糖尿病発症に性差をもたらす膵臓局所GnRHによるインスリン分泌調節機構
Project/Area Number |
22K06033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
汾陽 光盛 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (00153007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 秀一 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (00510380)
中村 翔 名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院(農), 特任准教授 (50829223)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | GnRH / アネキシンA5 / インスリン / 膵島 / 糖尿病 / 性差 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、1)膵臓GnRHの産生細胞とその発現機序をアネキシンA5との関連を含めて解明する。2)膵臓におけるGnRH-アネキシンA5のインスリン分泌に対する作用と作用機序を解明する。3 )膵臓GnRHに対する性腺ホルモン(アンドロジェン、エストロジェン)の影響の3点を明らかにする。実験に用いるホルモン測定のための時間分解蛍光免疫測定法、リアルタイムPCR法、in situハイブリダイゼーションを行う。動物、細胞はすでに維持しており、実験手技は確立しているので必要な試薬類を購入してすぐに着手できる。遺伝子変化の網羅的解析のためにRNAseqは委託で行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、膵臓局所に発現するGnRHと膵臓内分泌機能の関連を明らかにし、GnRH発現が性ホルモンに影響されることから、糖尿病発症率に見られる性差の発現機序を明らかにしようとするものである。実験動物として、GnRHを作らない突然変異マウスのhpgとGnRH下流で機能するアネキシンA5ノックアウトマウスを用い、それぞれの糖代謝と膵内分泌機構を解析する。これらのマウスはすでに有している。hpgは不妊なので、ヘテロで維持している。動物維持費が値上げされ、極めて高価になったことで計画の進捗に影響が出ている。膵臓はほぼ全てを占める外分泌腺と僅かな膵島からなり、膵島の遺伝子発現を調べるには膵島を分離する必要がある。初年度は、その方法の検討と習熟のためにかなりの時間を費やした。その他、免疫組織科学や遺伝子発現の測定など実験方法の確立を行なった。一方、イヌで糖尿病有病率に性差が報告されていることを踏まえ、開業獣医師の協力を得て症例を検討した。精巣を除去することで壮年時の有病率の低下することが明らかになった。精巣除去によって膵臓のGnRH発現が視床下部と同様に影響を受けると考えられるので、精巣除去の糖尿病有病率に及ぼす影響には興味が持たれる。またワイルドとアネキシンA5ノックアウトマウスを用いて糖負荷試験を試みている。方法を確立し例数を集めている段階だが、両者に差は認められなかった。hpgでも同様の試験を行いたいところだが、飼育に制約があるので進んでいない。膵島の組織像について、インスリンの免疫染色を行なっているがグルカゴンについてもやる必要がある。また膵臓におけるGnRH産生細胞を特定するためにインサイチュハイブリダイゼーションを始めているがまだ条件検討の段階である。膵臓局所においてGnRHがインスリンとアネキシンA5合成をβ細胞で促進しているのは確かだと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、hpg、アネキシンA5ノックアウトマウスの膵臓を採取して免疫組織化学を行うことから始めた。インスリンとアネキシンA5の免疫染色はできるようになった。グルカゴンについて準備中である。またインサイチュハイブリダイゼーションの準備も始めており、各組織において発現するGnRH遺伝子の配列を確認している。糖負荷試験も条件検討が終わりデータを集め始めた。膵島における遺伝子発現へのGnRHの効果を評価するために膵島の分離を試みている。膵島を分離するためには膵管からコラゲネース溶液を注入して外分泌腺と膵島を分ける必要があるが、技術を要する。練習をしながらサンプルを集めている段階である。膵臓におけるGnRH発現へのテストステロンの影響を調べる一環として精巣摘出動物を作製し、膵島の遺伝子発現を検討することも行なっている。テストステロンと膵臓機能に相関があれば、糖尿病発症率に精巣の有無で差が出る可能性がある。そこで、開業獣医師に協力を求め、実際の犬の糖尿病における精巣の影響を検討した。去勢動物では、壮年期で糖尿病が少ないものの生涯有病率はむしろ増加するという結果が得られた。今例数を増やすことを目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)免疫組織化学について例数を増やすのみならず、グルカゴンなど他のホルモンや細胞内因子に対する抗体を導入することも検討する。また、膵臓におけるGnRHの機能を調べる一環として、GnRHによる膵島の発生への影響も調べる。即ち、膵臓の連続切片を用いて膵島を計数することを試みる。2)膵臓のGnRH産生細胞を同定する。インサイチュハイブリ代ゼーションを完成させる。GnRHは視床下部内側視索前野のGnRHニューロンで合成されるが、末梢の細胞でも作られていることが知られている。しかし、産生細胞が腺を作っていないこと、分子が小さく免疫組織化学が難しいことなどから、抹消における産生部位はよくわかっていないのが現状である。そこで、mRNAを検出することとした。3)膵臓GnRHのインスリン分泌(合成と放出)に対する作用の解析を行う。GnRH投与の血糖値に対する影響や、インスリン分泌への影響を検討する。4)膵臓GnRH発現に及ぼす性ホルモンの影響を検討する。GnRH遺伝子のプロモーター領域にはアンドロジェンレスポンスエレメントが存在する。視床下部と同様にアンドロジェンによってGnRH発現が影響を受けるか否かを検討する。 5)性差の糖尿病発症率に及ぼす影響。まずは犬を用いて去勢による有病率の変化を解析する。 これらを並行して進めながら当初目的に近づくように努力する。一部分をビトロの実験に振り分けることも考える予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)