小胞体膜分子CLN6の凝集抑止能を制御する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K06146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山崎 哲男 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (90330208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 将一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (60779049)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | CLN6 / 神経セロイドリポフスチン症 / カテプシンD / 小胞体 / NCL / Batten病 / リポフスチン症 |
Outline of Research at the Start |
神経セロイドリポフスチン症(NCL)は13疾患を内含する神経変性疾患群である。小胞体膜分子CLN6は6型NCLの原因遺伝子産物として同定されたものの、その機能は近年まで謎に包まれたままであった。申請者はCLN6がタンパク質凝集抑止能を有することを見出し、併せてその責任領域を指摘した。この実績をふまえて、本研究ではCLN6が凝集抑止能を発揮するために必要な分子内および分子間相互作用を明らかにし、その破綻が神経系障害に連動する分子メカニズムを解き明かすことを目指す。本研究の進展は6型NCLに留まらず認知症との共通項を分子レベルで提示し得る。高齢化が進行する日本社会への波及効果は論を俟たない。
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Outline of Annual Research Achievements |
神経セロイドリポフスチン症(NCL)は13疾患を内含する神経変性疾患群である。小胞体膜分子CLN6は6型NCLの原因遺伝子産物として同定されたが、その機能は近年まで不明であった。研究代表者はCLN6がタンパク質凝集抑止能を有することを世界に先駆けて見出し、その実績に立脚して提案したのが本研究課題である。CLN6の凝集抑止能を支える分子メカニズムを解明し、その破綻が神経系の障害に帰結する可能性を検討することを目的とする。令和4年度にCLN6結合分子としてタンパク質分解酵素カテプシンD(CatD)を単離・同定し、CLN6-CatD間の機能・構造連関を支える責任領域を決定した。これをふまえて、令和5年度にはCatDそれ自体のタンパク質凝集阻止能の有無をはじめ、その機能発現機序の解明に取り組み、1)CatDの前駆体proCatDが小胞体にてタンパク質凝集阻止能を発揮すること、2)プロテアーゼ活性を喪失するCatD変異体に関しても、その前駆体は依然としてこのタンパク質凝集阻止能を発揮すること、3)アルツハイマー病の発症危険因子として報告されているCatD A58V変異体はプロテアーゼ活性を維持する一方で、その前駆体proCatD A58V変異体はタンパク質凝集阻止能を喪失していること、を明らかにした。この成果は国際学会で発表するとともに論文にまとめて投稿した。これまでのところCatDはリソゾームの主要プロテアーゼとしてのみ認識され、その前駆体には特別な役割が想定されてこなかった。本研究はCatDの新たな側面に光を当てるものであり、CatDの前駆体proCatDが関わる小胞体タンパク質凝集阻止能の障害がNCLに加えてアルツハイマー病の発症に通底する病院因子となり得る可能性を指摘するところとなった。病理学的側面から見てもその重要性は論を俟たない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的はCLN6の凝集抑止能を支える分子メカニズムを解明し、その破綻が神経系の障害に帰結する可能性を検討することにある。令和5年度にはCatDそれ自体のタンパク質凝集阻止能の有無をはじめ、その機能発現の解明に取り組み、(1)CatDの前駆体proCatDが小胞体にてタンパク質凝集阻止能を発揮すること、(2)プロテアーゼ活性の喪失につながるアミノ酸変異を有するCatD変異体に関しても、その前駆体は依然としてこのタンパク質凝集阻止能を発揮すること、(3)アルツハイマー病の発症危険因子として報告されているアミノ酸変異(A58V)を有するCatD変異体はプロテアーゼ活性を維持する一方で、その前駆体であるA58V proCatD変異体はタンパク質凝集阻止能を喪失していること、を明らかにした。この成果は国際学会で発表するとともに論文にまとめて投稿した。この成果はヒト由来細胞株にヒトCatD変異体を遺伝子導入して得られたものである。そこで病気の発症との相関を個体レベルで評価するために、上述した変異体に相当する魚変異体を有するゼブラフィッシュを樹立した。その解析を進めているところである。投稿中ならびに準備中の論文の根幹を成すデータは本研究課題の目的に叶うものであり、進捗状況としてはほぼ予定通りとした次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の推進を図ること、換言すればCLN6の機能不全を背景とする神経疾患の全容を詳にするためには、細胞株を用いて得られた知見が、そのまま神経系全体にも当てはまるのか?もしくは神経系に及ぼす影響は中枢と末梢間では異なるのか?との疑問に解答することは不可欠である。そこでゼブラフィッシュをモデル動物として採用し、CatD変異体ゼブラフィッシュを樹立し、個体レベルでの解析を展開中である。今後はCLN6欠損ゼブラフィッシュとの表現型の相違・共通点を中心とした比較解析を遂行し、早期神経系発生に関するCLN6-CatD間の機能・構造連関の寄与の時空間評価を予定している。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)