Project/Area Number |
22K05987
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
日暮 泰男 山口大学, 共同獣医学部, 助教 (90580283)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | 身体運動 / 動物 / 哺乳類 / 脊椎 / 生体医工学 / バイオメカニクス / 材料試験 / ロコモーション / 脊柱 / イヌ / 運動 |
Outline of Research at the Start |
動物は複雑な環境の中をうまく適応しながら、かつ、ダイナミックに移動する優れた運動能力を有する。動物のダイナミックな運動に関する研究は獣医療やロボット工学といった多分野に貢献する可能性が期待されているが、それを生み出す機構と制御メカニズムは未だ十分に解明されていない。本研究では、「体幹とそれを構成する主要な骨格である脊柱がダイナミックな運動の生成に重要な役割を果たしているのではないか」という問いを検討するために、実際に運動する動物を対象とする行動学的研究と、動物の脊柱の柔らかさに関する解剖学的研究を組みあわせて実施する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の身体運動と脊椎の機械的性質との関係の解明を目的とする本研究課題において、本年度の重要な研究成果は3つある。1)昨年度まで学外で行っていたイヌのアジリティに関する解析の成果を、国際学術雑誌であるMammal Studyに発表した。2)ネコの高速走行における脊椎の運動を慣性センサにより計測した。3)哺乳類の脊椎にねじり破壊試験を行う試験機と試験法を確立した。 1)学術雑誌Mammal Studyに発表したこの研究では、イヌがターン動作を行うときの頭部と体幹の傾きを慣性センサにより測定した。ターン動作における頭部の傾きは体幹の半分程度に抑えられた。この結果から、効率的なターン動作を行うために体幹は大きく傾けられるが、良質な視覚情報および前庭感覚情報を得るために頭部の傾きが抑えられることが示唆された。 2)ネコがウォーク、トロット、ギャロップという3種類の歩容を行うときの脊椎の屈曲・伸展の運動域を慣性センサにより測定した。最も高い速度域で行われるギャロップでは、ウォークやトロットにくらべて、屈曲・伸展の運動域が顕著に広かった。さらに、脊椎の伸展のタイミングは後肢の伸展とおおむね一致していた。これらの結果から、ネコにおける高速走行の生成に脊椎の運動が大きく寄与していることが示唆された。 3)材料試験の中で破壊試験からは、材料の機械的性質について貴重な知見が得られる。哺乳類の脊椎にねじり破壊試験を行う試験機と試験法を確立したことにより、今後は、哺乳類の脊椎が軸回旋においてどのくらいのトルクに耐えられるのか、最大可動域はどのくらいか、弾性はどのくらいかを客観的に評価できるようになった。また、材料試験に用いるために、ネコ、イヌ、ウサギ、ブタ、ウシ、シマオイワラビー、ワオキツネザル、アカゲザル、テナガザルなどの多数の検体を入手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画を実施しつつ、新たな研究内容にも取り組むことができている。本年度は、とくに、昨年度学外で行ったイヌのアジリティに関する解析の成果を学術論文として発表できた。ネコの高速走行における脊椎の運動を慣性センサを用いて計測した。哺乳類の脊椎にねじり破壊試験を行う試験機と試験法を確立できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も当初計画を基本としつつ、本研究課題を深めるような新たな研究内容についても検討していく。 行動学的研究としては、学内で飼育しているイヌとネコの身体運動をビデオ分析および慣性センサ、フォースプラットフォーム法、表面筋電図法といった種々の手法を用いて計測する。 解剖学的研究としては、ネコやそれと同程度の体サイズの哺乳類を対象として、脊椎の材料試験を行い、脊椎の機械的性質を明らかにする。また、哺乳類の検体の入手を継続する。 最終的に、行動学的研究と解剖学的研究の成果を統合し、哺乳類の身体運動と脊椎の機械的性質との関係を明らかにする。
|