Project/Area Number |
22K06056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42040:Laboratory animal science-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
加藤 容子 近畿大学, 農学部, 教授 (40278742)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | ブタ卵 / 老化 / 卵 / ブタ / 初期化 / 遺伝子発現 / 卵子 / 保存 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Research at the Start |
申請者らはブタ卵子を保存する手法として「低温感作に関わらない培養温度域で保存する」という新たな手法を開発してきた。保存卵は単為発生刺激を付与したり、体細胞核移植を行ったりして体外発生能が維持できているのかを調べた。その結果から、培養しながら一定時間卵子を老化させずに保存できること、ならびに、核のある単為発生と卵細胞質のみの核移植では発生能を支持できる保存時間が異なることが明らかになった。そこで、本申請では、この保存系をツールとして使用し、卵細胞質の老化を阻止する因子や体細胞核を初期化する因子を大規模トランスクリプトームにより明らかにすることを目的として実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
私達のグループではブタの未受精卵を保存する新たな手法として「低温感作に関わらない培養温度域で保存する」手法を開発してきた。通常、未成熟卵を体外で長く培養し続けると卵が過成熟(老化)してその後の発生能を失う。そこで、卵が老化したかどうかを判断するための生物学的実験を行ってきた。様々な培養条件、培養温度域で様々な時間保存後、人為的な活性化刺激により発生を促す単為発生を付与した。あるいは、染色体を除去した未受精卵への体細胞核移植を実施した。いずれも、それぞれ胚盤胞までの体外発生能を検討し、少なくとも体外発生能に影響を与えない保存時間を検討してきた(未発表)。本研究では、この現象をツールとして使用し、体外培養時に生じる卵細胞質の老化に関わる因子や体細胞核を初期化するのに関わる初期化因子や機構を分子レベルで明らかにすることを目的に実施している。R5年度は、R4年度の検討結果に基づき、老化に関する遺伝子群の探索と解析を試みた。すなわち、R4年度の検討で得られた適切な時間帯で回収したサンプルをトランスクリプトーム解析し、卵の体外老化中に特異的に変化する遺伝子群を探索した。対照区(1区)と発生能を担保する保存区(2区)との間には差がなく、発生能が低下し始める保存区(3区)間との間で発現量に差がある遺伝子に着目した。その結果、カルシウムシグナル伝達経路、転写調節、リン酸化、サイトカイン受容体活性に関連する遺伝子などの発現量が減少し、カリウムイオン輸送、亜鉛 イオン結合、ECM-受容体相互作用、cGMP-PKG シグナル伝達経路、NADPH 酸化に関連する遺伝子などの発現量が増加、特に細胞質の酸化に関連する遺伝子の発現量が増加していることなどが明らかとなった。また、1区と2・3区との間で発現量に差がみられた遺伝子が多くみられたため、それらについても解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、これまでに得られた知見に基づき、ブタ卵において、老化に関する遺伝子と初期化に関する遺伝子を網羅的に検索する実験計画を立てている。すなわち、(1)保存可能時間の詳細検討(R4、5年度):培養温度域で保存が可能と考えられる期間の詳細を体外発生能やROS量、ミトコンドリア量などにより検証する、(2)サンプル回収・トランスクリプトーム解析、裏付け実験(R5、6、7年度):(1)により明らかにした時間帯でサンプルを回収し、トランスクリプトーム解析を実施する。老化、ならびに初期化に着目した遺伝子解析結果が得られたら、リアルタイムPCRなど他の解析手法で裏付けをとる。R5年度は、R4年度の結果に基づき、トランスクリプトーム解析により卵の老化に関連する遺伝子の探索を実施していることから、当初の計画と比較して順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の予定通りに進めていく。R6年度も、引き続き老化に関わる遺伝子群の探索を行うため、トランスクリプトーム解析に係る経費を計上する。老化に関する遺伝子解析では、加齢卵で特異的に変化する遺伝子群に着目し、R5年度ならびにR6年度に得られた結果をもとに、qPCRなどで裏付け実験を行う。初期化に関する遺伝子解析においても同様の手法で開始する。すなわち、適切な時間帯で回収したサンプルをトランスクリプトーム解析し、卵の初期化機構に関わる遺伝子群を抽出する。選び出した遺伝子に関しては、qPCRなど他の解析手法でも裏付けをとる。
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