Project/Area Number |
22K05804
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
清田 雅史 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (10371931)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 生態系モデル / 資源解析 / キーストーン種 / 漁獲圧 / 安定同位体比分析 / 漁業モニタリング / 海洋環境 / 中位栄養段階 / 生態系連結性 / 生態系管理 / 海洋環境変動 / 飼料魚 / 捕食被食関係 / 間接作用 |
Outline of Research at the Start |
本研究は水産物としても餌生物としても重要な小型浮魚カタクチイワシに注目し,海洋環境変動および沖合漁業による大量漁獲がカタクチイワシの来遊量を減少させ,沿岸生態系の構造と生産力を変化させているという仮説を検証する。漁業者との協働によりデータやサンプルを収集して数理モデル解析を行い,海洋環境と小型浮魚漁獲がもたらす間接影響を生態系モデルを用いて定量的に評価し,持続可能な漁獲方策を探索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
大村湾の海洋生態系モデルを作成するにあたり,生息種の現存量を推定する必要があるが,漁業データ以外には利用できるデータが極めて少ない。そこで,限られたデータから水産資源評価を行い資源量の経年変化を推定できるデータプア資源解析手法の応用可能性を検討した。水産庁の資源評価データを4種の余剰生産モデル型データプア資源解析プログラム(CMSY,SPiCT, JABBA, BSM)に入力し,推定結果をフルデータに基づく資源評価結果と比較してパフォーマンスを評価した。CMSYは,データ要求が漁獲量データと資源生物情報だけで最小であるにもかかわらず,推定精度は他のモデルに見劣りしないことを確認し,その成果を水産海洋学会にて発表した。 大村湾周辺の各漁協の2014 年から 2022 年における魚種別水揚げ記録帳を収集して電子データ化し,漁獲対象種40種を対象にCMSY解析を行い,年別の資源量と漁獲死亡係数(漁獲圧)を推定した。経年的に資源量と漁獲圧は低下傾向にあり,資源減少と漁業者減少が並行して進んでいることを確認できた。 大村湾の生態系構成種を生態学的特性などから33の機能群にまとめ,CMSYから推定された資源量と漁獲死亡係数および食性などに関する文献情報を応用して,2014年から2021年における各年のEcopath生態系モデルを作成し,生態系の経年変化を可視化した。作成したEcopath モデルを用いてネットワーク解析を行い,大村湾の生態系構造や種間相互作用の特徴や漁業の影響について解析を行った。種間関係の強さを表すMTI指標の解析から得られたキーストーン指標値は,カタクチイワシ,マダコ,スナメリが大村湾生態系の鍵種であることを示し,トップダウンコントロールが強い傾向を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度には外海から大村湾へ移入するカタクチイワシの量と変動要因を推定した。2023年度にはデータ不足下における資源解析手法(CMSY)とEcopathをリンクさせる新たな手法を開発し,生態系情報が不十分な大村湾についても生態系モデルを構築し,過去からの推移を復元することができた。開発したCMSY-Ecopathカップリング手法は,漁業データから各年の現存量を推定できるだけでなく,現存量の増減傾向についても情報を受け渡すことで,Ecopathの前提条件である平衡状態を必ずしも仮定しない柔軟かつ現実的なモデリングを可能にする点でも優れており,将来予測などに向けた新たなモデリング展開が期待できる。一方,生態系構成種の食性情報に関する調査は生物サンプル収集が想定通りには進まず,予定よりも若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には,生物サンプリングや文献情報の拡大収集を行い,2014年から2022年までのEcopath生態系モデルの精度を高める。各年のEcopathモデルの年変動にフィットさせた前方シミュレーション型のEcosim生態系モデルを開発するとともに,カタクチイワシの移入変動などの外部変動要因を組み込むための改良を施す。その後さらに,開発したEcosimモデルを用いて,環境変動下における持続可能な漁獲管理方策を探索する。
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