Project/Area Number |
22K05824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40040:Aquatic life science-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
片倉 文彦 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (10756597)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 魚類免疫 / 白血球移植 / IgM陽性B細胞 / CD4-2 / 白血球移入 / リンパ球 / 一次リンパ組織 / 二次リンパ組織 / 免疫記憶 |
Outline of Research at the Start |
魚病ワクチン開発にむけた基盤としての魚類獲得免疫機構の知見を深めることを目的として、(1) 独自に開発した蛍光タンパク質(GFP等)遺伝子導入クローンギンブナの造血幹細胞を野生型同系クローン魚へ移入することによりT・B細胞産生の場(一次リンパ組織)を解明するとともに、(2) 特定の抗原で感作した蛍光クローン魚の種々の白血球を野生型同系クローン魚へ移入し同一抗原にて再感作することにより、免疫応答の場(二次リンパ組織)やT-B相互作用、記憶細胞の存在を実証し、免疫記憶の形成・維持を制御する分子機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、魚病ワクチンの開発にむけた基盤的知見を得るため、リンパ球を中心とする魚類獲得免疫機構を深く理解することが目的である。2年目となる2023年度は、二次リンパ組織の同定と免疫記憶形成・維持機構の解明にむけて、抗原特異的なリンパ球の機能・動態を解析可能なギンブナ移植実験系の開発を試みた。クローンギンブナ(Carassius auratus langsdorfii)OB1系統にef1a遺伝子プロモーターにより制御されるenhanced green fluorescent protein (eGFP)遺伝子を導入したef1a:eGFPギンブナをドナーとして白血球移植実験を行った。すなわち、モデル抗原としてキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)で感作したef1a:eGFPギンブナから血中KLH特異的IgM抗体価の顕著な上昇が認められる感作後4週目において腎臓と脾臓の白血球を分離し、野生型同系魚の尾静脈より移植した。対照群としてオボアルブミン(OVA)感作個体の白血球を移入した。レシピエント魚をKLHにて感作したところ、KLH感作白血球移入群ではOVA対照群と比較して有意に高いKLH抗体価が認められた。さらに、移入後1週間後の腎臓においてGFP陽性のIgM陽性細胞がフローサイトメトリー解析により認められた。以上より、GFP蛍光を指標として抗原感作に伴う抗原特異的なB細胞の動態を解析可能な移植実験系が確立できたと考えられた。 また、ギンブナのヘルパーT細胞の性状・機能・動態等を解析するのに必要不可欠な、魚類特異的なヘルパーT細胞マーカー分子であるCD4-2に対するモノクローナル抗体の作製に成功した。これらの成果は今後の魚類獲得免疫機構解明研究を強力に推進するための基盤となる成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施したKLH感作GFP陽性魚からの腎臓/脾臓白血球移植実験により、GFP蛍光を指標としてKLH特異的な抗体産生細胞がレシピエント体内に定着したことが示され、ドナー由来抗原特異的B細胞を長期に亘り追跡することが可能となった。この成果は、魚類の獲得免疫の中心を担うIgM陽性B細胞の二次応答や免疫記憶形成・維持の機構を解析するための基盤技術が確立できたものと考えられる。また、ギンブナのヘルパーT細胞の同定、機能および動態解析に必須の抗ギンブナCD4-2モノクローナル抗体の作製にも成功し、既に得られている抗CD4-1モノクローナル抗体や抗CD8αモノクローナル抗体などと合わせ、T細胞を介した獲得免疫制御機構を解析する一通りのツールを揃えることができた。しかし研究初年度に引き続き、赤色蛍光を示すef1a:DsRedギンブナおよびT細胞を特異的に識別できるlck:eGFPギンブナについては未だ系統の樹立には至っていない。 以上より、予定していた実験ツール開発の一部は未達成であるものの、本研究課題の本筋であるリンパ球の機能・動態解析の鍵となる実験・解析手法の確立は済んだことから、おおむね順調に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでに確立した移植実験系を活用してリンパ球の産生機構および活性化・記憶成立の分子機構を明らかにしていく。リンパ球産生機構については、ef1a:eGFP ギンブナよりhoechst33342に難染性のside population (SP)細胞、すなわち造血幹細胞を放射線照射同系魚に移入する。GFP陽性細胞による胸腺組織および腎臓組織の再構築を種々の細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体等を用いてフローサイトメトリー解析や組織学的解析等により明らかにして、T細胞産生およびB細胞産生の微小環境や分子機構を明らかにする。また、二次リンパ組織の同定および記憶細胞の形成・維持の分子機構については、B細胞についてさらに深掘りするだけでなく本年度作製した抗CD4-2モノクローナル抗体を用いてヘルパーT細胞の解析も行う予定である。フローサイトメトリー解析や組織学的解析等によりT-B相互作用を実証し、ギンブナにおいて全身性免疫応答を司る二次リンパ組織の局在を明らかにする。また、GFP蛍光を指標とした細胞の長期追跡が可能である特色を活かし、移植後のリンパ球が同一抗原に対して長期に亘り免疫記憶を有するのか、またその記憶の形成および維持がどのような分子基盤で制御されるのかを明らかにする予定である。
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