Project/Area Number |
22K06148
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
笠松 真吾 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80738807)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 超硫黄分子 / レドックスシグナル / 低温耐性 / シリアンハムスター / 活性硫黄分子 / ミトコンドリア / ポリスルフィド |
Outline of Research at the Start |
ヒトやマウスなどの多くの哺乳動物は、寒冷な環境下で体温が低くなると心臓や脳などの働きが低下し、最終的には死に至る。一方で、ハムスターなどの冬眠性の小型哺乳動物は、代謝・熱産生を抑制し、積極的に低体温状態となることで厳しい寒冷環境を乗り切ることが可能である。しかし、その低温耐性の分子基盤の詳細は未だ解明されていない。本研究では、生体内でシステイニルtRNA合成酵素(CARS2)により生成される硫黄代謝物(活性硫黄分子種)に着目し、寒冷環境下における活性硫黄分子によるミトコンドリア機能制御と低温耐性の連関を解析し、冬眠動物の低温耐性機構における活性硫黄分子の役割について解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、新規アルキル化試薬(N-iodoacetyl L-tyrosine methyl ester, TME-IAM)および質量分析装置を用いた、超硫黄分子メタボライトの絶対定量系や、誘導プラズマ発光分析法および質量分析装置を用いた、総硫黄量およびトータル超硫黄量の定量系(超硫黄分子プロファイル解析系)を確立し、シリアンハムスター細胞における低温耐性機構に超硫黄分子および、その下流レドックスシグナル経路が関与している可能性を示唆する結果を得ている。 当該研究年度は、TME-IAMを用いた新規の簡易超硫黄化タンパク質検出法(TME-IAM switching法)を確立し、シリアンハムスター腎細胞(HaK細胞)を解析した結果、低温暴露により細胞内超硫黄化タンパク質レベルが有意に増加することを見出した。また、T超硫黄分子の網羅的探索系(untargeted polysulfidomics)を新たに確立し、低温暴露によるシリアンハムスター生体内超硫黄分子生成機構への影響を解析した結果、低温暴露群において正常温度群と異なる超硫黄分子候補シグナルが検出された。今後、検出された超硫黄分子候補シグナルの同定および、その下流シグナル機構を解析することによって、シリアンハムスターにおける超硫黄分子生成動態と低温耐性機構の連関を検討することが可能であると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TME-IAM switching法および、untargeted polysulfidomicsなどの、超硫黄分子オミクス解析技術を新たに構築することに成功し、生体内超硫黄分子生成動態の包括的解析が可能となった。 当該年度では、シリアンハムスター細胞内における超硫黄化タンパク質について解析した。その結果、低温暴露よって細胞内超硫黄化タンパク質レベルが有意に増加すること、また、ヒト細胞とシリアンハムスター細胞とで低温暴露よる超硫黄化タンパク質プロファイルの変化が異なることが明らかになった。すなわち、シリアンハムスター細胞内において確認された、低温感受性の超硫黄化タンパク質は、シリアンハムスターの低温環境適応に寄与している可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の解析により、低温暴露によりシリアンハムスター細胞内の超硫黄化タンパク質レベルが増加することが分かった。今後は、既に樹立済みである、抗TME-IAM標識タンパク質抗体および、untargeted polysulfidomicsを組み合わせた超硫黄化タンパク質の網羅的探索を行うことによって、シリアンハムスター細胞内の低温感受性超硫黄化タンパク質の同定を試みる。さらに、低温暴露により変化する細胞内超硫黄化メタボライトの探索・同定を試みるとともに、その下流レドックスシグナル機構、特にミトコンドリア機能との連関について詳細な解析を行う。これらの解析を行うことによって、シリアンハムスター細胞の低温耐性機構における超硫黄分子の機能の解明を目指す。
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