Project/Area Number |
22K06021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 洋 岩手大学, 農学部, 教授 (00726606)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | エストロジェン / 腫瘍 / 系統差 / TGF-β1 / ホルモン依存性腫瘍 / 感受性差 |
Outline of Research at the Start |
エストロジェンに起因した腫瘍性変化は,ヒトを含む多くの動物に認められ,特に乳腺,子宮や下垂体での増殖性病変が着目されている。申請者は,これまでエストロジェンに対するラット下垂体の増殖性病変に系統差が存在することを明らかにしてきた。エストロジェン投与により増殖反応に明らかに系統感差がみられる臓器組織は,下垂体をおいて他に無い。そこで今回,エストロジェンの増殖刺激に対して感受性の低い,いわゆる抵抗性を示す系統に着目し,感受性を規定する因子を形態学的,生化学的および分子生物学的手法を用いて解析・特定するとともに,エストロジェン依存性腫瘍の防御あるいは治療標的の可能性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
エストロジェンに起因した腫瘍性変化は,ヒトを含む多くの動物に認められ,特に乳腺,子宮や下垂体が着目されている。ラットにおけるエストロジェン投与による下垂体腫瘍の発生には系統間で差がみられる。そこでエストロジェンの増殖刺激に対して抵抗性を示す因子の検出を目的として本研究を実施した。はじめに下垂体プロラクチン(PRL)分泌細胞の増殖および分泌を阻害する因子として知られているTGF-β1に着目し, 5系統のラットにおけるTGF-β1の発現を解析した。 エストロジェン誘発下垂体腫瘍高感受系統としてF344,SD,Wister,低感受系統としてDonryu,Brown Norway (BN) のラット (5週齢,雌) に,エストロジェンジプロピオン酸エステル (ED) 20 mg/kgを2週間に1度背部皮下投与し,組織学的,ELISAによるTGF-β1発現量ならびに関連するmRNAの発現量をRT-qPCRで解析した。 その結果,F344,SDおよびWistarのED投与群では,下垂体前葉のPRL分泌細胞の増殖性病変が認められ,DonryuおよびBNのED投与群では,増殖性変化は認められなかった。下垂体前葉におけるTGF-β1陽性細胞率およびTGF-β1タンパク発現量は,F344およびWistarのED投与群で,それぞれの対象群と比較して低値を示し,SD,DonryuおよびBNのED投与群で髙値を示した。一方,増殖性変化のみられたSDでは,ED投与により下垂体TGF-β1発現量が増加しており,他の高感受性系統とは異なる結果が得られた。SD以外の系統におけるエストロジェンの増殖刺激に対する感受性の差にTGF-β1発現の差が関与する可能性が示唆されたが,TGF-β1以外の因子もエストロジェンの増殖刺激の感受性の差に関与していることが疑われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,下垂体がエストロジェンの増殖刺激に対し低感受性を示す系統と高感受性を示す系統にエストロジェンを投与し,1週,3週および7週後の遺伝子変動をPCRあるいは次世代シークエンサーを用い網羅的に解析する予定であったが,研究環境がと伴わず,感受性の規定に関与する可能性の高いTGF-β1に着目した研究を推進した。 その結果,エストロジェンの細胞増殖作用に対する感受性の差に下垂体TGF-β1発現量の差が関与する可能性が示唆された。しかし,高感受性系統であるSD系ラットにおいて他の高感受性系統と異なるTGF-β1の変動を示したことから,エストロジェンの増殖刺激に対する感受性規定因子はTGF-β1のみでは無く,他にもある可能性が示唆された。よって,現時点においては当初の目的の感受性因子を完全に特定できていない。今後は,エストロジェンの増殖刺激に対する感受性を規定する因子を特定するためには,次世代シークエンサーを用いたmRNAの発現変動の網羅的な解析が必須と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進として,①エストロジェンの細胞増殖刺激に対し低感受性を示す系統と高感受性を示す系統にエストロジェンを投与し,初期および腫瘍化した時点で変動するmRNAを網羅的に解析し,対照群との差,系統間との差から候補遺伝子を絞り込む。なお,エストロジェンの細胞増殖刺激に対して高感受性を示す系統として近交系のF344ラットを,低感受性を示す系統として,同じく近交系のBrown Norwayラットを選択し,いずれも内在性エストロジェンの影響のない雄を用いて検討することとする。②有意に変動のみられたmRNAあるいは関連タンパク質について,同種の正常組織又は他のエストロジェン依存性腫瘍モデルとともに臨床サンプル (イヌ乳腺腫瘍などのエストロジェン依存性腫瘍) も対象として発現を解析し,病態,器官および種を超えて共通した変動であるかを検証する。
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