Project/Area Number |
22K06255
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新屋 みのり 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (00372946)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | メダカ / 種内多様性 / 頭蓋顔面形態 / 量的形質 |
Outline of Research at the Start |
頭部形態は個体識別が可能なほどの個体差が認められる、興味深い形質である。この個体差は遺伝要因と環境要因によって形成されるが、発生・成長の過程で如何に生じてくるのかは不明なままである。 私は小型魚類であるメダカを用いて統計遺伝学的解析を進め、頭部形態の個体差形成に関わるゲノム領域の一つとして、6番染色体を見出した。本研究では解析を更に進め、6番染色体上にある遺伝要因の同定を目指す。この成果により、遺伝的な違いがどのように個体間の形態差へとつながるのか、その過程を追うことが可能となり、個体差形成メカニズムの解明に向けた手掛かりを提供できると考えている。
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Outline of Annual Research Achievements |
頭蓋顔面形態の個体差は我々ヒトを含めた様々な生物種において観察され、その個体差形成には遺伝要因と環境要因の両方が関わるとされている。しかし、具体的な形成メカニズムは未だに不明である。本研究ではこの問題に対する糸口を見出すべく、小型魚類であるメダカを材料に、頭蓋顔面形態の個体差形成に関わる遺伝要因の同定を目指している。 2023年度には、二つの頭蓋顔面形質に対しての関連ゲノム領域絞り込み実験を進めた。一つは前年度から引き続き実施している形質L33に対する解析である。6番染色体上の複数箇所に形質関連ゲノム領のあることを示していたが、詳細な解析を加えた結果、前年度に見出していた領域内の遺伝子特定実験は進めない方針とした。理由としては、いずれも表現型に対する寄与が小さく、加えて領域間の相互作用が顕著である可能性も高いため、一つの遺伝子単位で行う逆遺伝学的解析ではその効果を測定できないと判断したためである。6番染色体上には表現型に大きく寄与している可能性のある領域がもう一つ存在するため、そちらの確認を行うべく必要なメダカ系統の作成を進めている。 もう一つの解析対象とした頭蓋顔面形質はD23である。15番染色体上に表現型との相関が認められていたため、関連ゲノム領域の絞り込みを行った。しかし、こちらの解析でも複数箇所に関連ゲノム領域が検出され、それぞれの領域の寄与が小さくなるという結果となった。先のL33の結果と合わせると、性格や身長などの量的形質と同様に、頭蓋顔面形態についても想定以上に多数の遺伝子が互いに影響を与えつつ個体差形成に関わっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、頭蓋顔面形質L33の個体差形成に関わる可能性のある6番染色体上の多型・遺伝子を抽出し、2023年度には優先順位の高いものから逆遺伝学的解析を開始する予定であった。しかし順遺伝学的解析の結果、頭蓋顔面形態に影響を与える多型・遺伝子が想定以上に多く、しかもそれぞれの寄与は小さくかつ互いに影響しあいつつ個体差を形成していることが示唆された。新たに解析を行った頭蓋顔面形質D23についても同様の結果であった。一つの遺伝子の効果を評価する手法である逆遺伝学的解析では各多型・遺伝子の効果を十分に検出できない可能性が高いと考え、ここまでに見出した形質関連ゲノム領域に対するこれ以上の解析は中止とした。 一方で、形質に対する寄与が大きい可能性がある領域の絞り込みを現在進めつつある。加えて、頭蓋顔面形態の個体差形成に関わる遺伝要因として多数の遺伝子が相互作用しつつ関わっている、という状態が見えてきており、当初の想定とは異なるものの、遺伝要因の実状がわかりつつあるということから「やや遅れている」という進捗状況だと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
大きく分けて以下二つの項目を並行して進める。 1.寄与の大きな多型・遺伝子の探索 頭蓋顔面形態との相関が認められているが未だ十分に狭い領域絞り込めていない形質関連ゲノム領域に対し、新規に解析に必要なメダカ系統を作成して領域の絞り込みおよび形質への寄与の大きさを推定する。逆遺伝学的解析に耐えうる寄与がある場合には、更なる解析を進めて個体差形成に関わる遺伝子の同定を試みる。 2.文献情報と見出した形質関連ゲノム領域との照合 2022年度の文献調査により他種生物において頭蓋顔面形態への関与が示唆された遺伝子のリスト化を行った。この情報を更新した後に、これら遺伝子のメダカゲノムにおける位置を調べる。明らかとなった位置情報と、これまでに見出した多数の形質関連ゲノム領域との分布を照合させ、他種生物における知見とメダカにおける知見の共通点・相違点を明らかにする。その結果と、これまでの本研究を通じて示唆された頭蓋顔面形態の遺伝要因に関する知見を合わせ、論文としてまとめる予定である。
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