Project/Area Number |
22K06232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
阿部 玄武 鳥取大学, 医学部, 准教授 (20550073)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 有対尾ヒレ / Twin-tail形態 / 四肢発生 / 新奇形質 / 異所的筋肉 / ヒレ発生 / 進化発生学 / 正中ヒレ / 器官獲得 / Twin-tail / 脊椎動物付属肢進化 |
Outline of Research at the Start |
新たな器官構造の獲得は、大規模な形態進化として古くから興味を持たれる進化発生学の大テーマである。しかしこれまでその具体的なメカニズムの理解には至っていない。 そこで本研究では、真骨魚の正中線で起こった有対化尾ヒレや第一背ヒレなど、新たなヒレ構造を獲得する形態進化に着目する。この付加的ヒレ構造は、詳細な発生メカニズムを比較可能であり、器官獲得の進化発生研究をするのに適したモデルとなる。本研究では、ヒレ原基から始まるヒレ発生過程に注目し、付加的ヒレ構造獲得の進化発生メカニズムを検討する。それらによって器官創出による大規模な形態進化がどう起こるのかを議論する。
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Outline of Annual Research Achievements |
新たな器官構造の獲得は、大規模な形態進化として古くから興味を持たれる進化発生学の大テーマである。しかしこれまでは系統的に遠い動物で起こった現象で限られた範囲の比較を示す研究が多く、具体的な進化発生メカニズムの理解には至っていない。そこで本研究では、真骨魚の正中線で起こった有対化尾ヒレや第一背ヒレなど、新たなヒレ構造(付加的ヒレ構造)を獲得する形態進化に着目する。 2023年度は、主に有対化形態における筋肉構造と、正中膜ヒレの役割について解析した。まず、有対化尾ヒレを使ったヒレ発生ユニットの解析に関しては、有対化する尾ヒレで筋骨格系がどのように変化するのかを解析した。有対尾ヒレには、有対化した尾ヒレ骨格の間に異所的な筋肉(異所的中尾筋)が確認された。この異所的中尾筋の由来を調べるために、筋肉特異的TGを使った細胞追跡実験を行った。その結果、受精後16日から有対尾ヒレ骨格の間に異所的中尾筋が見られた。この結果は組織切片を用いても確認している。今後はさらに、より早いステージにおける細胞由来の追跡を行う予定である。 硬骨魚の各正中ヒレは、仔魚期にみられる正中膜ヒレ(MFF: Median Fin Fold)の退縮過程で現れてくる。ただし、MFFに異常が起こる変異体でも、正中ヒレは正常に形成される場合がある。本年度、このMFFの組織動態に関して、ヒレ特異的TGとCre/loxPシステムを使った細胞追跡を行った。その結果、遠位側と近位側の二つの細胞系譜が存在することが示唆された。今後は、これら系譜がMFFに異常が起こる変異体でどのように振る舞い、正常に近い背ヒレを形成するのかを、肢芽/ヒレ発生に関わる因子に着目し検討する。 他に、棘鰭型類の新奇形質第一背ヒレを解析するためのモデル動物のモデル化を進めた。発生過程や遺伝子導入について、方法論や基本的な記載を行った論文を投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、有対尾ヒレの筋肉細胞の追跡実験や、MFFの上皮細胞の追跡実験など、細胞動態の詳細を解析する実験を行い、十分な成果を得ている。その解析から、正中ヒレ発生過程の中でユニット化した振る舞いを示す、特に筋肉系細胞の発生メカニズムと、その詳細の解明の端緒となる結果を得ている。また、魚類正中線上の新奇形質のモデルである第一背ヒレを持つ魚類のモデル化を進めた。発生過程や遺伝子導入について、方法論や基本的な記載を行った論文を投稿している。したがって、一定以上の成果が得られていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
有対化尾ヒレを使ったヒレ発生ユニットの解析に関しては、さらに異所的中尾筋の由来についての解析を進める。具体的には発生初期にさかのぼるため、Cre/loxPシステムを使うなどの細胞追跡実験を行う。また、異所的中尾筋に関して、速/遅筋のパターンに独特の様式を持つ可能性を示す結果を得ている。それらのパターン形成に関してどのような組織、分子メカニズムが関わるのかを解析していく。 また、MFFの機能に関しても、より詳細な分子メカニズムの解析を行う。具体的にはMFFが発生中期以降に間葉系細胞に機能を持つのか、持つとしたらどのような相互作用があるのかを明らかにしていく。そのために、FGF、BMP、Wntなどのシグナルカスケードに関して、どのような遺伝子が正中ヒレの発生に関わるのかをレポーターTGで観察する。さらに、阻害剤の添加による機能抑制実験、hspを用いた遺伝子過剰発現による機能獲得実験を行う。また、MFFに異常が起こる変異体dflに関して、原因となる遺伝情報の探索を行う。さらに、CRISPRシステムを用いて別のMFF異常変異体(ferm2a)の作成も行い、より詳細なMFF機能の分子メカニズムの解析を行う。
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