Project/Area Number |
22K05956
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42010:Animal production science-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
金野 俊洋 琉球大学, 農学部, 准教授 (60568260)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 胚盤胞活性化 / 着床 / 細胞内シグナリング / インテグリン / 胚盤胞 / 細胞外基質 / 三次元培養 |
Outline of Research at the Start |
初期胚発生を体外で再現する培養系の確立は、胚盤胞期以降の胚発生を支える母胎間相互作用を解明する上で重要な知見をもたらすことが期待される。本研究は、子宮管腔液中のアルギニン-グリシン-アスパラギン酸 (RGD) モチーフ含有タンパク質(RGDタンパク質)がインテグリンを介して胚盤胞の活性化を誘導する可能性に着目し、マウスをモデルに胚盤胞期以降の胚発生を再現する三次元培養法を確立し、インテグリンを起点とする栄養膜細胞の増殖・分化の制御機構を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
マウスやラットでは着床遅延モデルが確立されており、着床遅延中の子宮内で胚は胚盤胞の状態で休止状態となる。この胚盤胞休止は真獣類に広く保存された形質である可能性が指摘されているが、休止胚盤胞を活性化する子宮内環境、すなわち、胚盤胞期以降の胚発生のニッチは未だ不明である。子宮内での初期胚発生を体外で再現する培養系の確立は、胚盤胞期以降の胚発生のニッチを解明する上で重要な知見をもたらす。着床期マウスの子宮では、血中エストロゲン濃度の一過性の上昇により子宮線からオステオポンチンが分泌される。このオステオポンチンは胚盤胞に作用し、FAK/PI3K/AKTシグナリングを介して胚盤胞の接着性を誘導する。オステオポンチンはアルギニン-グリシン-アスパラギン酸 (RGD) モチーフを有する細胞外基質タンパク質のひとつで、同様にRGDモチーフを有するフィブロネクチンも胚盤胞の接着性をin vivoで誘導する。そこで本研究では、インテグリンを起点とする細胞内シグナリングが胚盤胞の活性化を誘導する可能性に着目し、マウスをモデルに胚盤胞期以降の胚発生を再現する三次元培養法の確立に取り組んでいる。 我々は予備実験において、培養容器の底面をアガロースでコーティングして胚盤胞の容器への接着を阻害しつつ、培養液にフィグロネクチンを添加することで、胚盤胞の立体構造を損なうことなく長時間培養できることを見出している。そこで昨年度は、フィブロネクチン添加の影響を評価するための培養系確立の初期段階として、マウス妊娠子宮から胚盤胞を得るタイミングとフィブロネクチンを添加するタイミングの最適化を行うとともに、培養液へのフィブロネクチン添加が胚盤胞に及ぼす影響を検証し、これまでに胚盤胞培養系へのフィブロネクチン添加は細胞死を抑制するとともに細胞増殖の促進することを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胚盤胞の発生やフィブロネクチンに対する応答性は個体差が大きく、再現性のある実験系の確立に当初の計画よりも時間を要したため、現時点では研究の進捗に遅れが見られる。今年度中に、培養容器や実験器具の見直しや培養操作や観察に要する時間の短縮など実験手技の洗練を図り、人為的要因による実験誤差を極力減らす方策を講じるとともに、再現性のある結果を得るための胚盤胞の選別基準などを確立したため、次年度以降の計画の遂行には影響は小さいと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度から最終年度にかけては、以下の内容について検証を行う。 1) 細胞培養に通常用いられるCO2インキュベーター内の酸素濃度は大気中と同じく約20%であるが、生体内の酸素濃度はこれ よりも遥かに低い。一般に5%の低酸素濃度での胚培養は2 0%酸素濃度培養に比べて胚盤胞期胚への発生率が高いことも知られている。そこで、胚盤胞の接着阻害培養における最適な酸素濃度 の検証を行う。 2) 生体における胚発生との比較(R5-6年度): 受精卵は卵割を繰り返し桑実胚となった後に胚盤胞を形成する。胚盤胞はICMと栄養外胚葉から なり、それぞれOct4とCdx2などをマーカーとして用いることができる。着床後、壁側栄養外胚葉の細胞ではCdx2の発現が減少し、Hand1やStra1 3などの栄養膜巨細胞マーカーが発現する。一方、ICMに接する極栄養外胚葉では細胞が増殖して胚体外外胚葉(Cdx2+, Mash2+)となり、その後e ctoplacental cone(Cdx2-, Tpbpa+, Flt1+)を形成する。本研究では前述1)で確立する培養系における胚発生をこれらマーカーに対する免疫染 色法により解析し、生体における胚発生との類似性を検証する。 3) 可溶性タンパク質が胚発生におよぼす作用の検証(R5-6年度): 前述1)と2)により確立する培養系を用い、RGDタンパク質とその受容体であ るインテグリンとの結合が活性化する細胞内シグナリングとそのシグナリング経路が介在する胚発生プロセスの同定を行う。細胞内シグナリン グの活性化の検証には各種シグナリングの構成タンパク質に対するリン酸化抗体を用いたウエスタンプロッティング法を用い、培養系に各種低 分子阻害剤を添加することでそのシグナリングが介在する胚発生プロセスを同定する。
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