Project/Area Number |
22K05847
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41010:Agricultural and food economics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅見 淳之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60184157)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | バザール経済 / 淡水魚流通 / 新型農業経営 / 合作社 / 家庭農場 / 差序格局 / 農業産業化 / アグリゲーション / 非境界 / 差序各局 |
Outline of Research at the Start |
途上国でも、旧来の伝統的市場を越えて、近代的サプライチェーンが形成されてきている。ところが小規模農は、近代的サプライチェーンから排除され、貧困から脱出できないことが問題であり、これを販売協同組合の形成によって解決しようとしている。中国では農業産業化として、モロッコではアグリゲーションとして協同組合による近代的サプライチェーンの形成が進んでいる。人間関係において、伝統的市場とは境界のない「バザール経済」であるが、そこから境界を形成する協同組合はどのように生まれるのだろうか? 人間関係という人類学的視点を経済学的に明らかにし、チェーンへの参加による貧困からの脱出への方策を提案していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、中国農村に対し現地調査を行った。モロッコの牛乳流通を対象に、現地調査を行う予定であったが、依頼をしていたCOPAGなど食品会社がコロナ感染拡大以降には聞き取り調査を全面的に拒否してきたため、モロッコの現地調査を行うことができなくなった。現地の研究協力者からも状況説明を受け、現地調査を断念し、食品会社の資料による情報収集に限定せざるを得なくなった。牛乳流通においては、境界のない人間関係による取引の特徴はつかむことができず、大規模な食品会社による近代的な流通機構が整備されていることが確認された。 そこで中国に対象を絞り込んで、調査研究を行うことにした。本年度は、中国の江蘇省と黒竜江省の農村を対象に現地調査を行った。9月に、まず南京市周辺の農村で、淡水魚(上海蟹など)流通に対し、その取引形態が差序格局による人間関係をもとにしたバザール的な形態であったのが、産地市場の整備によって規範化されてきている実態を知ることができた。しかし依然として、血族を中心とする差序格局での社会秩序が農村部では経済システムを支えている。また、ハルビン市近郊農村において、コメの生産が、新型農業経営(家庭農場、合作社など)の設立によって、急速に大規模化、法人化が進み、消極的な販売体制から積極的なマーケティング活動が行われている実態が明らかになった。ここ10数年での急激な変化である。黒竜江省では、血族の差序格局からパーソナルでない法人化の中での人間関係に、大きく転換している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モロッコに関しては、コロナ前には現地調査に協力的な意向を示していた食品会社が、コロナ後には衛生上の理由から受け入れを断られる状況となった。現地研究協力者と事態の打開をはかったが難しく、モロッコについては現地調査を中止し、情報収集にとどめることになった。その点ではやや遅れている。 その代わりに、現地調査に関しては中国に集中して課題を追求することにした。まず当初予定していた江蘇省、黒竜江省の現地調査を実施した。中国もコロナまた政治状況から現地調査が容易ではないが、研究協力者を増やして対応することにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
モロッコの現地調査が困難になった状況をふまえ、中国の現地調査を拡大する。当初予定した江蘇省、黒竜江省に加え、新たに湖南省長沙市近郊、また江西省南昌市近郊の農村の現地調査を行う。これらは華南の稲作地帯であり、黒竜江省と比較することで貴重な知見が得られる。人間関係に基づく家族経営を主体としたバザール的な経済システムから、新型農業経営を中心とした規範的な経済システムへと大きく転換した実態が把握できることが期待される。
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