Project/Area Number |
22K06087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43010:Molecular biology-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加生 和寿 九州大学, 薬学研究院, 助教 (90726019)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ミトコンドリア / mtDNA / 複製 / PrimPol / DNA複製 / 試験管内再構成 / コピー数制御 / 大規模欠損 |
Outline of Research at the Start |
真核生物の細胞内小器官ミトコンドリアは独自ゲノムmtDNAを有し、そのコピー数は1細胞あたり数百から数千個に維持されている。mtDNAはエネルギー産生に必須の電子伝達系の酵素群を発現することから、mtDNAコピー数と遺伝情報の維持は健康な生命活動において重要である。mtDNA制御の破綻はコピー数低下やゲノムの大規模欠損を引き起こすが、一方でmtDNA複製を正確に遂行するための制御に関しては未解明な点が多い。本研究では試験管内実験系を用いてmtDNA複製の制御因子を網羅的に探索し、mtDNAコピー数制御と大規模欠損を回避するための制御について分子機構の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
真核生物において、ミトコンドリアは細胞活動に必要なエネルギーであるATPの産生を担う細胞内小器官である。ミトコンドリア独自のゲノムmtDNAは1細胞当たり数千コピー存在し、ATP産生に必須の電子伝達系の酵素群を発現する。従ってmtDNAのコピー数や遺伝情報の安定維持は健康な生命活動において重要である。過去の報告によりmtDNA複製の全容が明らかにありつつある一方で、mtDNA複製モード(リーディング鎖-ラギング鎖共役型)やコピー数の制御機構は未解明である。本研究ではmtDNA複製の試験管内解析系を新たに構築し、その詳細なメカニズムや制御機構の解明を目指す。申請者は研究計画に沿って試験管内でのmtDNA複製反応を検討し、現在までにミトコンドリア由来蛋白質抽出液と精製mtDNAとを混ぜることにより部分的にmtDNA複製反応を誘導させることに成功した(九州大学理学研究院 高橋 達郎 教授との共同研究を含む)。しかしながら、前回報告したようにヌクレアーゼ活性を有するなどの理由から現状の試験管内mtDNA複製系では複製開始部位(OriHを含む非コード領域)特異性は検出されていない。このような背景から申請者は第二の計画としていた精製ミトコンドリアを用いたmtDNAコピー数解析系の構築を進めている。今後も研究計画に沿って試験管内で精製タンパク質(PrimPol DNAプライマーゼ/ポリメラーゼ)をミトコンドリア内に移行させる実験を試みることでmtDNA複製制御機構の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. ミトコンドリア抽出液を用いたmtDNA複製開始の分子機構解析 申請者は、過去の報告(Dunon-Buteau et al., 1987)に倣ってX. laevis卵ミトコンドリア精製法と抽出液の調製法を確立し、ミトコンドリア由来蛋白質とmtDNAとを混ぜることにより部分的に複製反応を誘導させることに成功した(九州大学理学研究院 高橋 達郎 教授との共同研究)。一方で、mtDNA複製開始部位など種々の変異体解析の結果についても検討した結果、現状の試験管内mtDNA複製系では本来の複製開始部位(OriHを含む非コード領域)からの特異的な複製開始は検出されなかった。加えて、ヌクレアーゼ活性が高く複製産物の解析や二次元ゲル電気泳動法による複製中間体の解析は困難であると結論づけた。 2. 精製ミトコンドリア画分を用いたmtDNAコピー数制御の解析 前回報告した通りミトコンドリア抽出液を用いた試験管内mtDNA複製系の確立が困難であったことから、申請者は第二の計画である精製ミトコンドリア画分を用いたmtDNA複製制御についての解析を中心に研究を遂行している。現在までに、精製ミトコンドリアが複製活性を有し、mtDNAコピー数も時間経過に依存して増加することが確認された。加えて、精製ミトコンドリア内に移行させるための蛋白質(PrimPolなど)について精製し、活性確認を行った。加えて、精製ミトコンドリアへのDNAや蛋白質移行実験についても一定の成果が得られており、現在はmtDNA複製への影響について検討を進めている。このように申請時には想定していなかったトラブルに苦慮したが、一方で第二の計画で一定の成果が得られたことから概ね順調に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は精製ミトコンドリア画分を用いたmtDNA複製、コピー数解析系を用いたmtDNA複製の制御機構解析を中心に研究を展開する。mtDNA複製開始には転写により生じるDNA-RNAハイブリッド形成が必須であることからミトコンドリア転写因子群(DNA屈曲因子TFAMなど)のリコンビナント蛋白質を精製し、これら因子のmtDNA複製への影響を試験管内で解析する。加えて、複製装置(TWINKLEヘリカーゼ、一本鎖DNA結合因子mtSSBなど)、及び複製モードの制御に機能することが示唆された既知因子(PrimPolなど)についてmtDNA複製への影響を検証する。これら候補因子を精製ミトコンドリア内に移行させる実験を通じてmtDNA複製制御の基盤的原理の解明を目指す。加えて、大腸菌で類似の機能を有する蛋白質群(DNA屈曲因子IHF、一本鎖DNA結合因子SSBなど)を精製ミトコンドリアに移行されることで機能を代替できるか検証し、ミトコンドリアの機能改変を目指す。
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