Project/Area Number |
22K06177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43050:Genome biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂田 豊典 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (40795530)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | コヒーシン / ATPase / コヒーシンローダー / 染色体高次構造 / Micro-C / SMCタンパク質 / 転写 |
Outline of Research at the Start |
コヒーシン複合体は遺伝子の転写制御などの染色体機能と高次構造制御に寄与しており、in vitro実験系においてはその分子活性も徐々に明らかとなってきている。一方で、コヒーシンが実際に細胞内の染色体上でどのようにその分子活性を発揮して機能しているのかは不明である。そこで本研究では、ヒト培養細胞に穏やかな透過処理を施した”semi-in vivo”染色体実験系を用いて、コヒーシンが染色体上で機能する際の詳細な分子機構を明らかにする。本研究により、コヒーシンによる染色体高次構造の形成過程の詳細とその転写制御との関わり、その中でのコヒーシンの持つATPase活性の役割が明らかとなることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
コヒーシン複合体は遺伝子の転写制御などの染色体機能と高次構造の制御に寄与しており、in vitro実験系においてはその分子活性も徐々に明らかとなってきている。一方で、コヒーシンが実際に細胞内の染色体上でどのようにその分子活性を発揮して機能しているのかは不明である。そこで、透過処理したヒト培養細胞を使ったsemi-in vivo実験系において、NTPsを添加してRNA polymerase II (RNAPII)の結合プロファイルの解析を行なった。その結果、通常の条件と比べて83%程度のRNAPIIの結合が同定されたことから、この実験系においてもNTPsの添加により、RNAPIIの転写伸長反応が誘導できることが確認できた。また、通常の細胞状態におけるコヒーシンのChIP-seqデータについても詳細な解析を行なったところ、転写活性が高い遺伝子ではコヒーシンの局在が弱い傾向がみられた。この結果から、転写がコヒーシン局在の障害となることが示唆された。今後はこのsemi-in vivo実験系において、コヒーシン欠損時にNTPsを添加して転写プロファイルを解析する。また、この時のRNAPIIの結合プロファイル及びクロマチンループについてもChIP-seqとMicro-Cでそれぞれ解析する。さらに、同様の解析を変異型コヒーシンについても行う。また、コヒーシンを欠損させて染色体を”コヒーシンフリー”の状態にした細胞において透過処理を施し、そこにコヒーシン、コヒーシンローダーを含む細胞の核抽出液、またはコヒーシンのリコンビナントタンパク質を添加して、染色体高次構造の再構築を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにヒト培養細胞HCT116において穏やかに透過処理を施し、その状態でATP添加等の処理を行う”semi-in vivo”染色体実験系を構築し、この透過処理を施した条件下でもコヒーシン、コヒーシンローダー、RNAポリメラーゼII(RNAPII)は依然として染色体上に結合していることを確認している。そこで、この実験系においてRNAPIIの結合動態についてさらにChIP-seq解析を行なった。RNAPIIについては、事前に細胞をその転写伸長プロセスを阻害するCDK9阻害剤、5,6-ジクロロベンゾイミダゾール1-β-D-リボフラノシド(DRB)で処理することで結合プロファイルを同調した。次に、細胞を透過処理した後、NTPsを添加して10分間インキュベートしてから回収してChIP-seq解析を行なった。その結果、ゲノム全体で41718箇所のRNAPII結合ピークが同定された。これは通常の細胞でChIP-seq解析を行なった場合(50465箇所)の83%程度であり、この実験系においてもNTPsの添加により、RNAPIIの転写伸長反応が誘導できることが確認できた。また、転写がコヒーシンの局在に与える影響を調べるため、通常のコヒーシン(RAD21サブユニット)のChIP-seqデータ(ヒトRPE細胞株)について詳細な解析を行なった。遺伝子内部に存在する、コヒーシンが強く局在するCCCTC-binding factor(CTCF)結合サイトにおいて解析を行なったところ、転写活性が高い遺伝子ではコヒーシンの局在が弱い傾向がみられた。また、通常のコヒーシンと比較してより静的で安定なアセチル化コヒーシン(SMC3ac)でも同様の傾向が見られた。このことから、転写がコヒーシン局在の障害となることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の点について明らかにしていく。 1)コヒーシンによる転写と高次構造の制御を明らかにするため、ヒト培養細胞を穏やかに透過処理したsemi-in vivo実験系において、コヒーシン欠損時にNTPsを添加した場合の転写プロファイルをPRO-seqで解析する。また、この時のRNAPIIの結合プロファイル及びクロマチンループについてもChIP-seq、Micro-Cでそれぞれ解析する。さらにこれらのデータを統合的に解析し、コヒーシンの転写反応への影響とそれと連動する高次構造の変化を明らかにする。 2)コヒーシンのATPase活性が果たす役割についてさらに明らかにするため、コヒーシンのATPaseサブユニット、SMC1を変異型に置換し、semi-in vivo実験系において1)と同様に転写と高次構造への影響をRNAPIIのChIP-定量PCRと3C-定量PCRでそれぞれ解析する。これらの解析により、コヒーシンが染色体上で種々の機能を発揮するときに、ATPase活性がどのプロセスで使用されているのか、その詳細を明らかにする。 3) コヒーシンが細胞内の染色体高次構造を構築する上で必須の因子について解析を行う。内在のコヒーシンを分解したコヒーシンフリーのsemi-in vivo実験系の染色体を用意し、ここにコヒーシン、コヒーシンローダーを含む細胞の核抽出液及びATPを添加することで、染色体高次構造の再構築を試みる。染色体高次構造についてはコヒーシンのMicroChIPで確認する。これで再構築できた場合、次に核抽出液ではなく、組換えタンパク質のコヒーシン、コヒーシンローダー、ATP及びヒストンシャペロン等の他のクロマチンタンパク質を添加して同様に高次構造が再構築できるかを調べる。
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