Project/Area Number |
22K05909
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41040:Agricultural environmental engineering and agricultural information engineering-related
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森松 和也 愛媛大学, 農学研究科, 講師 (70746742)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 耐熱性芽胞 / 高圧発芽誘導 / 超休眠芽胞 / 高圧処理 / 発芽誘導 / 殺菌 |
Outline of Research at the Start |
高圧処理による耐熱性芽胞の発芽誘導は芽胞の耐熱性を弱体化する効果があるため,食品の熱殺菌条件を緩和できると期待されている.しかしながら,高圧発芽誘導では超休眠芽胞と呼ばれる一部の芽胞の発芽を誘導できないことも指摘されている.これまでに,芽胞へ70 ℃の温和な熱処理を施すことで超休眠芽胞の発芽も高圧処理で誘導できると明らかにした.そこで,本研究では超休眠芽胞の高圧発芽誘導を目的とし,①熱処理による超休眠芽胞の高圧発芽誘導効果の向上のメカニズム解明,②超休眠芽胞の高圧発芽誘導効果を向上させる添加物の探索を行っていく.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高圧処理による超休眠芽胞を含む全芽胞の完全な休眠打破を目的としている.令和5年度では熱処理による超休眠芽胞の高圧発芽誘導効果の向上に関する研究を遂行すると共に,超休眠芽胞の高圧処理後の耐熱性低下について検証した. 枯草菌(Bacillus subtilis)が形成した芽胞を対象とし,リン酸緩衝生理食塩水に懸濁した上で用いた.昨年度までに,100 MPaの高圧発芽誘導は,70 ℃以下の熱による前処理で促進され,80 ℃以下の熱による前処理で抑制されることを明らかにした.これに対し,600 MPaの高圧発芽誘導はいずれの温度でも熱による前処理で促進された.本年度では,70 ℃・60分間または90 ℃・5分間の熱による前処理を施した芽胞へ100-600 MPaの高圧発芽誘導をそれぞれ行い,熱による前処理が高圧発芽誘導に及ぼす影響を圧力毎に検証した.その結果,70 ℃・60分間の熱による前処理では,いずれの圧力でも高圧発芽誘導が促進された.一方,90 ℃・5分間の熱による前処理による高圧発芽誘導に対する影響について,300 MPa以下の圧力では抑制され,400 MPaでは影響が示されず,500 MPa以上の圧力では促進された.圧力の大きさに応じて高圧発芽誘導のメカニズムが異なることが知られていることから,高圧発芽誘導のメカニズムの違いにより90 ℃・5分間の熱による前処理による高圧発芽誘導に対する影響が400 MPaを境に異なったと考えられた. 100 MPaの高圧処理を施した後の超休眠芽胞は耐熱性が低下することが知られる.このとき,高圧処理前後の超休眠芽胞に含有するジピコリン酸と金属イオン含量を調べると,ジピコリン酸は顕著に減少し,金属イオンもわずかに減少した.そのため,高圧発芽誘導に対する超休眠芽胞の感受性の低さはこれらの成分が少ないために生じていた可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度では,(1)熱による前処理で生じる高圧発芽誘導の促進/抑制の影響を圧力毎に検証した.さらに,(2)100 MPaの高圧処理後も未発芽状態の超休眠芽胞の内部成分について調べた.本来であれば,予定してた発芽レセプター欠損株を用いた実験については着手できていないが,高圧発芽誘導へ熱による前処理が与える促進/抑制作用に対して処理圧力で異なることや超休眠芽胞の内部成分の特異性を明らかにした.以上のように予定外の内容についても研究を行ったため,予定した実験を行っていないが,実験成果としては当初の予定と同等の成果が得られたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度では,まず,発芽誘導物質による高圧発芽誘導への影響について検証する.さらに,発芽レセプター欠損株を用いた実験について着手し,超休眠芽胞の高圧発芽誘導に対して熱処理による促進/抑制作用を生じさせる発芽レセプターを特定する.また,熱による前処理で生じる促進/抑制作用が継続的に働くかを検証する.
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