リン酸化修飾による卵母細胞形成の制御メカニズムの理解
Project/Area Number |
22K06079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43010:Molecular biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 綾 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(RPD) (40595112)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 減数分裂 / 線虫 / 染色体 / DNA二重鎖切断 / リン酸化修飾 |
Outline of Research at the Start |
現代社会において、約20%の適齢期夫婦が不妊問題を抱えているとされており、その多くの場合、精子・卵子の形成不全が原因である。一方で、精子・卵子を形成する減数分裂の原理には多くの謎が残されている。減数分裂において正常に染色体を分離するには、分裂前期に、DNA二重鎖切断から始まる相同組み換えを通して交叉を作ることが重要である。本研究は、モデル生物線虫を用いて、卵母細胞におけるDNA二重鎖切断の分子メカニズムを理解することを目指す。特に、高齢線虫の卵母細胞においてDNA二重鎖切断が減少する原理を理解し、卵母細胞が加齢により受ける影響を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
現代社会では、適齢期夫婦の多くが不妊問題を抱えるとされる。不妊問題の主な原因は、精子と卵子を生みみ出す減数分裂の失敗であり、その約半数は、減数分裂前期における染色体制御におけるエラーが原因だとされている。本研究では、ヒトまで保存された減数分裂タンパク質の機能解析を、モデル生物線虫を用いて行うことで、その分子基盤を明らかにし、生殖問題の理解に貢献することを目指す。減数第一分裂において正常に染色体を分離するには、分裂前期に、DNA二重鎖切断から始まる相同組み換えを通して交叉を作ることが重要である。本研究の目的は、モデル生物線虫を用いて、卵母細胞におけるDNA二重鎖切断の分子メカニズムを理解することである。具体的には、ヒトまで保存されたDNA切断制御因子である、線虫DSB-1タンパク質の機能が、リン酸化により制御されるメカニズムを明らかにする。加えて、母体の加齢や、減数分裂因子の変異、欠損が、リン酸化に影響を与える原理を明らかにし、高齢線虫の卵母細胞においてDNA切断が減少する原因を理解することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AIによるタンパク質構造解析よりDSB-1とその周辺因子の相互作用の様式を予測し、それを変異株をつくることで遺伝学的に検証する実験が順調に進んでいる。技術的な問題としては、DSB-1の生細胞による局在解析や、生化学的解析のために当初、gfpタグを付加した線虫株を使用していたが、ウエスタンブロットにおいてbackgroundが比較的高かったり、GFPを付加したことによるartifactと思われる局在パターンが一部に見られることがわかった。これより、GFPタグ付加はDSB-1の機能を阻害することはないものの、更なる実験に使用し難いことと判断した。このためHis/Myc/HAなど様々な種類のタグ付けを試み、生化学実験をおこなったが、最終的にFLAGタグを付加したものが最も細胞生物学的解析や生化学的解析に適することが判明したため、今後はこの線虫株を用いて実験を進めることにする。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は、以前、線虫において、卵母細胞におけるDNA二重鎖切断の数が、母体の高齢化とともに減少することを見つけた (Sato-Carlton et al, PLOS Gen 2014)。DNA二重鎖切断の減少は、交叉の減少に繋がり、染色体分離の失敗、ひいては不妊の要因となる。またDSB-1のパラログであるDSB-2の変異株や、DSB-1を脱リン酸化するPP4の変異株では、母体の高齢化とともに、DNA二重鎖切断の数が減少することが、先行研究から(Rosu et al. PLOS Gen 2013)もしくは申請者のこれまでの研究よりわかっている。今後は、FLAGタグを付加したDSB-1線虫株を用いて、母体の高齢化がDSB-1に与える影響をさらに詳細に解析することを目指す。 実は、GFPタグを付加したDSB-1線虫株を用いた我々の解析では、線虫の高齢化に伴って、DSB-1のリン酸化量が増えるというデータが得られていたが、今回作製したFLAGタグ付加の線虫株では、若齢、老齢の線虫ともに同レベルのリン酸化を示すことが、preliminaryな実験結果より得られている。一見矛盾するように見えるこれらのデータが、異なるタグを付加したことによる影響なのか、それとも何か意図しない実験パラメータの違いなのかをまず厳密に明らかにする必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)