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海産無脊椎動物の「エラ」から探る共生イプシロンプロテオバクテリアの単離と機能解明

Research Project

Project/Area Number 22K05782
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
Research InstitutionMie University

Principal Investigator

田中 礼士  三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80447862)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Keywordsイプシロンプロテオバクテリア / アルコバクター / 共生細菌 / エラ / 海産無脊椎動物 / 海洋細菌 / 共生
Outline of Research at the Start

本研究では、浅海の無脊椎動物の「エラ」に生息するイプシロンプロテオバクテリア綱細菌とその宿主との関係性及び機能解明を最終目的とし、二枚貝、巻貝、ゴカイ類からイプシロンプロテオバクテリア綱細菌の網羅的分離を試みる。得られた分離株は代謝産物測定に加え、次世代シーケンサーを用いて全ゲノム配列を決定し、共生に関連する保有遺伝子をたどり、「エラ」を住処とする微生物群と宿主生物との共生関係を生理学的、分子生物学的に明らかにする。

Outline of Annual Research Achievements

近年、海産無脊椎動物からイプシロンプロテオバクテリアの単離例が多数報告されており、本研究室でも海産無脊椎動物のうち、巻貝であるメガイアワビからの単離に成功している。さらに、数種のメタゲノム解析法により、アワビの消化管とエラにイプシロンプロテオバクテリアが介在していることを明らかにしている。しかし、その多くが未培養であり、これらイプシロンプロテオバクテリアと宿主との関係性についてはよくわかっていない。これらの解決には、既存の発想にとらわれない新たな培養法が必要であると考えられている。
そこで、令和4年度では従来手法を改良し、トコブシ、メガイアワビ、クロアワビにおけるイプシロンプロテオバクテリアの単離を試みた。その結果、計14株のイプシロンプロテオバクテリアの単離に成功した。16S rRNA遺伝子の前半塩基配列を決定し、近縁種との相同性を確認したのち、分子系統解析によりそれぞれの系統的位置を検討したところ、8株はArcobactermarinusと高い相同性を示し、残りの6株は既存種と97 %以上の相同性を示さなかった。
令和5年度では培養できた菌株のうち15-2株の性状を調べるために、電子顕微鏡での撮影、さらには培養温度を様々に設定し、各温度での培養の有無を確認した。16S rRNA分子系統解析を行い、系統樹を作成した。さらにフルゲノム解析後にANIおよびDDHを用いて15-2株と近縁なArcobacter属細菌や代表的なArcobacter属細菌との相同性の比較を行った。
今後はこれら分離株のうち、性状の異なる株についてゲノム解析を敢行し、宿主である海産無脊動物との関係性を見出す遺伝子群の捜索を行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度はこれまでに成功した新規のArcobacter属細菌(以下15-2株)を対象に性状や分子系統解析を通して、その分類学的特性をある程度明らかにすることができたため、所定の目標をクリアしたと考えている。
電子顕微鏡での撮影により、15-2株において3本の極鞭毛を確認することができた。各温度での培養の有無を確認した結果、既存の報告より低温での培養が可能であった。16S rRNA分子系統解析の結果から、15-2株は既存のArcobacter属細菌とはクラスターを形成しなかった。ANIとDDHを用いて相同性の比較を行った結果、15-2株は対象の全てArcobacter属細菌との相同性が基準値よりも低かった。
これらの新規な情報を得られたことから今後の研究も順調に進むものと考えている。しかし次年度に進める遺伝子情報の取得法について、申請時よりも優れた手法が使用できることになったため、一部再検討が必要であり、その構築に時間を取られる状況である。詳細は今後の研究の推進方策に掲載する。

Strategy for Future Research Activity

今年度までにある程度の数の新規分離株を得ることに成功した。今後はこれら分離株のうち、性状の異なる株についてゲノム解析を敢行し、宿主である海産無脊動物との関係性を見出す遺伝子群の捜索を行う予定である。具体的には、単離に成功したイプシロンプロテオバクテリア綱細菌及び、既存の本属細菌のゲノム情報を比較検討し、海産無脊椎動物に生息する種の特異的な遺伝子を明らかにする。上記で得られた分離株より、シーケンス用ライブラリを作成後、PACバイオシステム(去年度まではHisecシステムを予定していた。)を用いて塩基配列を決定し、得られたリードからEdenaによるアッセンブル行程を行う予定である。その後D-FAST(去年度まではRASTサーバーを用いる予定であった。)サーバーを用いて、得られたドラフトゲノムの塩基配列のアノテーションを行う。イプシロンプロテオバクテリア綱の特徴であるsoxシステムやsqr遺伝子といった硫黄酸化関連遺伝子群や、海洋由来イプシロンプロテオバクテリア綱細菌に特徴的な窒素固定をコードするnifや硝酸還元をコードするnapシステムなどの遺伝子を明らかにし、代謝マップを作成する。これら窒素固定から派生するアミノ酸代謝・発酵関連遺伝子群の捜索も併せて行う。最終的には作成した海産無脊椎動物由来のイプシロンプロテオバクテリア綱細菌の代謝マップを基に、既存種を含めたεプロテオバクテリア綱細菌との比較ゲノムを行う。特に炭素の固定能力の有無や、エネルギー源として利用する物質の特定、代謝産物の推定を行う。また、代表的なヘリコバクター病原遺伝子(cagAなど)の有無を確認する作業を行い、これまでに報告されている陸由来の病原性イプシロンプロテオバクテリア綱細菌との遺伝学的な差を明らかにする。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Research-status Report
  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 海産二枚貝のエラに存在する海洋性スピロヘータの検出および遺伝的多様性解析2023

    • Author(s)
      川原峻・水谷雪乃・田中礼士
    • Organizer
      マリンバイオテクノロジー学会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 海産二枚貝のエラに存在する海洋性スピロヘータの検出および遺伝的多様性解析2023

    • Author(s)
      川原峻・水谷雪乃・田中礼士
    • Organizer
      日本水産学会
    • Related Report
      2022 Research-status Report

URL: 

Published: 2022-04-19   Modified: 2024-12-25  

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