Project/Area Number |
22K06130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
伊藤 恭子 (新澤恭子) 兵庫県立大学, 理学研究科, 特任教授 (70206316)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅳ / 核遺伝子由来サブユニット / コール酸 / 膜タンパク質複合体 / 組織特異性 |
Outline of Research at the Start |
ミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅳの最も進化した哺乳類酵素は、活性中心を含む3つのコアサブユニットの周りを進化の過程で獲得した核DNA由来の10個の異なるサブユニットが取り囲んでいる。 既に、ウシ酵素高分解能X線結晶構造に基づく反応機構解明が進められてきたが、付加された核由来のサブユニットの機能は、残存するコール酸が核サブユニットに結合し、プロトン輸送を妨げていると共に、生理活性物質、活性調節に関わるタンパク質、開発された薬剤等の結合を妨げていることにより不明である。 本研究では、新規精製法で得られたコール酸フリー標品を用い、進化の過程で獲得された核DNA由来サブユニットの機能を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア呼吸鎖末端酸化酵素である複合体Ⅳは、酸素を水に還元すると共にプロトンを能動輸送する。最も進化した哺乳類酵素は、高度に保存された活性中心を含むミトコンドリアDNA由来の3つのコアサブユニットの周りを進化の過程で獲得した核DNA由来の10個の異なるサブユニットが取り囲んでいる。また、その核由来サブユニットには組織特異的アイソフォーム(心臓型、肝臓型)が存在し、酵素活性や、制御タンパク質の結合解離が異なることが報告されている。 なぜ進化の過程でこれらのサブユニットが付加されたのか? また、細胞環境に適応して複合体Ⅳによる呼吸活性制御にどのようにこれらのサブユニットが影響を与えているのか?は基礎研究から医学的研究まで幅広い分野で興味がもたれる研究課題である。 ウシ心筋複合体Ⅳの反応機構解明は、既に1.3Å分解能の構造情報を基に行われているが、核DNA由来サブユニットの機能は、解明されていない。その原因は、これまでの構造及び機能解明ではコール酸を用いて酵素を調製したため、酵素当たり10分子程度残存したコール酸が核DNA由来サブユニットと結合し、酵素機能を部分的に阻害すると共に生理活性物質等の結合を妨げていることによる。 本研究では、コール酸を全く用いないで、活性が高く結晶化が可能な標品を心臓及び肝臓ミトコンドリア膜から収率よく得る精製法をほぼ確立した。心臓酵素を用いた電子顕微鏡を用いた単粒子構造解析では、2.5Å分解能の構造を得るまでに至った。電顕用の試料調製の方法の改良により更なる分解能の向上を目指している。更に肝臓酵素と共に両臓器由来酵素と各種生理活性物質や、調節因子、薬剤との共構造を得るための条件検討を進めている。 高分解能構造の決定においてはX線結晶構造解析が優位である。そのため、結晶化条件を主にハンギングドロップ法により検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するためには、生理活性物質や薬剤等の核DNA由来サブユニットへの結合が妨げられていない、コール酸を用いない新規精製法で、結晶化可能なレベルの標品調製が必須である。また組織特異的アイソフォームの構造と機能の解明のためには、肝臓ミトコンドリアからも結晶化可能なレベルの複合体Ⅳの精製が必須である。 昨年度までに心臓から、ミトコンドリア内膜小胞の調製法、複合体Ⅳの可溶化、精製に用いる界面活性剤の選択等の詳細な検討を行い、高い活性を示す標品を、再現性良くまた収率よくウシ心筋から調製する方法を確立した。得られた標品から、これまでに2.5Å分解能の構造を得た。 また、ミトコンドリア膜の含有量が低い肝臓組織から、ミトコンドリア膜調製法を検討し、精製法の確立を行った。この標品を、心臓と同じ緩衝液条件で単粒子構造解析を試みたが、心臓酵素と同じレベルの構造を得るまでに至っていない。これは、タンパク質表面の核由来サブユニットの性質によると考えられることから、肝臓酵素に適した方法を考案していく必要がある。 コール酸を用いた心臓、肝臓由来複合体Ⅳと、コール酸を用いない今回開発された方法で得られた心臓、肝臓由来複合体Ⅳの酵素活性の比較を行ったところ両者ともに、コール酸を用いていない方法で得られた標品は、約1.5倍の高い活性を示し、コール酸の添加によって抑制された。 X線結晶構造解析のための結晶化条件を、主にハンギングドロップ法により、本酵素の結晶化に適した界面活性剤の選択や各種条件の検討を進めている。これまでに心臓由来酵素の角柱状の結晶を得た。この結晶はコール酸を含むダイマー構造結晶の場合とほぼ同じ格子定数を示した。ダイマー結晶では、コール酸によって無理やりダイマーが形成された為にどうしても片方の酵素に揺らぎが出ていたが、これが解消される可能性もあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コール酸を用いない新規精製法で調製された心臓酵素をAmphipolで安定化させた場合には、2.5Å分解能の構造を得たが、生理活性物質や、薬剤との共構造は現在得られていない。これはAmphipol中へとそれらの薬剤が移行してしまう可能性が考えられるため、比較的CMCの低い界面活性剤を用いて安定化させた酵素を用いて結合型酵素構造の解明を目指す。また、得られた構造を解析するとコール酸が結合していた位置には、脂質が存在しており、これは酵素を可溶化する際に結合した可能性もあるので、あらかじめ生理活性物質や、薬剤を結合させたのちに、それらの存在下で可溶化、精製を進めることも試みる。 X線結晶構造解析のための結晶化条件を、主にハンギングドロップ法により、本酵素の結晶化に適した界面活性剤の選択や各種条件の検討を進めてきており角柱状の結晶を得るまでには至っているが、構造解明には至っていない。これまで高分解能構造解析に用いてきた結晶は少なくとも一辺が0.4㎜以上のものを用いてきたことから、より結晶を成長させる方法を考案していく必要がある。核形成の頻度をコントロールするなどの対策を考えていく。 心臓タイプと肝臓タイプのアイソフォームの構造解明とその比較を行うために、肝臓酵素の精製法の確立を行った。肝臓酵素の単粒子構造解析をすすめ、構造比較を行うと共に結晶化も試みる。また、活性や生理活性物質や、薬剤に対する感受性についても比較検討を進める。 複合体Ⅳ分子の多くのアミノ酸が翻訳後修飾によりリン酸化され、そのリン酸化はATPの作用、制御タンパク質の結合解離に影響していることが報告されている。しかし、これまでの我々が行ってきた高分解能構造の中にはリン酸化アミノ酸は確認されていない。これは精製過程で脱リン酸化されている可能性を示していることから、脱リン酸化阻害剤存在下での精製、結晶化を行い、構造を決定する。
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