Project/Area Number |
22K06270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
遠藤 暁詩 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 講師 (00342759)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 細胞壁 / 環境応答 / 細胞間相互作用 / 乾燥応答 / 木部輸送 / 植物細胞壁 |
Outline of Research at the Start |
植物細胞壁は、環境変動に応じて再構築されることが示唆されているが、その役割についてはほとんどわかっていない。予備的な解析から、細胞壁修飾酵素をコードするXYLANASE1 (XYN1) の発現が乾燥に応じて強く抑制されることや、XYN1発現レベルに依存して乾燥耐性が変化する可能性が示唆された。またこれまでに、XYN1過剰発現が、乾燥応答を担うシグナル分子であるCLE25の木部輸送に影響する可能性を見出している。そこで本研究では、乾燥に応じた細胞壁の変化と、それに伴った植物の乾燥ストレス応答調節の仕組みを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度では、XYLANASE1 (XYN1) 発現低下によって誘導されるシロイヌナズナの乾燥耐性が、CLE26ペプチドシグナルの働きによることを示唆する結果を得た。本年度では、まず、機能欠損変異体cle26において低下した乾燥耐性が、野生型のCLE26遺伝子配列をcle26変異体に導入することで、野生型植物体と同様のレベルまで回復することを確認した。そして、xyn1変異体の高い乾燥耐性が、cle26変異を導入することで抑圧されることも観察できたことから、細胞壁修飾に関わるXYN1と細胞外で輸送されるCLE26ペプチドの関係が遺伝学的に示された。当初、XYN1発現低下がもたらす乾燥耐性にCLE25ペプチドの関与を予想していたこと以外は、計画以上に進んだ。一方、次に重要になるのが、XYN1の発現変動に依存して、CLE26ペプチドシグナルの働きに影響を及ぼす細胞壁構造変化の探索である。申請書に記した、LM10抗体を用いたキシラン検出では、xyn1変異体を特徴付ける染色パターンを得られなかった。また、XYN1のポプラホモログであるXYN10Aノックダウン変異体では多種多様な細胞壁構造変化が報告されている。そこから目的の細胞壁構造変化を決定するには様々な予備実験が必要であると判断したため、一旦、これまでの成果を国際誌に投稿することとした。論文を作成するにあたり、XYN1発現に依存したCLE26ペプチドシグナルの調節が、輸送レベルで行われる可能性について調べた。その結果、xyn1変異体に蛍光ラベルしたCLE26ペプチドを添加すると、野生型と明らかに異なるシグナルの動きが観察された。さらに、合成CLE26ペプチドを直接葉に塗布すると、XYN1発現レベルにかかわらず乾燥応答マーカーとしてNCED3発現を誘導できたことから、輸送レベルでの制御の可能性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定を上回るペースで、XYN1の発現抑制が乾燥耐性誘導する仕組みを説明する上で鍵となる、CLE26ペプチドシグナルの関与を示すことができた。さらに、XYN1発現に依存した輸送レベルでの制御によって、CLE26ペプチドシグナルが機能する可能性を見出し、国際誌に発表するに至った。一方で、XYN1発現変動がもたらす細胞壁構造変化の探索は進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の2月に投稿した論文が受理されたことから、最終年である令和6年度は、本研究の提案のなかで進捗があまりなかったポイントを整理して、本研究を将来的に進展させるために必要と考えられる予備実験を積極的に行う。検討するポイントは、(1) 輸送制御に関わるようなXYN1発現とリンクした細胞壁構造の探索、(2) 乾燥よるCLE26遺伝子発現の誘導機構、(3) XYN1のCLE25ペプチドシグナルへの影響、(4) XYN1と非常によく似たXYN3の役割、(5) cle25 cle26二重変異体の表現型解析、以上の5つである。特に (1) については、細胞壁成分の分析や抗体染色だけでは解明できないため、細胞壁関連変異体の乾燥応答性比較など、実行可能な様々なアプローチを検討する。
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