適切な漁場造成のための高層魚礁の餌場機能発現機構の解明
Project/Area Number |
22K05814
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
多賀 悠子 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 研究員 (40737318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠章 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 主任研究員 (50713880)
古市 尚基 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 主任研究員 (70588243)
大井 邦昭 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 主任研究員 (40882600)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 魚礁 / 漁場造成 / 餌場機能 / 環境DNA / 流動場 / 水中ドローン |
Outline of Research at the Start |
本邦では人工魚礁による漁場造成が盛んに行われているが、効率的な漁場造成には、漁場形成要因である餌場機能の発現機構の解明が必須である。特に高層魚礁は特異な流動場を形成するため、餌場機能の理解には魚類や餌への流動場の影響の把握が重要となる。そこで本研究では高層魚礁の優占種となる動物プランクトン食魚に着目し、環境DNA分析による生物相の新たな定量評価法と高解像度流動場解析によって、魚類相と動物プランクトン相の空間分布と流動場を把握する。加えて、魚類の摂餌効率や代謝コストの流速への応答を行動実験で調べ、魚類相の空間分布と流動場に対する餌の獲得しやすさ等の関係を検討し、餌場機能発現機構を把握する。
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Outline of Annual Research Achievements |
館山沖の高層魚礁群を対象とした野外調査を6月と10月に実施し、環境DNA分析用試料の採水、水中ドローンによる魚類相の撮影、および流れ、水温、塩分、濁度、懸濁物・プランクトンのサイズ分布(LISST)等の環境情報を取得した。魚類相の空間分布は、環境DNA分析と水中ドローンによる画像解析の両者で検討し、両手法の特徴を比較した結果、当初予定していた環境DNA分析よりも水中ドローンによる画像解析で、より高精度に把握できることを明らかとした。後者でデータ解析を行った結果、魚礁への定着性の高い底生魚は魚礁から10mの範囲の、特に魚礁水平面に偏在することが分かった。優占種であるイサキの胃内容物分析を行い、主餌は全長5mm前後のコペポータであることを明らかとした。動物プランクトンの分布はeDNA分析とLISSTによる懸濁物・プランクトンのサイズ分布から検討した。回流水槽とPIVを用いた水理模型実験により、高層魚礁近傍の局所的な流動変化を調べた結果、魚類が偏在した魚礁水平面や魚礁潮上側の領域では、観測される流速値の範囲が広いことが示され、流動場が魚類相の分布に影響を与える可能性が示唆された。魚礁周辺に分布するイサキの酸素消費量(代謝コスト)を水槽実験によって把握するため、水理模型実験の結果を参照して、回流水槽内の流速分布の把握等の水槽設定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では環境DNA分析を高精度化することで、魚類相の空間分布を把握する予定であったが、水中ドローンによる画像解析手法を新たに開発し、より高精度に空間分布を把握できるようになった。動物プランクトン相の分布については、環境DNA分析で検討したものの十分な結果が得られなかった一方で、当初計画になかったLISSTによるプランクトンサイズ分布と胃内容物分析による複合的なアプローチからその分布を検討した。水理模型実験による流動場の把握は当初計画通りの結果を得たが、流速別の魚類の代謝コストの把握については、実験魚の入手可能時期の影響で当初計画よりも遅れている。以上から、総合的にはおおむね順調に進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は魚類相の空間分布の新たな定量評価手法として、水中ドローンを用いた密度分布の推定手法を開発した。2023年度は、当初の計画と変更して、開発手法を用いて引き続き魚類相の空間分布を把握するとともに、水中ドローンのステレオ魚体長計測技術を導入することで、魚類相のサイズ分布の把握を行う。動物プランクトン相の分布については、引き続き環境DNA分析、胃内容物分析、LISSTによる懸濁物・プランクトンのサイズ分布の把握によって明らかにする。また、2022年度の結果を踏まえて数値シミュレーションによる高層魚礁の局所的流動場の把握を行うとともに、2022年度実施分とは形状の異なる魚礁についても水理模型実験で流動場の把握を行う。優占種であるイサキを対象として、2022年度に未実施となった流速別の代謝コストの把握に加えて、流速別の摂餌効率の把握を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)