南日本沿岸におけるゴカイ科の正確な分布:南方種北上の影響を評価するための基礎研究
Project/Area Number |
22K05693
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39060:Conservation of biological resources-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
塔筋 弘章 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60237047)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 分子系統 / 隠蔽種 / ミトコンドリアDNA / ゴカイ科 / 種内系統 / 南方種北上 |
Outline of Research at the Start |
日本の沿岸海洋生態系の土台を支えている海産無脊椎動物の種多様性について私たちはきわめて乏しい知識しか持っていない。特に、世界最大級の多様性を有する南西諸島から九州本土の黒潮流域沿岸では、熱帯種の北上、定着が急激に進行しており、在来の温帯種の生息が脅かされている。 本研究は、南西諸島から九州本土の海域に生息する主要な底生無脊椎動物である、ゴカイ科環形動物の種とその種内系統関係を明らかにし、また、黒潮とその支流(対馬海流)による熱帯種の定着状況と、それによる在来の温帯種への影響を、浮き彫りにすることにより、今後の種の保全を考える上で重要な基礎データとすることを目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
Perinereis nuntia同胞種群は九州、四国、中国、近畿、中部、関東など日本各地で標本収集を行った。Tylorrhynchus osawaiは九州を中心に標本収集を行った。また、Neanthes glandicinctaは奄美大島、徳之島を中心とした、南九州から南西諸島各地においての標本収集を行った。Namalycastis hawaiiensisは奄美大島以南の南西諸島各地においての標本収集を行った。 得られた標本から高純度のDNAを抽出することができ、ミトコンドリアCOI、16Sリボソームなどの塩基配列を決定できた。これにより、Tylorrhynchus osawai、Neanthes glandicinctaおよびNamalycastis hawaiiensisにおいて複数の隠蔽種の存在が明らかになった。 東アジアのPerinereis nuntia同胞種群(Perinereis shikueii、Perinereis wilsoni、Perinereis mictodonta)については、これまでに得られた標本を加えることにより、日本、韓国、台湾を網羅したサンプルを用い、塩基配列による系統解析を終えた。また、形態だけでは区別がつきにくいこれら3種(うち1種、Perinereis shikueiiには2つの隠蔽種を含む)を確実にに区別するためのPCR-RFLP法による分析法を開発、それらを論文として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の開始当初は新型コロナウイルス感染症への不安もあったため、採集調査の機会が減ってしまったが、その後は順調に採取を行い、サンプルの形態、塩基配列情報などを解析できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はおおむね当初の計画どおりに進展していく予定である。特に南西諸島での採集調査に力を入れる。 ①DNA塩基配列の比較ならびに形態形質に基づく分類学的検討を行い、種の同定法を確立する。②分子系統学的手法によって種間の系統関係を推定し、生殖隔離の有無を判定する。③遺伝子解析に基づく種同定法を開発、各種の地理的分布を明らかにする。④各種の分類学的記載の見直しを行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)