異常スフィンゴ脂質の動態解明を目指した高機能脂質誘導体プローブの酵素合成的創出
Project/Area Number |
22K06153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
生城 浩子 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (10280702)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | セリンパルミトイル転移酵素 / スフィンゴ脂質 / 結晶構造解析 / X線回折 / 知覚神経障害 / 酵素反応機構 / 立体構造解析 |
Outline of Research at the Start |
スフィンゴ脂質は真核生物生存の必須要素であり,『遺伝性知覚神経障害Ⅰ型』では異常なデオキシ型スフィンゴ脂質が神経細胞死の誘発因子とされる。この疾患関連脂質の作用機序の解明において生体内動態の解析が重要であり,実験ツールである標準化合物や高感度標識脂質プローブが必要である。これまでに申請者は,生合成経路の初発反応を担うセリンパルミトイル転移酵素の立体構造解析と反応機構解明に取り組み,本酵素によるデオキシ型脂質前駆体の合成能を見出している。本申請では生合成酵素の構造的基盤に基づくデオキシスフィンゴ脂質合成制御機構の解明,高機能分子プローブであるスフィンゴ脂質誘導体の酵素合成的創出に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
スフィンゴ脂質は真核生物の生存にとって必須の要素である。スフィンゴ脂質生合成経路の第一段階はL-セリンとパルミトイル-CoAの縮合脱炭酸反応による長鎖塩基合成反応であり,ピリドキサール5’-リン酸(pyridoxal 5’-phosphate;PLP)を補酵素とするセリンパルミトイル転移酵素(serine palmitoyltransferase;SPT)によって触媒される。ヒトSPT遺伝子の点変異により『遺伝性知覚神経障害 Ⅰ 型』が発症する。変異型SPTにおいては,L-セリンを基質とする本来の長鎖塩基合成活性に対して,グリシンや L-アラニンを基質とするデオキシ型長鎖塩基の合成活性が異常亢進しており,このデオキシ型長鎖塩基から生成するデオキシ型セラミドが細胞内に蓄積して神経細胞死に至ると推測されている。近年,健常者からもデオキシ型セラミドが検出され,低いながらも正常型SPTによるデオキシ型長鎖塩基合成能が報告された。 細菌SPTは真核生物の酵素の原型であり,酵素活性部位のアミノ酸残基が完全に保存された優れたモデル実験系である。そこで,細菌SPT野生型酵素におけるアミノ酸基質特異性を再検証した。まず,放射性同位元素標識基質を使用する従来の活性測定法に替わるSPT活性測定方法を開発した。本法を活用し,細菌由来SPTも,ヒトSPTと同様に,デオキシ型長鎖塩基合成能を有することを見出した。そこでSPTにおける有益/有毒なスフィンゴ脂質前駆体の合成を可能にする基質許容性に関する知見を得ることを目的として,SPTによるアミノ酸基質の認識様式について構造生物学的手法により検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。 SPT精製の手順と結晶化方法を改良して結晶の質の大幅な改善を達成した。X線回折実験の際の抗凍結処理方法を改善して高分解能の回折データ収集を可能にした。ソーキング実験の手順を工夫し,酵素活性部位に結合していた沈殿剤由来成分の結晶からの除去,リガンド非結合結晶調製に成功し,1.65Å分解能で構造決定した。続いて本来の基質L-セリンに加えL-ホモセリン,グリシン,L-アラニン,L-トレオニンの計5種類のアミノ酸をSPT結晶へソーキングして複合体結晶を作製し,1.4~1.8Å分解能の範囲で結晶構造を決定した。アミノ酸残基側鎖や水分子のディスオーダー構造を詳細に吟味し,アミノ酸毎の水素結合網の違いの考察が可能となった。 以上の研究成果を2報の査読付論文として発表し、関連する学会・研究会で口頭発表・ポスター発表をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
SPT結晶の分解能が大幅に向上したことから,基質アミノ酸の側鎖構造のわずかな違いや活性部位に存在する水分子の配置を明瞭に判別し,評価することが可能となった。さらに,これまで知られていなかった新たなアミノ酸代謝活性を示唆する知見を得ているので,目下、反応生成物の確定実験や複合体結晶の調製と結晶構造解析を行っており,これら解析を完成させる予定である。反応生成物を出発材料として活用して標識化合物合成実験への展開を試みる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)
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[Presentation] 細菌由来セリンパルミトイル転移酵素における基質認識に関する構造学的考察2022
Author(s)
生城浩子, 村上大毅, 高橋亜弥, 竪山あすか, 澤井大樹, 後藤春菜, サジールクーラス, 本田拓巳, 村井勇太, 門出健次, 宮原郁子, 神谷信夫, 矢野貴人
Organizer
第95回日本生化学会大会
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