病原体を媒介するヤブカの一種である。ヒトスジシマカは熱帯地域である東南アジアを起源としており、熱帯地域に棲む系統は1年を通して卵から成虫までの生活環を繰り返す。一方で、日本などの温帯地域に侵入・定着した同種は晩秋に越冬卵を形成することで、卵の状態で生育に不適な冬を生き延び、翌年の初夏に孵化するという特徴をもっている。現在、この越冬卵形成能力を有する温帯系統ヒトスジシマカが世界的に分布域を広げており、デング熱やジカ熱の原因となるウイルスのベクター媒介者として問題となっている。本研究ではヒトスジシマカの越冬戦略を分子レベルで解明しつつ、その進化プロセスを探究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヤブカ属の一種であるヒトスジシマカ(Aedes albopictus)は、元来東南アジアの熱帯地域が原産である。しかし、越冬卵を形成する能力を獲得したことによって温帯地域に侵入するようになった。温帯系統ヒトスジシマカは、晩秋の日長の短日化と気温の低下を環境シグナルとして越冬卵を産卵するようになる。越冬卵内では一齢幼虫まで発生が進むが、孵化には至らず冬期の乾燥・低温・飢餓に強い耐性を示す。本研究では、温帯系統ヒトスジシマカの越冬戦略を実現する分子基盤を解明することを目指している。 越冬卵の形成は、①環境シグナルによって越冬卵形成が誘導される、②越冬卵内の幼虫が乾燥・低温・飢餓耐性を示す、③越冬卵内の幼虫が孵化行動を開始する、という3つのフェーズに分けられる。今年度は、越冬卵が形成されるフェーズに特に注目して研究を進めた。 まず、これまで当研究室で行ってきたCas9システムによるノックアウト系統の作製では欠損部位が大きく、その後の系統の交配・維持への影響が大きかった。そのため、これまでとは異なる手法を用いてノックアウト系統を作製するプロトコルを確立した。新手法を用いて時計遺伝子の一つであるperiod遺伝子のノックアウト系統を作製した。 また、これまで行ったRNA-seq解析の結果からは越冬卵と非越冬卵の間で産卵直後の胚における発現遺伝子に顕著な違いは見られなかった。そのため、成虫の脳や卵巣を含めて、時計遺伝子や神経ペプチドをコードする遺伝子についてリアルタイムPCRを行い、発現レベルを比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
育児休暇からの復職後、飼育しているヒトスジシマカの各系統を実験が実施できる規模まで回復させるために時間がかかってしまった。 また、本研究では、欠損変異体の判別を簡便にするために標的遺伝子に対して100 bpほどのindelを生じるように2種類のgRNAを利用して欠損変異体を作製した。作製した変異体は、欠損部位をPCRし電気泳動でバンドサイズの縮小で欠損の有無を判別していた。しかし、欠損サイズが大きい場合、他の遺伝子の発現に影響を及ぼしている可能性が考えられた。そのため、今年度は一種類のgRNAによって欠損変異体を作製する手法を導入し、欠損サイズの小さい変異体を準備した。この場合、欠損変異体はシークエンス解析によって確認を行う必要がある。これまでシークエンス解析を行う際には成虫の肢など、体の一部を採取し鋳型となるゲノムDNAを抽出していた。この手法では、シークエンス解析前に交配をしてしまうのを防ぐために蛹期に雌雄を分けるために時間が取られるだけでなく、身体の一部が欠如した状態での交配・産卵の成功率が低下する恐れがあった。 今年度、本研究では蛹の脱皮した殻からゲノムDNAを抽出する手法を開発し、蛹期に雌雄を分ける時間を省き、無傷な状態の成虫を交配・産卵に用いることが可能になった。これにより、欠損変異体の作製・維持にかかる時間が飛躍的に早まった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に確立した欠損変異体作製およびシークエンス解析手法により、加速度的にノックアウト系統を作製できるようになった。この手法を活かして、リアルタイムPCRなどの結果から越冬に関与する候補遺伝子について表現型を観察する。
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